2023年マニラ夏の映画祭エントリー作品「Unravel: A Swiss Side Love Story」

マニラ夏の映画祭の実際

本作も2023年マニラ夏の映画祭エントリー作品。私が住んでいたエリアの映画館は8スクリーンあり、マニラでは最大級ですが、夜になってようやく翌日の映画のスケジュールがアップされるので、いつまでフィリピン映画が上映されているのかわからず、とりあえず毎日見に行っていました。よく行く単館映画館のHPは上演スケジュールさえ明らかにしておらず、FBのストリーラインに上がる告知しか情報がありません。酷いときには当日の昼になって上映時間がストリーラインにアップされるだけということもあります。フィリピンでは、あらゆる分野で同じですが、まともに運営されていないので情報を得るのが難しいですね。

ストーリー

さて、本作品は「Unravel: A Swiss Side Love Story」です。何かの社長(ビジネスの内容は触れられず)である若い女性が、安楽死が認められているスイスに死ぬために来るという、フィリピンらしくない内省的・社会的な物語でした。しかし、当然安楽死と自殺は違うので援助してもらえず、アンニュイに過ごしているところでスイス人男性(演じているのはアメリカ人とのハーフのフィリピン人ですが)と出会います。後でわかるのですが、男性は安楽死を助ける仕事を以前しており、その罪悪感のため彼女を生かすために、スイスの色んなところに彼女を連れまわします。バンジージャンプをしたり、スカイダイビングをしてみたり。中盤に彼女の死にたい理由が男がらみであることがわかり、予想通り2人は恋に落ち、彼女は生きる希望を持つという流れで、「何だ、やっぱりラブストリーか」と思ったら最後に暗転します。

(ネタバレ)なんと、彼女が自分の問題を解決するために一旦フィリピンに帰る前日に、彼が自殺。安楽死を助ける仕事ですでに精神を病んでいたと、彼の父から明かされます。いやいや、いくら何でもそのタイミングで死なないでしょう。本映画祭の他の映画もですが、ラブストリー以上のものを作ろうという意気込みはわかりますが、なんだかチグハグな印象を受けました。フィリピン映画でいいなと思うのは海外ロケが多いところです。これはフィリピン国内だと気候・季節の違いがあまりなく、歴史的な建造物もほとんどないので、バギオを除く他の場所でロケをしても違った風景が撮れないという理由がありそうです。また、海外で働くフィリピン人も多いので、海外への関心も高く、色んな国の綺麗な景色が大スクリーンで映されることには需要がありそうです。主人公を海外に行かせる必要があるので、彼らの職業は作家とか、何かの社長とかフワッとしたものが多く、仕事を通した主人公らの生きざまが見えないのが、日本人としては不思議な感じがしますね。

作品情報

オリジナルタイトル:Unravel: A Swiss Side Love Story 

公開年 2023年

監督 RC Delos Reyes

主なキャスト Gerald Anderson (アサルトー狙撃兵-)

       Kylie Padilla

       Megan Campbell

視聴可能メディア なし