フィリピン人の好きな要素詰め合わせコメディ「Kung Fu Divas」

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たくさんフィリピン映画を見ていると、フィリピン人が好きなシーンや設定というものがわかってきました。本作は、そうした意味で、フィリピンコメディの教科書と言えるほど、フィリピン人が好きな要素が上手にまとめられた作品です。フィリピン人が好きな要素とは、美人コンテスト、女のいがみ合いからの友情、占い師のお告げ、ムキムキイケメン男とのロマンス、そしてちょっとしたアクションシーンです。様々な要素を上手に料理しているので、ベテラン監督さんかと思いきや、本作がテレビドラマを含めて2本目の作品で、テレビドラマ中心に仕事をしており、映画自体も今までに2本しか撮ったことがありません。一流の監督さんではありませんが、もっと作品を見たい監督さんです。

(Photo cited from IMDb)

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「Kung Fu Divas」のストーリー

男がかしずく美人(サマンサ)が島に上陸し、占い師からお告げを受けます。占い師は「これから試練が待っている」と告げます。もう1人の主人公(シャルロット)は、美人一家に生まれ、母も姉2人も美人コンテスト優勝者です。自分だけが美人コンテストで優勝したことがないことをコンプレックスに感じています。実際に、美人というほどではありません。この一家の会話が傑作で、常に「素晴らしい質問をどうもありがとう」と前置きして喋るなど、美人コンテストでの質問タイムに特化した喋り方をします。

シャルロットは29歳で、次の島の美人コンテストで優勝できなければ、年齢制限で出場することさえできません。そのため、一家は、ライバルになりそうな美女たちを、結婚させたり、マニラに進学させたり、アル中にさせたり、監禁したりまでして、本番に備えました。さあ、美人コンテスト開幕というところで、オープニングの美女が飛び込みで参加してきました。他の参加者は、サマンサを見ただけでやる気を失い、候補はいきなり3人に絞られました。残り1人は背の低い、ギャグ担当らしい女性です。しかし、彼女のシーンはカットされたのか、その後の出番はありませんでした。だったら、3人だけが残るシーンを、2人だけのシーンに撮りなおせよと思いますが、フィリピン映画は、こういうところが非常にルーズですね。

当然、美人のサマンサが優勝し、シャルロットは夜の海辺に泣きながら飛び出します。そこで、ならず者たちに襲われ、イケメンのカンフー使いの男に助けられました。彼がイケメン過ぎて、女たちはパンツがずり落とします。たくさん落ちているパンツを辿っていくと、カンフー使いの男が待っていました。そして、同じようにパンツを辿ってやってきたサマンサにも出会います。

カンフー男によれば、シャルロットとサマンサは、双子であり、中国内にある小さな小国の王の娘です。その小国は、永遠の若さ、永遠の力、永遠の命をつかさどる3つの秘薬を管理しています。その秘薬の1本を王が飲んでしまい、他の2本を取られることを恐れた王が、占いを行い、双子の姉妹が王を倒すと聞きました。そのため、2人の双子を島流しにしたというのです。王は、娘たちが自分を倒しに来るのを恐れ、今頃になって討伐隊を差し向けたと言うのです。

シャルロットは、自分が家族の本当の子供でないことにショックを受けますが、やがて自分の運命を受け入れ、サマンサと共にカンフーの修行に励みます。2人は喧嘩ばかりしていましたが、サマンサが美人なのは整形をしたからだと知り、2人は急速に仲良くなっていきました。

ついに父親の元に乗り込みカンフー対決が始まります。2人は、けっこうアクションシーン頑張っていました。しかし、王の方が一枚上手で、2人が崖から落ちそうになったのは王自身でした。というのも、王は2人の肩にあるアザを見て、2人が自分の娘であることを知ったのです。

(ネタバレ)王の説明によれば、王が2人の娘を遠ざけたのは、秘薬をめぐる争いから守るためであり、2人に倒されることを恐れたわけではないというのです。となれば、嘘をついていたのは、イケメンカンフー男になります。ところが、彼も自分の父親に騙されていたことが発覚。黒幕は、大臣の男でした。彼はすでに秘薬を1本飲んでおり、強大な力で2人に立ちふさがりますが、やがて2人のカンフーパワーがさく裂。無事に大臣を倒して、この騒動は終わりを告げます。

王は、今回の件をもって、自分は王位を引退することを宣言します。2人のうち、どちらかを女王(クイーン)に付けることとしました。翌日、シャルロットの島には、カンフー男たちの大パレードが訪れます。そして、シャルロットがクイーンになったことが伝えられます。シャルロットは、ビューティークイーンにはなれませんでしたが、本当のクイーンになったのです。ちなみに、サマンサは、イケメンカンフー男と恋人になりました。大団円でおわりです。

ストーリーを書くと、単純ですが、途中のギャグがなかなか良くできており、ストーリーにもそんなに破綻がなく、女優たちのアクションも演技も楽しめる良い娯楽作品でした。こういう作品に日本語字幕が付されることはないと思いますが、いかにもフィリピン映画という作品で、日本人に知ってもらいたいタイプの作品です。

「Kung Fu Divas」の監督、出演者情報

本作の監督をつとめたOnat Diazさんは、冒頭でも述べたように、主にテレビドラマで活躍する監督さんで、映画作品は2本しかありません。もう1本はアスペルガー症候群をテーマにしているようなので、だいぶ作風が違いますね。シャルロットを演じたAiAi Delas Alasさん(アイアイとはすごい名前ですね!)は、本作が公開された時点で51歳! 29歳役とは無理があります。あまりに不美人だとサマンサと釣り合いがとれないので、元美人のおばさんをキャスティングしたのでしょう。サマンサを演じたMarian Riveraさんは、今や名女優の評価を得ていますが、若い時は、美人なだけという役も演じていたことを本作で知りました。

「Kung Fu Divas」の作品情報

オリジナルタイトル:Kung Fu Divas

公開年 2013年

監督 Onat Diaz

主なキャスト AiAi Delas Alas

Marian Rivera(Rewind)(Balota

Edward Mendez

視聴可能メディア Youtube(英語字幕)

「Kung Fu Divas」のトレイラー

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