フィリピン産のアニメがあることを知っていますか?「バランガイ143」

日本人にとってアニメは非常に身近なもので、どこにでもあるようなものだと感じているかもしれませんが、世界的にみるとそんなことはなくて、日本とアメリカ、そして長らく日本アニメの下請けをしていた韓国、中国くらいしかアニメを制作できる国はほとんどないんじゃないかと思います。まれにクリエーターが集まって、芸術祭に出すようなショートアニメを作ることはありますが、テレビシリーズのアニメを継続的に作っている国など、日本とアメリカくらいしかないと思います。ところが、フィリピンにテレビシリーズアニメがあると聞いたら驚きますよね。それがあるんです。「バランガイ143」というバスケットボールもののアニメです。正確に言うと、日本、シンガボール、フィリピンの共同制作ですが、日本やキャラクターデザインくらいしか関わっていないようで、主にフィリピンで制作されています。シンガポールが果たしている役割は謎です。

内容的には、結構トンデモで、驚くべきことに主人公が韓国人。韓国ではナショナルチームレベルのバスケットプレイヤーだったのですが、フィリピン人の父を持つ彼は、フィリピンに移住して、父の足跡を追います。その中で、地域のバスケットボールチーム、バランガイ143に加入して、チームは躍進していくというのが大まかなストーリーです。これだけ聞くと、王道のスポーツアニメと思うかもしれませんが、びっくりするくらい日本のスポーツアニメとは異なっています。まず、主人公らの練習のシーンはほぼありません。練習の中で、もがき成長するという要素はないですね。ほとんどを占めるのが恋愛ドラマで、韓国から追いかけてきた元彼女と、チームのマネージャをしている女の子と主人公の三角関係がドラマの中心になります。

また、フィリピンらしいのは、ただの地域のバスケットボール大会なのですが、マフィアが関わっていて、試合で不正をするために普通に人が殺されます。正直なところ、主人公と主人公が属するチームが何を目指しているのかさえわからないまま進行するので、見続けるのがなかかな辛いものがありました。私はシーズン1をなんとか完走したのですが、シーズン2に入ることなく離脱しました。シーズン2を見るともう少し面白くなってくるのでしょうか?アジア地域全体での放映を目指していたらしく、Netflix Asiaで視聴されたタイトルトップ10に入ったこともあるらしいので、そこそこヒットしたのでしょうか?私は、周りのフィリピン人に、このアニメのことを聞きましたが、知っていた人は1人もおりませんでしたが・・・

アニメとしてみても、おそらくまだまだ発展途上で、試合のシーンはほとんどなく、ボールをゴールまで運ぶシーンはほぼありません。同じレイアップとダンクのシーンが繰り返し使われます。見ていると、バスケットボールものを作りたかったのではなく、韓国ドラマみたいな恋愛ドラマを作りたかったのかなという印象を受けました。現在、日本のNetflixのタイトルからは外れていますが、Netflix Asiaでは、まだ見れるかもしれません。機会があれば、話のネタに少し見ても面白いのではないでしょうか。

作品情報

オリジナルタイトル:Barangay 143

公開年 2018年

監督 Jyotirmoy Saha

視聴可能メディア Youtubeにアップされていて、自動生成の日本語字幕もつけられますが、英語字幕の方がわかりやすいかも・・・