タイトルから、フィリピン人が好きな美人コンテストの話かと思いましたが、恋人の美容整形の手術を工面するために、ギャングのボスのお金を盗んだ男とその彼女、そしてボスからデート出来たら許してやると名指しされた人気セレブ女性の3人の物語でした。全体的には、ボスに返すお金を工面するために、男の仲間たちが駆けずり回り、万に一つの可能性にかけて、人気セレブに近づこうとするコメディ作品です。そのうえで、そんなに深入りするわけではありませんが、フィリピン人の美とは何か、自分を愛することの重要性が説かれるというオーソドックスな作りとなっています。

(Photo cited from IMDb)
「Pinay Beauty」のストーリー
ギャングのボスの金を盗んだ男(ミグス)がリンチを受けるシーンから始まります。ミグスは、お金は自分の彼女が夢を叶えるための美容整形代に使われると説明します。そこで、ボスは、ミグスに美容整形をキャンセルしてお金を返すか、死ぬか、人気セレブ女性のラブリーとデートさせるかの三択を迫ります。
ミグスの彼女(アニー)の夢というのは、(多分香港の)ディズニーランドで働くことでした。白雪姫に憧れており、何度もオーディションを受けましたが落ち続け、自分の仲間たちの中では、オーディションに落ちているのは自分だけになってしまいました。アニーは、自分の褐色の肌、低い鼻などが原因で落ちているので、白雪姫が演じられるような顔に整形することを決意したのです。そして、アニーを愛するミグスが命をかけて、ボスの金を盗んで、アニーに整形を受けさせることにしたのです。
一方で、ラブリーは自分のイメージを変えるために、新しいことにチャレンジしたいと考えていました。ドラマで汚れ役をやろうとすると、スポンサーからのクレームが入り、自分のイメージを変えることができません。どうにか、現状を打破しようと試みるのですが、ことごとく上手くいきません。
ミグスと、彼の仲間たちは、様々なところからお金を借りようと奔走したり、ラブリーに接触しようとしますが、ことごとく失敗します。いよいよ、ミグスの命が危ないのではないかと、仲間たちが話しているのをアニーが聞いてしまいます。彼女は、美容クリニックにいってキャンセルをしようとするのですが、払い戻しの期限を過ぎており、払い戻しに応じてはもらえません。
また、ミグスもさすがに命の危険が迫ってきたためナーバスになり、アニーと大喧嘩します。整形手術などしなくてもいいのに、自分が命を張ることになってしまった。彼女が醜いのではない。彼女の自分に対する眼差しが醜いんだと。自暴自棄になって酷いことを言ってはいますが、それでも優しい言葉ですね。
いよいよ、手術の日とお金の返済日がやってきました。アニーは手術に臨み、ミグスは最後のチャンスにかけて、ラブリーの楽屋に忍び込みました。ところが、雑誌記者と間違われ、ミグスはラブリーと話すことができました。最初は、雑誌記者のふりをして、ラブリーをボスの元に連れて行こうと試みたのですが、すぐにバレてしまい、ほとんどむりやりラブリーを連れ出します。
(ネタバレ)結局、アニーは手術室から麻酔を受ける前に脱出。どういうわけか、ラブリーと出会います。そして、自分の恋人を救って欲しいと懇願します。ラブリーは、せっかくフィリピン人らしい美をもっているのに美容整形をしようとするアニーをいさめ、多くの人から人気を得るよりも、たった1人から愛されることの方が価値があると説きます。
その頃、ミグスと仲間たちがボスに対面していました。やむなく、自分の姉をラブリーに見立てて、誤魔化そうとしますが、当然バレてしまい、ミグスの命運もここまで・・・というところで、アニーとラブリーが現場に駆け付けます。ラブリーの威勢の良い振る舞いに、ボスは感心し、無事一件落着となるかと思いきや、パトカーが駆け付けました。ラブリーが来ることなど予想できなかった仲間が、ミグスを救うために警察を呼んでいたのです。怒ったボスは、拳銃を発砲。アニーの顔に当たります。結局、アニーは、例の美容整形の機会を使い、顔の手術を受けることとなりました。そして、手術のあと、訪台が外せるというときに、一同はあつまります。包帯を外したところ、そこには以前と同じアニーの顔がありました。アニーは、少し傷が残っている自分の低い鼻を見て、笑顔をみせます。そしてエンディングです。
顔に拳銃の弾があたって、整形手術で済むの? とは思いましたが、整形手術をしたけど、自分の顔を選んだという展開にするためには必要なシーンでした。全体的に悪くはないのですが、道徳的過ぎて、意外性がないのが物足りないと感じました。フィリピンで美容整形、ギャングのボス、芸能人という要素を盛り込むなら、もっとトンデモないものを作って欲しいですね、個人的には。
「Pinay Beauty」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたJay Abelloさんは、本作を公開した2018年に、「The Girl in the Orange Dress」で監督をつとめたあと、映画監督としては作品に関わっていません。主に、映像監督として多くの作品に関わっているようです。最後の「The Girl in the Orange Dress」は、マニラ映画祭のエントリー作品でもあるので、一定の評価はされていると思うのですが、なぜ監督をやめてしまったのでしょうか? 本作でアニーを演じたChai Fonacierさんは、その個性的なルックスを活かして、非常に多くの作品に出演している女優であり、シンガーソングライターでもあります。
「Pinay Beauty」の作品情報
オリジナルタイトル:Pinay Beauty
公開年 2018年
監督 Jay Abello
主なキャスト Edgar Allan Guzman
Chai Fonacier
Maxine Medina
視聴可能メディア Youtube(英語字幕のみ)

