バギオに行ったことがある人ならば、Diplomat Hotelには行ったことがあるのではないでしょうか。本作は、そのDoplomat Hotelを舞台に繰り広げられるホラー映画作品です。このホテルは、アメリカ統治時代の1915年に建設され、第2次世界大戦時には日本軍の司令拠点としても使われたことがあるそうです。しかし、よくそんな観光地でホラー映画が撮れるなと思いましたが、この建物は長い間放置され、廃墟になっていたところを、2013年にバギオ市の重要文化遺産として登録され、断続的に修復が行われ、現在の姿になっているそうです。本作の公開も2013年。おそらくですが、重要文化遺産として登録される年にあわせて制作し、注目を浴びようと思ったのでしょうね。せっかく、文化遺産を舞台にするので、アメリカ統治時代や日本軍など、歴史的な出来事を結び付けたシナリオになれば良かったのですが、シナリオを練り込む時間がなかったのでしょう、カルト教団が廃墟を根城にしていたという架空の設定を導入し、安直なホラー映画になってしまいました。しかし、バギオ市の文化遺産登録にタイミングを合わせたことで、商業的には成功をおさめたそうです。

(Photo cited from IMDb)
「The Diplomat Hotel」のストーリー
自分の息子を人質に立てこもる事件が起こっています。主人公(ヴィクトリア)は、売れっ子TVレポーターで、犯人の男に求められるまま、カメラマンと2人で潜入し、犯人のインタビューにインタビューを行いました。犯人は、自分の想いカメラの前でぶちまけたあと、息子を殺して、自分も自殺してしまいました。あまりの出来事にショックを受けたヴィクトリアは、精神病院で治療を受け、現場から離れることとなりました。
しかし、ヴィクトリアは現場に戻りたい意思が強く、粘り強くディレクターと交渉します。結果的に、バギオの廃墟ホテルの取材を任されることとなりました。このホテルは、歴史的建造物ではあるのですが、呪われているとも言われている建物で、殺人事件のショックで、レポーターから外しているのに、なぜ、そんなところの取材をさせることになるのか? と思わざるをえませんね。
取材メンバーは5人、ヴィクトリアと、前の事件でも一緒だったカメラマン、他にスタッフ2人と、このホテルがカルト教団によって使われていた時代を知る男です。のちに、この男は、教祖の息子であることがわかりました。
昼間の撮影では、建物の歴史的な側面にスポットが当てられ、無事に撮影終了します。夜になると、元カルト教団の男が、25人が亡くなった言われる事件について語るという構成です。男が教団のスキャンダル事件を語り始めると、カメラのSDカードがいっぱいになったと言って、予備のSDカードを取りにいくため撮影が中断しました。そして、怪奇現象がそれぞれを襲うこととなります。
クルーたちは、恐ろしい目にあって、撮影を投げ出して廃墟から出ようと提案するのですが、このドキュメンタリーで復帰したいヴィクトリアはそれを許しません。車のカギを捨てて、みんなを廃墟から去れないようにしてしまいます。とは言え、廃墟というより遺跡と言った方が良いくらい荒れており、閉じ込められるような場所ではありません。実際、元教祖の息子は逃げ出してしまいました。(その後、なぜか戻ってきます)
(ネタバレ)その後、怪奇現象は過去の記憶と結びつき、カメラマンは亡くなった娘の思い出にさいなまれ、教祖の息子は母の思い出にさいなまれ始めます。カメラマンは、娘を悪霊から守るためにともがくなかで、クルーを殺してしまいます。そして、教祖の息子とカメラマンは、お互いに幻覚に惑わされながら、2人で格闘しています。
一方で、ヴィクトリアだけは、なぜか幻覚の影響を受けません。1人カメラをもって、冷静に取材を続けます。むしろ、いなくなった2人のことを強調しながら、1人恐怖のドキュメンタリーを作り続けていました。そんなとき、カメラマンと教祖の息子が格闘しているところに遭遇します。冷静に、2人の戦いをカメラに収めたあと、機材で教祖の息子のあたまをぶん殴り、カメラマンと共に、ホテルを脱出しました。翌朝、警備のおじさんがホテルの前で、悲しそうな顔をして、その場を去りました。そして、エンディングです。
よく見ると、最後の警備員のおじさんのシーンが合成のように見えましたし、ホテルも廃墟すぎて、遺跡のようでした。実際には、Diplomat Hotelでの撮影許可が下りずに、他の場所で撮影されたのではないかと思いました。結局、カルト教団の設定もウヤムヤになって、個々の過去の出来事に関する幻覚が主題になってしまい、ほとんど設定を活かさない安直なホラー映画になってしまいました。
「The Diplomat Hotel」の監督情報
本作の監督をつとめたChristopher Ad. Castilloさんは、Celso Ad. Castillo監督の長男です。お父さんは、60年代から2000年にかけてたくさんの作品を残したフィリピン映画初期の名監督のひとりです。息子さんのほうは、2002年に監督デビューしてから、これまで4本しか作品を残せておらず、伸び悩んでいるようですね。
「The Diplomat Hotel」の作品情報
オリジナルタイトル:The Diplomat Hotel
公開年 2013年
監督 Christopher Ad. Castillo
主なキャスト Gretchen Barretto
Arthur Acuña
Alvin Anson
視聴可能メディア Youtube(英語字幕のみ)

