おそらくは、フィリピンクオーターの監督が、フィリピン映画界の名作「インビジブル」にあやかって、日本にいるフィリピン人ではなく、フィリピンのスラムの人を取材すれば、それっぽいドキュメンタリー映画が撮れるんじゃないかという単純な発想から生まれたのだと思います。ところが、撮った映像をフィリピン人の祖母に見せて感想を聞くことで、予想外の展開を見せます。面白かったです。たった、25分の短編映画ですので、ぜひその目で見てもらいたいですね。本作は、第35回東京学生映画祭入選、第46回ぴあフィルムフェスティバルでグランプリを受賞しました。こういう作品が動画配信サイトで流れるのは珍しいですね。ひょっとすると、スポンサーとかになっていたのかも知れませんね。
ストーリーとか作品背景とか
監督は武蔵野美術大学在学中の学生です。映画の中でも少し語られますが、ある意味、フィリピンのスラムに可哀そうな人を探しにいったのですが、予想外にみんな「幸せ」だと言います。また、案外普通の仕事につく人もいて、監督を困惑させます。そこで、映像としてまとまったものをフィリピン人の祖母に見てもらうのですが、「可哀そうじゃないよ。そこで満足しているだけだよ。スラムから抜け出そうと思えば抜け出せるけど、食べるものを買えるお金を稼いだら、もう働かない。怠け者だよ」と予想外の反応が・・・。何とか、可哀そうな人として理解しようとする監督と、おばあちゃんの会話は、思わぬ自己開示へと展開し、監督の思ったものと全く異なる映画になってしまのでした。
監督としては、おばあちゃんの意見を聞いて、作品の編集しなおすという選択肢もあったのでしょうが、そのシーンをそのまま使うという決断が良かったですね。また、監督の戸惑いと、めちゃくちゃポジティブなフィリピン人おばあちゃんの対比が良かったです。これ以上語るとネタバレになってしまうので、この辺で止めることにします。
作品情報
オリジナルタイトル:I AM NOT INVISIBLE
公開年 2023年
監督 川島佑喜
主なキャスト 川島佑喜
Chie Kondo
視聴可能メディア U-NEXT(見放題)(日本語字幕)