私はボクシング映画が好きです。大のボクシングファンと言うほどではありませんが、若いころは格闘技通信を定期購読してボクシングを研究していました。私の場合、ジムを見学して、ボクシングをやるには背が高すぎることに気づいたので、少林寺拳法を選びましたが、ボクシングを愛する平凡な男の物語には、惹かれずにはいられません。本作は、ボクシングを愛する普通の男の生活、家族関係、控えめな恋愛を描くものです。ボクシングを通して、フィリピンの市井の人々の素朴な生活が描かれるものいいですね。タイトルの「Guerrero」は、主人公の苗字でした。ただ、スペイン語で「戦士」の意味だそうです。ラテン系の野球選手に「ゲレーロ」という名前をときどき見かけますが、それが戦士を意味すると知ると、先祖の歴史が想像されて感慨深いですね。

(Photo cited from IMDb)
「Guerrero」のストーリー
ボクシング狂いの少年(ミゲル)が、学校が終わるやいなや、試合を見るために駆けだすシーンから始まります。試合会場に到着すると、すでに試合が終わっており、ミゲルの兄(ラモン)が珍しく、試合に勝利していました。めずらしい、兄の勝利を見逃して、ミゲルは残念がります。
家に帰ると、母は不機嫌です。母は、顔を腫らして帰ってくる息子のことを心配しており、ボクシングに対して否定的な態度をとります。しかし、ミゲルにとっては、試合で滅多に勝てなくてもラモンはヒーローです。ミゲルは、兄にボクシングを教えて欲しいと頼むのですが、「そんなことしたら、母に怒られる」と言って断ります。
家族のシーンのあとは、ミゲルの眼を通して、街の人々が描かれます。子供たちがスパイダーファイトをやっているシーンが印象に残りました。フィリピンの子供たちの間ではやっているギャンブルだとは聞いていたのですが、初めてどんなものなのかを知りました。
そのうち、ギターを抱えた美人(アビー)が登場し、ミゲルが積極的に兄を紹介しました。ラモンとアビーは、控えめながら、徐々に親しくなっていきます。ところが、2人のあいだを取り持ったミゲルの態度がよそよそしくなります。ラモンは不思議でならず、ミゲルに尋ねるのですが、ミゲルは最後まで答えることはありませんでした。おそらく、自分もだいぶ年上の綺麗なお姉ちゃんを好きになってしまったのでしょう。
練習と恋愛という穏やかな日々が続いていたのですが、冒頭でラモンに敗北したボクサーが再戦を申し込んできました。正直、前回の試合はラッキー勝利でしかなく、再戦すれば負けると思っていた会長は断りますが、恋愛で浮かれていたのか、ラモンが引き受けてしまい再戦が決まります。試合の前には、ボクシングに反対していた母親がトランクスを作ってくれました。
そして、いよいよ試合が始まりました。ミゲルやアビーの応援もむなしく、ノックアウト負けしてしまいます。しかも、そのまま意識を失ってしまい病院に運ばれます。
(ネタバレ)ラモンが病院で目を覚ましました。そのまま病院を抜け出し、家に帰ったところ知らない人が住んでいました。記憶が混乱しているのかと戸惑うラモンですが、街中でアビーを発見しました。ところが、アビーには夫と子供がおり、ラモンが激しく混乱します。アビーは泣いており、何か説明しようとするのですが、激怒した夫に引きはがされ、真相を知ることができませんでした。その後、ジムに行ったところ、ジムには練習生はいませんでしたが、会長は健在でした。ラモンは、会長から、自分が5年間も昏睡状態であったことを聞かされます。そして、自分の母親が既に亡くなったことを知り、号泣します。弟のミゲルを探すのですが、彼は見つかりません。ラモンは、たまたま出会ったジム仲間と会長で、ジムを再興することを目指します。最後のシーンは、ミゲルからの手紙が見つかり、「兄は自分にとっていつまでもヒーローだ」と書かれていました。ラモンは、再びロードワークに出ます。そしてエンディングです。
結局、ミゲルが見つからなかったのは、子役の5年後を演じられる適当な青年が見つからなかったためでしょう。日本と違って、ゆるい雰囲気のジムの様子が描かれていたのが面白かったです。しかし、本作の魅力は、圧倒的なかわいさを見せたヒロインの存在です。フィリピン映画には、可愛いヒロインはいますが、彼女レベルはそんなにいません。作中のボクシングジムの人たちのように、見た人も虜になること確実です。
「Guerrero」の監督、出演者情報
本作の監督を務めたCarlo Ortega Cuevasさんは、本作を含めて映画作品が4本しかなく、しかも1本は本作の再編集版(?)なので、よくわからない監督さんです。しかも、2019年を最後に映画やテレビの世界での実績がないので、もう映画界を引退しているようです。役者たちも、同監督の作品くらいにしか出演作品がないので、おそらく監督さんの知り合いなのでしょう。それでも、ヒロインのJoyselle Cabanlongさんは可愛すぎでした。その後の芸能界の活動がないのが惜しまれます。
「Guerrero」の作品情報
オリジナルタイトル:Guerrero
公開年 2017年
監督 Carlo Ortega Cuevas
主なキャスト Genesis Gomez
Julio Cesar Sabenorio
Joyselle Cabanlong
視聴可能メディア Youtube(英語字幕)

