まず、タイトルの説明からですが、Dormitoryoは、スペルから想像できるようにDomitoryのタガログ語で、「Mga walang katapusang kwarto」は、「終わりのない部屋」くらいの意味です。つまり、下宿人たちの物語です。不倫カップル、詐欺に騙されてお金に困っている男、酔っ払って1回セックスした女を忘れられない男、二股関係に悩む女など、下宿人の悶々とした夜を描く地味な作品です。

(Photo cited from IMDb)
「Dormitoryo: Mga walang katapusang kwarto」のストーリー
下宿の大家が、学生が殺害されたというニュースを不安そうに見ているシーンから始まります。その後、美術系学生(チャールズ)が下宿に戻ってきます。また、同じく美術系の学生(マックス)が同じ下宿に住んでおり、彼は投稿せずに、ずっと部屋と女とイチャイチャしています。後半にわかることですが、この女には夫と子供がおり、夫が帰宅しない日に、マックスの部屋に遊びに来ているようです。マックスは、美大を何回も留年しているようなダメ学生、芸術家崩れのブ男なのですが、何が良くて不倫しているのでしょうか? マックスによれば、チャールズは自分と違って才能があると考えています。チャールズの作品で描かれる人物のプロポーションが完璧で、あれはデッサンを相当積んできた男だと評価しています。しかし、実際のところ、チャールズは自分物を描くときに、写真をトレースしています。
この2人のイチャイチャ、時にちょっとした口論、チャールズが隣の部屋から聞き耳を立てるシーンが30分続き、いったい何を見せられているのだろうと、不安に思っていましたが、30分を過ぎたあたりから、他の住人も帰宅し、少しずつ物語らしきものが動き始めます。
だいぶ夜も更けてから帰ってきたのは、若い男(ラモン)とそのゲイカップルの警察官でした。この警察官は、驚くとすぐに拳銃を抜くというバカボンの警官みたいな人です。しかし、フィリピンでは、帰宅時に拳銃を置いて帰らないんですかね? やがて、ラモンが出資を集めた事業が詐欺だったことがわかり、300万ペソの借金を背負ったことを、警官に告白します。しかも、出資者に市長が含まれていたため、返金できなければ殺害されることは避けられません。このあたりがフィリピンですね。2人は、しばらく金策を考えていましたが、どう考えても無理だということで、2人で自殺しようと様々な手を講じます。ところが、いずれも上手くいきません。
さらに夜が更けて、若い女(ジェニー)と、その恋人の男が帰宅しました。男はすっかり酔っ払っており、すぐに寝入ってします。ジェニーは、共同スペースで洗濯をしていると、チャールズが話しかけます。実は、序盤にチャールズがたくさんメッセージを送るも、既読無視されていた相手が、ジェニーだったのです。やがて、この2人は酔っ払ってセックスしたことが1度あることが判明し、恋人のいるジェニーはチャールズを避けているものの、チャールズが執着している関係がわかります。しかも、徐々にわかってくるのは、ジェニーは妊娠しており、それが恋人の子供なのか、チャールズの子供なのかわからないことです。恋人は、ちゃんと避妊する男で、妊娠したことを知って「俺はいつも避妊していたはずだけどな・・・」と言う反応で、結婚する意志も見せないので、悩んでいるのです。
そんなこんなで、夜も明けてしまい、マックスの不倫彼女が帰宅することにしました。朝までに帰らないと夫にバレてしまうためです。こっそりと下宿を抜け出そうとすると、大家に見つかってしまいます。大家は「この下宿は、お泊り禁止よ」と、彼女に注意します。彼女は「昨日はひどい雨だったから」と言い訳します。お泊り禁止だったんですね。チャールズ以外、みんな部屋に恋人を招きいれていますが・・・。
(ネタバレ)そんな頃、チャールズの熱心なアプローチに、ジェニーもほだされ、ついに熱烈キスが始まります。そんな時、ジェニーの恋人が携帯の着信音で覚醒し、ジェニーを呼びに外にでたときに、2人のキスを目撃してしまいます。怒った男が、チャールズに殴りかかります。騒ぎを聞いた他の住人が、男を止めようとするのですが、男の怒りは収まらず大乱闘になってしまいます。これには、大家や帰宅しようとした女も加わります。そして、すぐに拳銃を抜いてしまう警察官も争いの輪に加わります。やがて、銃声が8発ほど聞こえたところで、唐突にエンディングです。
最後、人を殺してオチを付けるという、フィリピン映画の悪い癖がでてしまった作品です。結局、最後に帰宅した女の物語が、大騒動に繋がるわけですが、彼女の登場は終盤であり、不倫カップルのイチャイチャが作品の尺の大半を占めていたりと全体における尺のバランスの悪さが気になりました。また、不倫カップルのイチャイチャ、ゲイカップルの自殺失敗は、コメディシーンのつもりだと思いますが、それほど冴えてもおらず、全体的にイマイチな印象でした。
「Dormitoryo: Mga walang katapusang kwarto」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたEmerson Reyesさんは、2本しか長編映画作品がない監督さんです。本作は、その2本目で、それ以降作品がなく、他の役割で映画やテレビドラマに関わっているわけでもないため、この業界を離れた人だと思います。まあ、この作品では、今後資金が集まりそうもありませんね・・・。俳優陣の中で目を引いたのは、一番悶々としていたチャールズを演じたCharles Aaron Salazarさんです。大泉洋のような容貌です。パッとしない雰囲気に味があり、良さそうな俳優ですが、出演作も少なく、この5年では1本の作品にしか出演していません。
「Dormitoryo: Mga walang katapusang kwarto」の作品情報
オリジナルタイトル:Dormitoryo: Mga walang katapusang kwarto
公開年 2017年
監督 Emerson Reyes
主なキャスト Ces Quesada
Charles Aaron Salazar
Max Celada
視聴可能メディア Youtube(英語字幕)
