本作は、同タイトルの韓国映画のリメイクです。韓国版は、日本では「怪しい女」というタイトルで上映されたようです。当然、私は韓国版を見ていないので、このフィリピン版がどの程度オリジナルに忠実なのかはわかりませんが、リメイクなので脚本がしっかりしており、安心して見ることができます。内容は、家族の中で邪魔にされたおばあちゃんが、若く見える写真を撮ってくれるという写真館で写真と取ったところ、自分の姿が20歳ごろまで若返ってしまいます。そして、たまたま孫のバンドにスカウトされ、音楽活動を始めるという物語です。監督は、女性映画監督として一時代を築いたJoyce Bernalさんです。本作は、2018年の作品なのですが、彼女は、その後、映画を撮っていません。まだ50代ですし、他の監督の作品にちょい役で出ているのを見かけるので、お元気だとは思うのですが、なぜ撮らなくなったのでしょうか? 最後の作品が、リメイクというのはアイデアが枯渇したとかでしょうか? 心配です。

(Photo cited from IMDb)
「Miss Granny」のストーリー
おばさんたちのマウント合戦から始まります。なにかとマウント取ってくるおばさんに当てられたのか、主人公の嫁が倒れ、医師からストレスを与えないようにと言われ、息子が、母である主人公を施設に入れようと言う出します。また、主人公の働く食堂で、レシピを盗んだと言って、かつての同僚の娘が騒ぐと言ったこともあり、主人公はすっかり嫌気がさします。そこで、ふらっと入った写真館で、若い時のような写真を撮ってくれると言われ、写真を撮ったところ、20歳頃の自分に若返ってしまいました。ここまでが導入です。しかし、非常にわかりずらいのは、主人公と、息子や嫁が同じくらいの年に見えるうえに、老女である主人公の方が働いており、嫁は働いていないため、最初は何が何やらさっぱりわからず混乱します。なぜ、もっと年の差がはっきりわかる人を起用しなかったのでしょうか?
さて、若くなった主人公はオードリーを名乗り、オードリー・ヘプバーン風の服に着替えます。きっと若いころにファンだったのでしょう。こんな姿で、家族の前に姿を見せることもできませんし、どうせ施設の話が出ていたので、一人暮らしを始めることとしました。とは言え、身体が若くても中身はおばあさんなので、年寄り向けのイベントに参加するくらいしか思いつきません。年寄りのカラオケイベントで熱唱しているところを、孫に見初められ、孫のバンドにボーカルとして参加することになりました。孫に連れられ、家族に会った際には、「嫁から、可愛いお嬢さんね」と言われ、恐縮します。
家族は誰もオードリーがおばあちゃんであることに気づきませんでしたが、昔からの友達のバートだけは気づきました。オードリーは、バートだけには自分の素性を明かしました。その後、バートとのやりとりによって、ケガをして血を失うと、その分若さが失われることがわかりました。
孫のバンドは、メタル系の音楽を志向していたのですが、プロデューサーがオードリーの歌に注目し、彼女の歌に合わせた楽曲を演奏するよう指示します。確かに、この路線変更は大当たりで、徐々に人気バンドになっていくのですが、やがて、孫の書いた曲がプロデューサーから、オードリーにあわせて書き直すようにと指示されるようになり、孫はすっかり不貞腐れてしまいます。とは言え、祖母と孫の関係ですから、ライバル関係などでは全くなく、一方的にオードリーが世話を焼き、上から目線で孫の才能をたたえます。これには、孫も毒気を抜かれてしまい、プロデューサーの指示する方向でやってみる気持ちになりました。若い姿をしているけれども、孫に「あーん」して食べさそうとしたり、一方的に孫の味方をするところが、コメディとして面白いところだと思いますが、フィリピン人の場合、若くても、そういう行動をしそうなので、きっと韓国版よりもギャグは不発だったのではないかと思います。
(ネタバレ)さて、重要なステージの日がやってきました。孫は楽器屋さんから直行することになっていたのですが、事故に遭って救急搬送され、会場に来ることができません。メンバーは、このまま舞台にあがるか迷いますが、孫の曲をみんなに届けたいと、オードリーの決断により、彼らは舞台でパフォーマンスを行いました。孫は、出血が多く輸血が必要となりましたが、孫に適応する血液が足りず、家族ではおばあちゃんだけが適合することが明らかになります。
バートは、「輸血してしまうと、元の姿に戻ってしまうが、それでいいのか?」とオードリーに問いますが、彼女に迷いはありませんでした。輸血をして、彼女はもとのおばあさんに戻りました。
1年後、孫のバンドが新しいボーカルを迎えて、大きなイベントで演奏します。曲の路線は、オードリーの影響を受けたものでした。観客席で熱心に孫を応援する主人公の姿を映して、エンディングです。
メインストーリーは、リメイクですし、しっかりしていましたが、年齢が重要な作品にも関わらず、登場人物たちが、どの年代の年齢かがわかりずらく、混乱を招く作品でした。おそらくですが、韓国版の方が出来が良いのではないかと思います。しかし、おそらく、歌はフィリピン版の方が良いんじゃないかと思います。
「Miss Granny」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたJoyce Bernalさんは、女性映画監督として大御所とみなされている人です。アントワネット・ハダオネ監督が弟子入りしたことでも有名です。とは言え、2018年公開の本作以降、監督として作品には関わっておらず、時々編集で、他の監督さんの作品に関わっている程度です。まだ50代と若いので、また作品を撮って欲しいですね。主役を演じたSarah Geronimoさんは、女優として作品に出ることもありますが、本業は歌手です。すでに13枚のアルバムを出しており、出せば20万枚は売れるというフィリピンでも屈指の歌手です。本作でも歌うシーンがいくつかありましたが、おそらく彼女自身が歌っているものと思われます。トンデモなく上手い歌手です。
「Miss Granny」の作品情報
オリジナルタイトル:Miss Granny
公開年 2018年
監督 Joyce Bernal(Last Night)
主なキャスト Sarah Geronimo
Nova Villa
James Reid
視聴可能メディア Bili Bili(英語字幕)

