分類としては、完全に日本映画なのですが、フィリピン女性との結婚がテーマとなれば、当ブログでも取り上げるしかないですよね。はっきり言って、相当見るのが大変な映画です。２０１８年の制作で、こんなに酷い偏見をフィリピン人に向けるというのは、さすがにないんじゃないかと思います。特に、主人公とその母が頭おかしいレベルにひどくて、見るのが苦痛でなりませんでした。どうして、こんなに感性が古いのかと思ったら、原作のマンガが１９９５年から１９９６年に連載されていたのだそうです。まあ・・・その頃ならば、こんな偏見・差別も普通だったかもしれませんね。ならば、なぜ、２０１８年に、こんな古い感性の映画を作ってしまったのか、と思いました。
「愛しのアイリーン」のストーリー
主人公の岩男は、パチンコ屋で働くもてない男、４２歳です。同僚のバツイチ子持ち女性を好きになり、告白するのですが「本気だと困る」と言われてフラれてしまいます。そもそもフラれているのですが、岩男の母は大反対で「そんな子持ちの出戻り女は絶対に許さない！」と息巻いています。失恋のショックで、自暴自棄になった岩男は、しばらく姿を消していました。その間に、岩男の父親が亡くなり、葬儀をしているところに、岩男が帰ってきます。そして、自分の妻だと言ってフィリピン人のアイリーンを紹介します。
少し回想シーンが挿入され、岩男がフィリピンへの結婚相手を探すツアーにいって、３００万円を払って、アイリーンと結婚した顛末が描かれます。自暴自棄な態度で適当に、結婚相手を選んだこと、結局お金で嫁さんを買ったような感覚を持っていることがわかります。本作に出てくる日本人はみんな頭がおかしいんじゃないかという人ばかりですが、このツアーを引率している日本人が「対等」ということを唯一理解していたように思いました。
バツイチ日本人女性でさえダメと言う母ですから、当然、アイリーンのことを受け入れるはずはなく、あらゆる嫌がらせが始まります。アイリーンは健気に耐えていました。その頃、少しずつ岩男とアイリーンのあいだに愛が芽生えてきました。その後、母親は結婚している岩男にお見合いをセッティングしたり（そこで来た女の子も相当変わっています）、あげくの果てに、人身売買のヤクザと結託して、アイリーンを売り飛ばそうとします。猟銃を持ってアイリーンを脅し、ヤクザがさらおうとするところに、岩男が帰宅。母親から猟銃を奪って、激怒した岩男は、さらわれたアイリーンを追います。山道が通行止めになっており、そこで追いついた岩男はヤクザともみあいになり、猟銃でヤクザを殺してしまいました。いきなりフィリピン映画みたいになってしまいました。
（ややネタバレあり）その後、アイリーンと協力して、死体を埋め、２人は何食わぬ顔をして生活を始めます。しかし、岩男はいずれ殺人犯として逮捕されるというストレスで、どんどんおかしくなり、アイリーンにも酷くあたりますし、元恋焦がれていた職場の女性に「俺は人を殺した、もうすぐ逮捕されるからセックスさせてくれ」と言って、彼女と定期的に関係を持つようになります。どうして、こんな気持ち悪い男を、この女性も受け入れたのでしょうか？まったく意味がわからなくなってきます。また、以前お見合いした相手を、送っていった際に、母親に睡眠薬を盛られた女が車の中で寝てしまったのですが、その時にスカートをたくしあげ、パンツを見てオナニーを始めたことがありました。それに気づいた女は、当然逃げ出すのですが、破れかぶれの岩男は、彼女に向かって「俺のオナニーを見たのだから。お前も見せろ」と迫ります。またも、意味がわからないことに、彼女のそれに応じます。また、ヤクザの組の男たちからは、同僚がいなくなったことに関わっていると思われており、あらゆる嫌がらせを受けています。
（ネタバレ）もはや、ストレスでおかしくなった岩男は、冬山の中に入っていき、アイリーンの名前を木に刻んで凍死します。それを発見したアイリーンと、岩男の母のあいだでひと悶着あり、少し感動的なシーンがあって、物語は終わります。
アイリーンの扱いのあまりの酷さに、気分が悪かったです。今の時代、フィリピン人と結婚している男性は、どちらかというと優しく大人しいタイプが多いという印象を受けていますが、１９９０年代は、こんな感じだったのでしょうかね。アイリーンは、美人と言うほどでありませんが、ちょうど良いくらいに可愛らしく、非常に魅力的でした。ところで、フィリピンへの結婚相手を探しに行くツアーって、まだあるのでしょうか？調べて記事を書いてみたいと思いました。
「愛しのアイリーン」の作品情報
オリジナルタイトル：愛しのアイリーン
公開年 2018年
監督 吉田恵輔
主なキャスト 安田顕
ナッツ・シトイ
河井青葉
視聴可能メディア U-NEXT、Hulu、DMM TV（日本語字幕）（見放題）
UAmazon Prime Video、Rakuten TV（レンタル）
