自閉症をテーマにした家族再生のドラマ「キー・トゥ・ザ・ハート」

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ジャケット写真からお笑いをテーマにした映画かと思って見ましたが、高機能自閉症をテーマにした映画でした。自閉症をテーマにした映画と言えば、大昔に「レインマン」を見た以来じゃないかと思います。とは言え、どちらかと言えば、自閉症がテーマというよりも、家族再生の物語でした。父親の暴力によって、離れ離れになっていた兄が、母と高機能自閉症の弟との生活を再開し、弟のピアノコンクール出場に向けて、家族の絆を再構築するという話です。どうやら、この映画は2018年に公開された韓国の同名タイトルの映画のリメイクのようです。ボクシングのシーンや、交通事故にあったのに、ひいた側が脅すシーンがあったりと、随所にフィリピンぽい要素がありますが、韓国のオリジナル版にアレンジを加えているのでしょうか?

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ストーリー

主人公は3人、1人はボクシングの道にしがみついている39歳の無職。彼は、子供のときに母親に捨てられたと思っています。それから、彼の母親と弟です。弟は高機能自閉症で、かなり知的には低そうですが、ピアノを弾かせると天才的と言われています。母は、厨房で働きながら家計を支えています。母は、仕事をしながら障害を持つ息子を育てるのが大変で、人の手を借りようとフェイスブックを教えてもらったところ、生き別れた長男を発見します。そこで会いに行って、一緒に住もうと提案します。過去のいきさつから、長男はそれを拒否するのですが、ちょうど交通事故に遭ってしまったこともあり、母たちと一緒に住むことを受け入れます。交通事故のシーンがフィリピンらしく、入院した病院に代理人があわられ、お金を渡します。「誰が聞いたのか?」と何気なく聞いたところ、「恐喝するつもりならば、それは許さない。我らファミリーは力を持っているから手も足も出せないぞ」と脅しをかけられてしまいます。まあ、お金を持ってきただけ、フィリピンでは良い方ですよね。

さて、兄は、母たちと一緒に住み始めるのですが、そこで初めて、弟が自閉症であることを知ります。一緒に住んで戸惑うことや、腹が立つこと、様々なことがあるのですが、弟のピアノの演奏を聴いて、何とかコンテストに出してあげたいという気持ちが強まります。たまたま、交通事故を起こした金持ちの娘が、元ピアニストで、コンクールに強い影響力を持つことを知った兄は、弟と一緒に、金持ち一家を訪れます。そこで、演奏を聴いた彼女は、弟を支援することを決め、3人でコンクールを目指すことになります。ところが、そのとき、母親がこっそりと癌の治療を受けていることを知ります。果たして、この家族の運命はどうなってしまうのでしょうか?

金の力で交通事故をなかったことにする金持ち一族の力を借りて、障害者のコンクール出場に反対する人たちの意見を封じ込めるという、金の力で何でもできるところがフィリピンらしかったです。しかし、これは原作が韓国映画なんですよね?韓国も金で何でもできる社会なのでしょうか?

自分は高機能自閉症には詳しくはないのですが、演奏を聴いただけで、どんな難しい曲でも演奏できるというのは無理があるのではないでしょうか?仮に完全に音を覚えることができても、指を動かすことは別の問題だと思うのですよね。家にピアノもなく、コンクール直前にお金持ちの人の家でする練習を除いて、全く練習のシーンはありません・・・。また、仮に聞いた曲を完コピできたとしても、元受賞歴のあるピアニストの心を動かすことができるのかなぁとは思って見ておりました。

出演者情報

何と言っても本作で魅力的な演技をしていた母役のDolly De Leonは、数々の国際的な賞を受賞しているフィリピン映画界のレジェンドです。表情が何ともいいですね。時に愛らしく、時に哀れな感じで。また、自閉症の役を演じたElijah Canlasは、ゲームボーイズで、愛らしい同性愛者を演じたことが印象に残っています。本作でも、彼の愛らしさがなければ、映画として成立しなかったのではないかと思います。

作品情報

オリジナルタイトル:Keys to the Heart

公開年 2023年

監督 Kerwin Go

主なキャスト Zanjoe Marudo

Dolly De Leon(A Very Good Girl

Elijah Canlas(ライブスクリーム 戦慄の脱出ゲーム)(ゲームボーイズ THE MOVIE ~僕らの恋のかたち~

視聴可能メディア Netflix(日本語字幕)

作品トレイラー

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