フィリピンに限らず、海外のコメディが楽しめないことが多いですよね。私は、フランスに住んでいたこともありますが、フランスのコメディを面白いと思ったことがありません。慣れの問題なのか、イギリスやアメリカのコメディはまだ楽しめることがあります。正直フィリピンのコメディも楽しめることは、ほとんどないのですが、本作は楽しめました。亡くなった元妻が、霊媒師に憑りつき、元夫に自分のことを忘れさそうとします。一方で、その霊媒師は、男に恋心を持っているという設定がなかなか良くできています。最初のシーンから元妻が適当に交通事故で亡くなり、フィリピン人の明るさと相まって、この重い設定を奇跡的にコメディに仕上げています。日本人にもお勧めできるフィリピンコメディだと思います。オリジナルタイトルは、「Love the Way U Lie」。あなたの嘘が好き、という意味です。後半につながっているタイトルです。YouがUになっているのは、同名のアメリカの歌があるために避けたのと、軽い感じを出したかったのだと思います。
「霊媒は恋の始まり」のストーリー
主人公は占いや霊媒師として生計を立てています。たまたまイケメンの男が通りかかったので、無理やり占いに連れ込みます。男は占いなど信じていないので、自分のことを当ててみろとばかり質問をするのですが、占い師の耳元に声が聞こえてきて、それを言い当てることができます。驚く2人。やがて、その声は男の亡くなった元妻だということがわかります。そして、元妻が、1年経っても自分の死から立ち直れない夫を未来に向けて歩めるように進めて欲しいというのです。また、元妻は、霊媒師を通して自分と交信できることで、思い出の場所に行きたがるだろうから、それを悪い思い出に書きかえて欲しいと頼みます。この辺はコメディなので、霊媒師仲間で変なことを起こそうとして失敗したり、いろんなことがありますが、当然、そんなことをして、元妻を忘れられるわけがありません。やがて、ふたりがプロポーズした場所にいって、霊媒師を挟んで夫婦の関係がぐっと近づきます。
ところが、その時から元妻の霊が消えてしまいます。霊媒師はいつまでも聞こえているふりをしながら、元妻の願いからなのか、自分のためなのか、彼に元妻のことを忘れさせるよう奮闘します。いつしか、男も元妻のことを吹っ切り、霊媒師の女に好意を寄せるようになるのですが、今度は、霊媒師の女の方に罪悪感が生じてしまいます。自分は自己中心的な嘘をついて、彼の気を引いていたと。さて、この恋の行方はどうなるのでしょうか?と言っても、バッドエンドになるような雰囲気は作中に1mmもないですけどね。
「霊媒は恋の始まり」の監督、出演者情報
監督のRC Delos Reyesさんは、小太りでお笑い芸人みたいな雰囲気ですが、しっとりとした恋愛ものを得意にする監督さんですね。「旅の先に」や「Unravel: A Swiss Side Love Story」を撮っています。本作みたいなコメディも撮るんですね。主役の霊媒師を演じた女優は、いつもコメディを演じているAlex Gonzagaさんは、私の知る限りいつもコメディを演じている女優さんです。また、開始1分で死ぬ元妻役は、ミスインターナショナルのKylie Verzosaさんでした。彼女が脱がない役を演じるのを初めてみました。
「霊媒は恋の始まり」の作品情報
オリジナルタイトル:Love the Way U Lie
公開年 2020年
監督 RC Delos Reyes(旅の先に)(Unravel: A Swiss Side Love Story)
主なキャスト Alex Gonzaga(シングル・ベル)(ハイソな令嬢になるルール)
Xian Lim
Kylie Verzosa(あの夏の欲望)(ハウスメイド 欲望のしもべ)(Love Lockdown)
視聴可能メディア Netflix(日本語字幕)