セクシー系の作品では、清純派のヒロインよりも性格の悪い女の方が、魅力を放ちますね。本作もそうしたドラマです。大学生3人(男2人、女1人)が住む下宿に、1人のセクシー性悪美女が入居してきます。この時点で不幸なことが起こることが予想できますね。予想通り、3人を引っ掻き回します。その中で、4人が持つトラウマ、コンプレックスなどが見えてきて、これは思ったよりも深いドラマだったかと思ったところで、いつもの安易なエンディングに陥ってしまいました。もう少しシナリオで頑張ってもらえれば、もっと良い作品になったのではないかと思いました。オリジナルタイトルの「Butas」は「穴」の意味です。

(Photo cited from IMDb)
「バスルーム 覗かれた天使たち」のストーリー
オープニングは、美女のシャワーシーンから。タイトルからもわかるように、覗きが大きな主題です。とは言え、主人公女性(メイエット)がヤリマン女性なので、主題が拡散してしまうのですが・・。メイエットは、大学生3人(男2人、女1人)が住む下宿に引っ越してきます。下宿で男女(ノエルとカイラ)はカップルで、残り1人は真面目な男です。もう、この設定で嫌な予感がしますね。部屋は同性の相部屋で、メイエットはさっそくカイラとノエルがカップルであることを聞くのですが、すぐに男2人を誘惑し始めます。男たちも単純で、セクシーなメイエットに当てられて、オナニーにはしるというコメディタッチで4人の関係は始まりました。
ノエルは、カイラとのセックスに満足していないようです。また、メイエットは付き合っていた男にフラれたと言って泣いていました。いよいよ、ドラマが動き出します。メイエットは、自分は男に持てるしか価値がないと思っており、男に身体で尽くすのですが、いつもフラれてしまうと言います。意外にも、カイラに男女の営みについてアドバイスしたりします。メイエットは男に執着するタイプ。カイラは、男が離れていくならば、しょうがないと考えるタイプだということがわかります。2人は、良い友達になりそうな雰囲気が漂います。
しかし、翌朝にはメイエットは男たちを誘惑して、今度は真面目な方の男(ベンジー)に接近します。メイエットはベンジーにセックスしようと直接的な誘いをするのですが、ベンジーは親の期待を背負って進学しているので、恋愛にかまけられないと断ります。しかし、メイエットは浴室の天井にある穴からベンジーが自分の姿を覗いていることを知っています。
日曜の朝、叔母に連れられて教会に行くカイラですが、ノエルが理由をつけて一緒に来ません。メイエットは仕事に行くと言って、まだ部屋にいました。嫌な予感を感じながらカイラは出かけます。すると、さっそくノエルがメイエットの部屋を訪れ、2人は関係を持ってしまいました。
しかし、結局2人の関係はすぐにカイラにばれてしまいます。カイラは激怒するのですが、メイエットは、「私は男にモテる以外取り柄がない女。男は自分の身体だけが目当てで飽きたら捨てられる。求めているのはいつも愛だけ。私は親にも見放された。客室乗務員になりたい夢があるけど、親に見放されたので、自分でお金を稼ぐしかない。いつか自分で夢をかなえたい」と涙ながらに語り同情を誘います。
ノエルの方も、幼少期に母親が父親に暴力的に犯されているところを何度も目撃していたので、セックスに対して嫌悪感があると言います。とは言え、彼はやりチンなのですが・・・。だからなのでしょうか?? ノエルはカイラに対しても支配的なセックスをしたがります。それを理解したカイラは、頑張ってノエルに尽くします。そんなカイラの気持ちに心を動かされたノエルは、メイエットと距離を取ろうとします。
(ネタバレ)その後、メイエットは再びベンジーに迫りますが、やはりベンジーは彼女を受け入れる覚悟が持てません。結局、ベンジーは下宿を出て勉学に集中することを決意します。その晩のことです。カイラは浴室でメイエットにはちあわせました。すると、メイエットは「女を喜ばせられるのは男だけではない」と言って、カイラを愛撫します。いつものように、ベンジーは穴から覗いているのですが、今回はノエルに見つかってしまいました。2人は覗き穴の取り合いへと至り、お互いにナイフで刺して、共倒れになってしまいました。事を終えて男たちをみた女たちの絶叫が響きます。おしまい。
どう考えてもラストの惨殺は不要でした。2人の男は望めばメイエットは抱ける立場ですし、ノエルは両方を抱けます。なのに、覗き穴程度で殺しに発展するのは無理があります。また、覗きを主題にして、大事件に発展させようとするならば、もっと暗い情念を積み重ねていかなければなりません。どう考えても中途半端でした。途中、4人の過去の経験やセックスに対するコンプレックスが語られ、ドラマとして面白さが出てきたところで、それらを活かさず、安易な惨殺シーンで終わらせるというのが残念でした。本作は、ほぼ下宿のシーンしかなく、予算も限られていたのでしょうが、シナリオではもっと工夫して欲しかったですね。
「バスルーム 覗かれた天使たち」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたDado C. Lumibaoさんは、テレビドラマや、コメディ映画、それにエロ映画などこだわりなく監督を務める人のようです。そういう仕事の仕方なので、やはり代表作はありません。もう少し1つ1つの仕事を丁寧にやって欲しいですね。主役を演じたAngela Morenaさんは、小顔の可愛いタイプですが、いつも性悪女を演じています。こういう役を演じられる人は、ドラマ作品には必要ですね。もう1人の女優、Angelica Hartさんは、華がないタイプ。たくさんの作品には出ていますが、主役が回ってきそうにありません。日本で言えば企画単体女優くらいの位置づけだと思いますが、何かメリットがあるのでしょうか? 風俗みたいなところで、自分に高値を付けられるとか、そういうのがあるのかなと考えてしまいます。
「バスルーム 覗かれた天使たち」の作品情報
オリジナルタイトル:Butas
公開年 2024年
監督 Dado C. Lumibao
主なキャスト Angela Morena(義務とセックス)(欲情 嫉妬する肉体)(ラブレース セックスの女神)
Angelica Hart
視聴可能メディア U-NEXT、Hulu(日本語字幕)(レンタル)