中年ボクサーが、フィリピンで家族再生「DitO」

本作は、日本とフィリピンの合作映画ですが、フィリピンで撮影されているとは言え、監督、主演が日本人なのでどちらかと言えば、日本映画ですかね。Ditoとは、場所を指す「ここ」を意味するタガログ語です。英語のHereです。割と最初のころに覚えるタガログ語です。最近まで日本の映画館で上映されていたようですが、その時は知らず、U-NEXTで視聴しました。本作は、レンタルで別料金として399円かかりましたが、配布されるポイントで払えるので問題なかったです。

ストーリー

そんなにネタバレを気にしなくても良さそうな話なので、気にせずざっくり説明すれば、どういう理由かわからないが、中年の日本人ボクサーがフィリピンで、仕事をしながらボクシングにしがみついています。そこに高校を中退して居場所を失なったばかりの娘が訪ねてきます。最初は仲のよい父娘として過ごしていたのですが、やはり平和ボケした娘にフィリピン社会は厳しく、危ない目に遭うものだから、お父さんも怒ってしまい「日本に帰れ」と言ってしまいます。そしたら、娘が家族に向き合わない父親にブチ切れてしまいます。さすがに反省した父親ですが、極端に無口な男で「自分が居場所になる。だから戦う」とわけのわからないことを言い、なぜか娘も「私は居場所を探してばかりいた。これから自分で居場所を作る」と理解してしまいます。自分も日本人なのでなんとなく、言いたいことの雰囲気はわかりますが、外国人からするとわけがわからないでしょう。そもそも、こんなに無口で口下手な日本人って、映画ではよく見ますが、実際にいるんでしょうか?やはりフィリピンでの評価は低く10点満点中の4点です。

途中で印象に残ったのは、主人公親子をだます日本人。フィリピン人にまで「お前は何年フィリピンに住んでいるんだ。ここでは日本人が一番信用できないんだ」とまで言われてしまいます。さすがに、一番信用できないとまでは思いませんが、フィリピン以外に住んでいる日本人と、フィリピンに住んでいる日本人は違いますね。もちろん悪い意味で。悪い社会には悪い人が集まってくるのでしょう。実際、ヤクザもたくさんいますしね。フィリピンにいる日本人ヤクザについては、そのうち記事を書きたいですね。

そして後半。やる気を出した主人公にスパーリングパートナーの依頼が来ます。そこで成果を出して、国内チャンピョンの試合の前座で試合ができることになります。びっくりしたのは、スパーリングパートナーを呼んだボクサー役が、生ける伝説マニー・パッキャオじゃないですか!?自ら広告塔となってボクシングを宣伝するのは立派ですね。ちなみに、フィリピンにはいくつかボクシング映画があるのですが、私の知る限り、いずれもパッキャオの伝説を振り返るものです。こちらもいつか記事を書きたいですね。

ラストは、誰もが予想できるように試合のシーンです。誰かがレビューで「チャンピョンの試合に見えない。予算がなかったのかもしれないけど」とコメントしていましたが、こんなもんですよ。世界戦の前哨戦でさえ、キャパ1000人の会場(ホテルの宴会場)で600人くらいしか入らないのが、フィリピンのボクシングですから。初めの方のシーンでジムの若手が試合に負けて、ファイトマネーとして2000ペソ(5000円くらい)を握らされるのが生々しかったですね。

気になったのは、主人公が住んでいるのは風景からマニラの郊外だと思うのですが、ミンダナオまでトライシクルで行けたりと適当なところがあります。全体的に、映像はすごくきれいで、バギオのシーンも良かったです。

作品情報

オリジナルタイトル:DitO

公開年 2024年

監督 結城貴史

主なキャスト 結城貴史

田辺桃子

Mon Confiado (アリサカ)

Lesley Lina

視聴可能メディア U-NEXT(レンタル)(日本語字幕!

作品トレイラー