フィリピン社会では、子なし夫婦は肩身が狭い「What If?」

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私もフィリピンで働いていたときは、同僚のフィリピン人は独身主義、あるいは結婚しても子供を持たない夫婦が増えてきていることを感じました。しかし、フィリピン社会では、たくさんの子供を持つこと以上の幸せはないという価値観が支配的ですから、なかなか辛いものがあるようです。本作は、現代的な価値観を持つカップルが、周囲の古い価値観の人々の悪気ない言葉に傷つき、やがて2人の関係も決定的に破綻していく様子を描いたものです。夫が最後にもらした言葉「僕はもう窒息しそうだ」という言葉に、共感です。見ている、こちらも窒息しそうでした。

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ストーリー

新婚のカップルの物語です。夫はミュージシャンで、妻は金持ち家庭に生まれたフリーランサーです。彼女は、非常に現代的な価値観を持った女性で、教養があり、思ったことをはっきり口に出す女性です。男はそこに惹かれて熱烈アタックして、結婚することになります。そして、離島の小島に新婚旅行に行きます。ところが、島には嵐がきて、天気の悪化とともに2人の関係も悪化してきます。女性は、卵巣の病気で、妊娠することが難しいことが判明し、あっさりと「子供はいらない」と宣言します。また、彼女の父親は支配的な性格で、彼女自身愛されたという記憶がないので、子供を持つことに拒否感があります。男は、彼女が治療しても子供が持てないかもしれないという罪悪感で、子供がいらないと言っているんだろうと思い、度量を見せるつもりで、治療を受ければ可能性はゼロではないので、まずは治療を受けてみてはどうかと提案します。それが彼女をいら立たせます。また、彼の母親はシンプルに孫の顔を見ることを望んでおり、能天気に「はやく子供の顔がみたいわ」と口に出し、彼女を苛立たせます。また、彼がそれに対して何も言わないことが、彼女をさらに怒らせ、小さな孤島で2人の関係は息苦しいほど悪化してしまいます。幸せの絶頂から新婚旅行に出たカップルが、もうどうにもならないほど関係が悪化していくという、息苦しい物語でした。

フィリピンで、女性の希望で子供を持たないとしても、男が「自分が子供を望まなかったので」とまわりに吹聴して守ってあげるくらいじゃないと、女性の心理的負担は大変なものだろうなと思いました。この女性も、フィリピン女性らしくなく、素直さがなく、常にひねくれたものの言い方をします。日本にはいっぱいいるタイプの女性です。都会に住む、現代的な価値観を持つ2人ですが、都会を離れて孤島で2人で過ごしたのが悪かったのか、いずれ破綻する関係だったのでしょうか・・・。

これからフィリピンの若いカップルが直面する息苦しさを描いた作品でした。しかし、日本人にとっては、このテーマはすでに過去のものになっており、フィリピン社会というものを想像しながら見ないと平凡な映画に見えてしまうかもしれません。この映画を身もだえしながら見れるようになったら、フィリピン映画上級者です。

作品情報

オリジナルタイトル:What If?

公開年 2023年

監督 Manny Palo

主なキャスト Alessandra De Rossi(キタキタ)(僕のアマンダ

JM De Guzman

視聴可能メディア Netflix(日本語字幕)

作品トレイラー

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