フィリピンには伝統的な怪物がいくつもいて、その中の1つKumatatokをモチーフにしたホラー映画です。黒いフードを被った背の高い3人連れで、嵐の日にドアを3回ノックしてきます。もしも、ドアを開けてしまうと、開けたものに災いが起こるとされています。造形的なイメージがわかないと思ったので、ちょうどショートアニメにしてくれている人がいたので、そのリンクを貼っておきます。
民間伝承なので様々なバリエーションがあるのだと思いますが、本作ではノックされたドアを開けてしまうと、3日以内に呪い殺されてしまいます。「だったら開けなきゃいいだけじゃないか」と誰でもが思うところですが、全くその通りです。海外のレビューサイトも読みましたが、みなが同じ感想を持ったようです。まあ、ホラー映画ですし、ホラー映画が好きな人は、理屈で考えたりしないので、そこはまあいいのでしょう。
ストーリー
序盤は、ある村の少女と少年です。ノックされるドアを開けてしまったため、呪い殺されてしまいます。その通夜にやってきたのが、本作の主人公Jamieです。彼女は、父の死後すっかり迷信的になってしまった母親に嫌気がさして、都会に出ていたのです。今回は妹が死んだというので、通夜のため戻ってきました。警察の発表は自殺でした。帰るなり、母はKumatatokが娘を呪い殺してしまった。あなたは絶対にドアを開けてはいけないと、釘を刺します。Jamieは苛立ち、こうした狂信的な態度が、妹を自殺に追いやったと考え、母親と口論になります。しかし、やがてKumatatokは、彼女や彼女の近くの人々に及び・・・という物語です。
まあ、わからなくもないストーリーなのですが、これほどKumatatokを恐れている街の人々が、ドアを開けてしまうのか不思議でなりません。また、そんなに恐れているならば、「夜中に人の家を訪れるなよ、迷惑だから」と言いたいです。せめて、どうしても夜中に人の家を訪れなければならないときは、大きな声で外から名前と要件を言うように、などと決まり事を作れば済むことなのに、なぜか誰も、それを実行しません。あと、以前から疑問でしょうがないのですが、フィリピンみたいに治安の悪い国なのに、どうしてドアに覗き穴がないのでしょうか?他の映画でも、頻繁に強盗や、レイプ魔が侵入してきていますが・・・。せめて、「ドアを開けたくなるような甘い誘いが外から聞こえてきて、その誘惑に乗って開けてしまうと・・・」みたいな設定にすれば良いのにと思ってしまいました。
とは言え、ホラー映画は私のように理屈をつけながら見るものではありませんし、素朴にノックの音が聞こえたら怖くなる、という単純な作りの方が、ファンには響くのかもしれませんね。
あと、一言申し上げたいのは、フィリピンホラー映画は画面が暗すぎです。ほとんど何も見えません。映画館ならば見えるのかもしれませんが、家庭のテレビやPCのモニターで見ている人がほとんどだと思いますので、もう少し画面の明るさをあげて欲しいですね。あまりに画面が暗くて、暗闇の中の登場人物の顔の上に、うっすら目が映っているな、これはサブリミナル的な効果を狙っているのか?と思ったら、自分の顔が映っているだけでした。登場人物の顔よりも、自分の顔が見えるような画面は、ちょっと問題だと思いますね。
作品情報
オリジナルタイトル:Nokturno
公開年 2024年
監督 Mikhail Red(アリサカ)(ミッドナイト・アサシンズ)(Block Z)
主なキャスト Nadine Lustre
Eula Valdez
Bea Binene
視聴可能メディア Amazon Prime Video(見放題)(英語字幕のみ)