ダメな父親が娘と再会、宝石のような時間を過ごす「ドールハウス 〜想いをこめて〜」

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日本の映画サイトでは、父親がダメ過ぎて無理だったというコメントで溢れていた本作品ですが、そんなことはありません。コメントを書いたのは若い人だったのでしょう。おじさん世代が見れば、全然違う印象を受ける映画だと思います。特に、自分の過去にダメなところがあった人には、すごく刺さる映画だと思います。また、ダメな人が、完全には許されないものの、ある程度許されるところが、日本とフィリピンの違いでしょう。フィリピンにある種の憧憬を持つおじさんには、おすすめできる映画です。

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「ドールハウス 〜想いをこめて〜」のストーリー

主人公の男は、バンドミュージシャンのダメな男です。とは言え、ダメなシーンはあまり描かれていないのですが、ドラッグにはまっており、妻が亡くなったときにも現れなかったと語られています。この主人公の男の所属していたバンドの仲間が、ドラッグの過剰摂取で死亡。そのショックもあり、かつて住んでいたオランダのロッテルダムに旅に出るところから物語が始まります。パスポートには、様々な国のビザが貼ってありました。フィリピン人で結成されたバンドで、あれだけの国で公演ができるならば、相当成功したバンドだと思いますが、彼のミュージシャンとしての成功は劇中ではまったく触れられません。

そのロッテルダムで、主人公は、たまたま知り合ったフィリピン人が、自分の娘を育てていることを知ります。娘の母(自分の元妻)は、ロッテルダムで主人公と別れたのち、苦労ののち亡くなり、娘は親戚に育てられていたのです。偶然、自分の娘(おそらく7-8歳?)に再開した主人公は、名前を偽って、近所のおじさんとして娘に接近。時々、娘のめんどうをみるポジションをゲットします。しかし、いくらフィリピン人同士だとしても、自分からベビーシッターの仕事をしたいと言って、幼い女の子に近づいてくるおじさんに、それを任せますかね?

そして、2人は夢のような楽しい時間を過ごします。その時に、娘のために段ボールで作ったのが、タイトルになっているドールハウスです。とは言え、やがて正体がばれて親戚は激怒。ふたりは離れ離れになります。その後、娘が、学校の小さな規模のですが、歌のオーディションの出たいというので、ほんの2日間ですが、2人の逃避行みたいなこともあり、我々に夢を見させてくれます。しかし、このシーンは若い人が見ても「こんなの、ほぼ誘拐でしょ」と思うだけでしょうね・・。最後の楽しい時間を終えてしまえば、あとはお別れが待っています。その後、男はまたドラッグに耽ってしまい、物語はラストへと向かいます。

男のダメなシーンは、基本的に語られるだけで、映画のほとんどが再開した娘と楽しい時間を過ごすシーンに使われます。そういう意味で、非常に心温まる映画でした。また、この娘役の子が非常にかわいらしいのも良かったです。

あとは細かい突っ込みですが、肝心のオーディションのシーン。娘が下手な歌を歌うのですが、途中から声が変わり、プロの歌手の歌になります。あれは何だったのでしょうか?おじさんの頭の中で、プロが歌ったように聞こえたのか?それとも、雑な演出だったのか?そもそも、オランダで生まれ育って、オランダの学校でオーディションに出ているのに、なぜタガログ語で歌を歌うのか??せっかく、オランダでロケをしたというのに、オランダ要素が全くと言ってよいほど無いのがもったいないですね。オランダ人も、救急隊員や病院のスタッフなど、モブ役でしか登場しません。ロッテルダムの有名な場所がシーンとして用いられることもありません。

フィリピンを知らない日本人が見ると違和感があるだろうシーンに注目すると、本作はざっくり言えば、相当迷惑をかけた父親が今さら娘に会いたいと言って執着する話です。当然、親戚は父親に会わさないように動くのですが、それが中途半端なところが、フィリピンらしいなと思いました。なんだかんだ言って、反省の態度を示している相手を、完全には拒否できない、ある程度許してしまいます。これが日本人だったら、絶対に会えませんよ。警察を呼ばれます。そういうところも、ある程度年をとったおじさんには刺さるのではないでしょうか。

「ドールハウス 〜想いをこめて〜」の作品情報

オリジナルタイトル:Doll House

公開年 2022年

監督 Marla Ancheta

主なキャスト Baron Geisler

Althea Ruedas

視聴可能メディア Netflix(日本語字幕)

「ドールハウス 〜想いをこめて〜」のトレイラー

予告のサムネイルには、日本語字幕と書いてありますが、トレイラーには字幕はついていません。

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