これは評価の別れる作品ではないでしょうか。要は、ずっと友達以上、恋人未満の関係を続けている2人の物語です。こういう関係を経験したことがある人にとっては刺さる映画だと思いますが、経験したことがない人にとっては、意味のわからない映画でしょう。ちなみに、自分は前者だったので、いろいろ思うところがありました。とは言え、その描きたいと思っている男女の関係はわかるのですが、ヒロインがそこまで魅力的に見えなかったので、そこが惜しかったですね。ヒロインを演じた女優が、脚本と監督も兼ねているので、女性視点の映画だと思います。
「僕のアマンダ」のストーリー
2人の男女、フーフィとアマンダは、ずっと友達以上恋人未満の関係です。お互いに「好きだよ」と言いますし、身体の関係はないものの一緒に旅行に行ったり、同じベッドで寝たりもします。しかし、「じゃあ結婚しようか」みたいな話になると、どちらもジョークで逃げてしまいます。フーフィには若くて可愛い彼女が、アマンダには、金持ちの政治家との結婚話が持ち上がっています。しかし、アマンダは結婚相手にお金狙いとみなされ、偽の結婚式をあげられたあと、捨てられることになり、また、フーフィとの関係に戻ります。また、アマンダは元夫の子供を宿していることが発覚。あとは想像どおりの展開になっていきます。最後のオチを除いてですが・・。最後のオチは何がやりたかったのでしょうか??全部、男の想像としたかったの?どこからが想像?あの赤ちゃんは?最後のオチを無視するのが良さそうです。
フィリピンの恋愛映画らしく、2人とも仕事をしているシーンが全くありません。なので、何をしている人かわからないのですが、おそらくクリエイティブな仕事をしているような設定なのでしょう。そうした自由なかたちで働いている男女が、すでに居心地の良い相手がいるにも関わらず、保守的な価値観に基づいて他の人と結婚しようとします。アマンダも、政治家で、自分に暴力を振るうような男性と婚約して結婚までしてしまいます。また、フーフィの方もアマンダを愛するものの、この関係から1歩踏み出すことができません。圧倒的に、アマンダ側からアプローチが多いにも関わらずです。なぜかと聞かれても説明できませんが、わかるような気がしますね。アマンダの結婚がなかったことになり、妊娠が発覚したときの、フーフィの笑顔が忘れられません。「ああ、これでアマンダと男女の関係にならずに、これまでの関係から一歩前進できて、一生のパートナーになれるな」と思ったと思いますよ。自分もそう思いましたから。要は、こういうことをウダウダ考えられる人には向いていますが、そうではない人にはつまらない映画だと思います。
「僕のアマンダ」の監督、出演者情報
上でも書きましたが、アマンダを演じたAlessandra De Rossiさんが、脚本と監督も兼ねています。彼女は、「What If?」でも同じような役を演じていました。現代的なフィリピン女性を象徴するような存在なのでしょうか?ただし、日本では、現代的な女性を描こうとするならばキャリアも重視されますが、彼女の映画では女性のキャリアはいつもふわっとしています。保守的な結婚観を持っていない女性というだけで、我々から見ると、ただのかまってちゃんに見えてしまいます。
彼女は、自分の映画制作会社を作っていますが、その名も「A World of Our Own(私たちだけの世界)」です。うーん・・・彼女らしいネーミングですね。彼女の描きたいことはわかる、だけど彼女を好きになれないというのが、彼女の映画に対する印象です。
「僕のアマンダ」の作品情報
オリジナルタイトル:My Amanda
公開年 2021年
監督 Alessandra De Rossi
主なキャスト Alessandra De Rossi(What If?)(キタキタ)
Piolo Pascual
視聴可能メディア Netflix(日本語字幕)
「僕のアマンダ」のトレイラー
下は、English subtitled Trailerと書いていますが、英語字幕がないトレイラーです。フィリピンらしく、こういうところも適当ですね。