いろんなサイトで確認しましたが、どこも本作をフィリピン映画、あるいはフィリピン・アメリカの共同制作映画となっています。しかし、実際に見てみるとフィリピンらしいところは全く見つけることができませんでした。登場人物は西洋人か、少なくとも西洋人に見える人。建物も西洋建築。よく出てくる警察署にはアメリカの旗が飾ってありますし、ローカルの人が映し出されることもありません。序盤のベトナム戦争のシーンをフィリピンで撮っただけというように見えますが、一応フィリピンで撮影されているようです。熱帯の森ではない森が見えるのでバギオあたりで撮影されたのでしょうか?
お話としては単純で、ベトナム戦争のコマンダーが主人公。帰国後、妻が見当たらない。妻を探して各所を聞き込みしてまわりますが、その度に命を狙われ、逆に撃退していくという話です。
ストーリー
(ネタバレですが問題ないでしょう)最初に金髪白人女性のプールのシーンで始まります。一生懸命男が口説こうとするのですが、女は相手にしません。その後、主人公登場で、ベトナム戦争のシーンになります。低予算映画なので、そこそこ戦闘を描いて、手りゅう弾でわらでできた家を燃やしたりする程度です。帰国後、妻がいないので、各所に聞いて回るのですが、その度に悪漢に襲われてしまいます。しかも、主人公が妻の居場所を聞き出そうと手ぬるいことをするので、その度に悪漢が反撃、結局は撃ち殺してしまいます。そのため、なかなか黒幕がわかりません。その後、中ボスが登場。この中ボスは「黄金の手を持つ男」と呼ばれているのですが、実際に登場すると笑えます。ドラクエの装備の「黄金の爪」みたいな手をしています。そうこうしているうちに、殺人犯として警察に通報されてしまい、警察からも追われる身となります。警察は大部隊を編成し、主人公を襲撃するのですが、逆に返り討ちにされてしまいます。全く無意味な犠牲でしたね。その後、主人公はついにラスボスにたどり着きます。その時の姿はなぜか忍者ルックです。そして、ようやく妻がなぜさらわれたのか(その時点では殺されていた)を知ることになります。というのは、主人公がベトナムに派遣されているあいだに、妻を口説こうとするも振り向いてもらえないのでさらったというのです。最初のシーンはラスボスが口説いているシーンだったのですね。もちろん、ラスボスは倒され、主人公はそのまま逃亡。のちに警察に捕まり、獄中死したとテロップで流れます。
監督、出演者情報
まったくフィリピン要素がない映画ですが、監督のTeddy Pageはフィリピン人のようですね。彼が監督として撮影された映画はたくさんありますが、ほとんどが西洋人を起用して、フィリピンで撮影されたようです。また、本作で主演を務めたRichard Harrisonはアメリカ人。主にヨーロッパのB級アクション映画を主戦場にしていたようで、晩年は香港やフィリピン映画に出演していたようです。本作もその中の1つですね。彼は著書「Gods In Spandex」の中で、「ペイジが監督した映画には完全な撮影台本がなく、多くのシーンが即興で行われたため、物語が支離滅裂になった」と述べています。とは言え、フランスのB級映画ファンの間では、彼の作品はカルト的な人気を博したのだそうです。
作品情報
オリジナルタイトル:Fireback
公開年 1983年
監督 Teddy Page
主なキャスト Richard Harrison
Bruce Baron
視聴可能メディア Amazon Prime Video(レンタル)(日本語字幕)