海辺を舞台に褐色の肌の女性が乱れる「淫らな貝　愛欲のローテーション」

フィリピンのエロ映画には、大きくわけて２つの潮流があるように思います。１つは都会を舞台にしたサスペンス色の強い作品。もう１つは、田舎の生活を舞台にしたゆっくりとした愛憎の物語です。どちらが面白いかと言えば、正直なところ都会を舞台にした複雑なシナリオの作品の方なのですが、あえてフィリピン映画でエロチックな作品を見るならば、フィリピンの田舎の人々の愛だの嫉妬だのという物語を見るほうが興味深いところもあります。また、本作では褐色の肌、アフリカ系の血が入っているのかな、という女優さんたちも出演しており、日本や他の先進国では見られない雰囲気を醸し出しているところが良いところです。オリジナルタイトルの「Palipat-lipat, Papalit-palit」は、あちこち移動するという意味です。

「淫らな貝　愛欲のローテーション」のストーリー

あるのどかな漁村の話です。貧しくも仲良く暮らしていた夫婦がおりました。ある日、海岸に倒れている女（アミ）を発見します。なぜか、誰も彼女の素性や、この村に流れ着いた理由を聞きません。ともかく、夫婦のうちに居候することになりました。漁村の女たちは、肌が黒く顔つきもアフリカっぽいのですが、アミはどちらかと言えば、色白で東アジアの顔つきなため、人目を惹きます。この時点でどういうことが起こるのか予想がつき、その通りに物語は進行していきます。つまり、夫婦の営みを目撃するアミは、やがて欲情し、夫であるラリーを誘うようになります。

やがて、アミとラリーは関係を持つようになり、当然、それは妻（エドナ）にばれてしまいます。エドナは激怒。しかし驚いたことに、ラリーは、重婚のような関係を提案。彼女らはしぶしぶその提案を受け入れます。ラリーは、その日の食事のときに、タオルを肩にかけた相手とその夜を過ごすというルールを提案します。当初は、アミが多く選ばれていたのですが、徐々に彼女の底意地の悪さが見えてきて、ラリーは妻とのよりを戻します。勝ち誇るエドナ。やがて、２人の仲睦まじい姿に嫉妬したアミは・・・いつもの展開です。物語を終わらせるために悲劇的な結末を用意するというのが、フィリピンスタイルなので、そこはそんなに気にしなくて良いでしょう。

田舎を舞台にしたエロ映画は、ストーリーの進行も遅く、かったるいところもあるのですが、人々の生活が垣間見えて面白いですね。本作の舞台の漁村では、ムール貝の養殖が盛んで、どのようにムール貝のとりかた、ムール貝の表面をきれいにする方法などがわかり、興味深かったです。フィリピンのメジャー系制作会社スターシネマ系では、フィリピン人が好きな恋愛映画が制作されますが、そういうのは都会での理想的な暮らしを描いており、登場人物が何をして働いているかさえわかりません。ただ、大きく綺麗な家に住んで、高級車に乗って、ひたすら恋愛関係にのめりこむというのが定番で、外国人の我々からすると、アメリカ映画の真似みたいな作品はあまり楽しめませんから、こういうエロの渋い映画はいいですね。

「淫らな貝　愛欲のローテーション」の監督、出演者情報

監督は数々のエロ系作品を撮っているRoman Perez Jr.さんです。もうだいぶ彼の作品を紹介しましたので、そろそろ専門ページを作る必要がありそうですね。リンクを貼るのが大変です。性格の悪い女を演じたのは、Aiko Garciaさん。フィリピンで最初にAikoという名前を見たときには、日本人とのハーフなのかなと思いましたが、意外とよくある名前です。日系の名前というわけではなさそうです。そこそこ美人ですが、田舎臭さも持っているので、田舎系エロ映画によく出演しています。奥さんを演じたDenise Estebanさんは、黒人の血が入っているのか、日本にはいないタイプの女性です。こういうタイプの女性もいることで、映像としては面白さが増しますね。さらに、メインの役ではないのですが、村のヤリマン女性を演じたRain Lunaは、もっとアフリカ系の血が強い見た目です。映画サイトを見ても、この作品にしか出演していません。わざわざ、彼女をキャスティングした意図を察するに、本作のテーマは、褐色の肌なのではないかと思いました。