不妊症のカップルの元を悪魔の子供が訪れるホラー・サスペンス「Kampon」

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本作は良くできたホラー映画でした。不妊で悩むカップルの元に、「おとうさんを訪ねてきた」と言って、悪魔の子供が訪ねてきます。男は、少女の怪しさに感づいているのですが、妻に不倫を疑われて、思うように少女を排除できません。そのうち、妻が心理的に少女に虜にされ、少女を自分の子供のように扱うようになってしまうため、いよいよ少女を排除することが困難になっていくというプロットが良くできています。子供が人を殺していくというのが既に怖いですし、不妊症のプレッシャーと浮気の疑念により、心理的に追い詰められていく妻が、悪魔を排除するための最大の障壁になっていくという設定が見事でした。こういう良くできたホラー映画こそ、日本語字幕を付けて欲しいですね。オリジナルタイトルの「Kampon」は「信者」の意味です。後半、悪魔を呼び出したカルト信者たちが出てくるので、彼らのことでしょう。

(Photo cited from IMDb)

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「Kampon」のストーリー

夜の森を、兄が妹を背負って治療師の元に運ぶシーンから始まります。しかし、治療のかいもなく、妹は死んでしまいました。すると、治療師は「他にも方法はある」と言って怪しげな呪文をつぶやきます。すると、妹の身体が宙に浮き、目を覚ましました。彼女の腹には悪魔の紋章が刻まれます。

その後、本作の主人公夫婦が登場します。彼らは、結婚して数年経ちますが、未だに子供ができないことに悩んでいます。多くの医師を訪ね、夫の不妊症によるものだと言われています。しかし、フィリピン社会なので、親戚での集まりの度に「子供はいつできるんだ」と聞かれ、妻はノイローゼ気味です。

少しだけ夫の回想シーンが挟まれます。夫はもともと警察官だったようで、港の倉庫で大事件に遭遇し、その後警察官を引退したようです。彼は、家中に監視カメラを設置し、時に監視カメラの部屋にこもり、何者かに怯えてくらしているようにも見えます。後の回想シーンで、夫ら警察官は倉庫で怪物に遭遇し、夫を残して全員が殺されたことがわかります。

そんな日の夜、少女が家にやってきました。少女は「何かあったら、お父さんを訪ねるようにと母に言われた」と言います。夫は驚愕し、妻は夫に疑念の眼を向けます。翌日、2人は少女を警察署に連れて行き、元同僚に相談します。元同僚は「若気の至りだから、ちゃんと謝れば許してもらえる」と言いながら、彼女の身元を探すこと、DNA検査をすることを承諾しました。

警察署で、少し目を離した隙に、少女は地下の留置所を訪れ、留置されている気味の悪い男に対して、「Jupetがお前を射殺する」と伝えます。Jupetであるとはっきり示された登場人物はおらず、このシーンが何だったのかは最後までわかりませんでした。

その後、少女は夫婦の元に留まることとなり、様々な怪しい行動をします。例えば、妻が寝ているときに、耳元で怪しい呪文を吹き込んだり、たまに飛行していたりします。夫は少女の正体を明かしてやろうとするのですが、元同僚の警察官からDNA検査の結果、「彼と少女が親子である可能性は99.999%である」という結果が伝えられました。知らない子供と血が繋がっているのかと思いきや、彼には思い当たる節がありました。悪魔の紋章が刻まれた女とセックスしている回想シーンが挿入されました。

夫は「それは一夜の過ちだった」と、妻に平謝りですが、妻はすでに、少女に心理的にてなづけられつつあり、この少女を養子にすることを考えています。すでに、怪しい動きを見せている少女ですが、この状況では、夫としては強く拒否することが難しくなってしまいました。

また、警察官の元同僚が、少女の身元も見つけてくれました。それによると、少女と少女の母親は、ジプニーの事故にあったことは乗客リストで確かなのですが、2人の死体が見つかっていないというのです。あと、このシーンの意味がよくわかりませんが、留置所の男は侵入者によって殺されました。

少女が事故にあったシーンが回想されます。ジプニーに大型トラックが突っ込んできて、乗客は吹っ飛ばされます。母親の遺体は首が胴体から離れています。しかし、少女は母の指示にしたがって、乗客の死体に触れたところ、死者たちはよみがえりました。母がよみがえったかは示されませんでした。

(ネタバレ)さて、その回想シーンで少女により蘇らせられた者たちが、夫婦の家を取り囲み、家に侵入してきました。夫は、銃を構え、迎え撃とうとするのですが、うまく逃げられてしまいます。妻を逃がそうとしたところ、妻は少女に母乳を上げていました。ぎょっとする夫ですが、妻は「ほら、母乳が出るようになったのよ」と、夫に示します。もはや、妻を連れて逃げることはかないません。そうこうしているうちに、妻は彼らにさらわれ、夫も後頭部から殴られ意識を失ってしまいました。

夫が意識を取り戻したとき、少女と取り巻きの者たちが儀式を行うところでした。そこに、警察官の同僚がかけつけ、夫の手首をしばる縄をほどいたところで、少女により頭を爆発させられます。少女が手首を回すと、頭が爆発させられるようで、少女の取り巻き立ちも全員頭を飛ばされました。少女は、妻の身体を使って、自分の母をよみがえらせようとしていました。しかし、警察官から奪った銃で、夫は母の身体に銃弾を撃ち込みました。結局、1人だけ残っていた少女の取り巻きによって、夫は殺され、少女は、妻と一緒に車で旅立ちました。妻の腹には悪魔の印があらわれていました。エンディングでは「蝶は花から花へ」と言った歌詞の曲が流れます。

かなり面白い作品でしたが、いくつか疑問が残りました。そもそも、少女の母は悪魔の印を持っているのに、交通事故くらいで死んでしまうのか? 少女は、母以外の乗客を蘇らせることができるのに、なぜ悪魔の血を持つ母を蘇らせることができないのか? 夫が遭遇した怪物はなんだったのか? それと、少女の母と関係を持ったことは関係があるのか? なぜ留置所の男が少女の手の者によって殺されたのか? などが疑問として残りました。とは言え、ストーリーが破綻するようなものではなく、視聴者の想像を掻き立てる類の疑問だったので、それは良かったと思います。

「Kampon」の監督、出演者情報

本作の監督をつとめたKing Palisocさんにとって、本作はまだ2本目の監督作品です。全部で3本しか作品がないのですが、意外にも本作が最も評価の低い作品です。本作が中で最も評価が低いというのは、他の作品に期待ができますね。注目していきたいと思います。夫婦を演じた2人はいずれもベテランの有名俳優です。

「Kampon」の作品情報

オリジナルタイトル:Kampon

公開年 2023年

監督 King Palisoc

主なキャスト Derek Ramsay(English Only, Please)(All You Need Is Pag-ibig

Beauty Gonzalez(イン・マイ・マザーズ・スキン)(アウトサイド)(義足のボクサー GENSAN PUNCH)(Izla

Erin Espiritu

視聴可能メディア Netflix(英語字幕)

「Kampon」のトレイラー

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