ルームメイトを真似て入れ替わろうとする女の狂気「ベッドルーム禁断の愛欲」

個人的には、本作はHuluで見ることのできるフィリピン映画、（2025年8月8日現在で）３６本のうち最後の１本でした。とは言え、Huluでもレンタル作品なので、レンタル料金の安いU-NEXTで見ています。本作は、いじめられっこの女性が、転校先でルームメイトの女性にすっかり傾倒してしまい、彼女の姿を真似て、成り替わろうと言うスリラーです。しかし、その動機については、様々な解釈が可能で、もやっとした感じで終わります。しかも、真似られていたルームメイトの方が、実は入れ替わろうとしていた側だったという不思議な構成になっており、釈然としない感じで終わります。かなり、凝ったシナリオだと思います。メインの女優は２人とも美しいので、その点は安心しておすすめできます。

(Photo cited from IMDb)

「ベッドルーム禁断の愛欲」のストーリー

本作の主人公ジャニスが他校から転校してくるところから、物語は始まります。最初から、寮の警備員さんを誘惑して、その後自室で、警備員んとのセックスの妄想にふけるような女性です。たまたま、寮の女の子たちのレズシーンを目撃してしまったため、最初から、女性の同級生からいじめを受けます。その時に、助けてくれた男性がいたのですが、彼女らはネット上にアップされた動画を一同に見せ、「先生を刺すような女だよ、怖くて一緒の寮にいるのが嫌だ」と言います。あれれ、予想外の展開ですね。そこに赤髪の女性（レクシー）が助けてくれました。そして、レクシーはルームメートでした。２人はすぐに仲良くなり、２人で頻繁にクラブにでかけるようになります。レクシーはクラブでドラッグも使います。

また、レクシーは警備員さんを部屋に連れ込んでセックスしたこともありました。その時に、レクシーは、ジャニスを３Pに誘いますが、ジャニスは「処女を大事にしたいの」とやんわり断り、２人のセックスを見ながら自慰にふけります。翌日から、レクシーによる男を誘うレッスンが始まります。そして、ジャニスはレクシーに習ったセクシーファッションに身を包むようになります。また、２人は恋人のような関係にもなっていきます。また、ジャニスはレクシーと同じタトゥーを首に入れます。

２人の関係が深まるにしたがって、ジャニスはレクシーの過去の関係を知りたがります。そこで、レクシーが告白したのは、ギオという元カレによって暴力を振るわれていた過去でした。レクシーは、ギオから逃げてきたのです。その後、ギオが学校にレクシーを探しにきました。ジャニスは、レクシーと言う女性は聞いたこともないと答えます。ギオは、もしレクシーを見かけたら、俺に連絡しろと言って、ジャニスの教科書に自分の連絡先を書き込みました。その後、レクシーの持ち物を調べると、違う名前の身分証明書と、たくさんのお金が出てきました。のちのレクシーの説明によると、レクシーという名前も偽のものだというのです。もはや、ストーリーがどちらに向かっているのか、私は完全に見失っていました。

（ややネタバレあり）また、２人でクラブに繰り出した際に、レクシーが他の男といちゃついているときに、ギオがクラブに入ってきました。レクシーを発見されては大変と、ジャニスはギオを誘惑し、クラブの外に連れ出しましたが、問答無用で殴りつけられ、すぐに犯されてしまいました。大切に守っていた（？）ジャニスの処女は、こうして失われました。泣きべそをかきながら、部屋に戻ると、最初に自分を助けてくれた男の子と、レクシーがセックスしていました。

（ネタバレ注意）その翌日から、すっかりジャニスは変わってしまいました。レクシーと同じような赤い髪に変わり、レクシーの服を着て、彼女のように振舞います。それが、ギオからレクシーを守ろうという行動なのか？　レクシーのふりをして、ギオを誘い出し殺害しようとしているのか？　あるいは男をとったレクシーへの当てつけだったのでしょうか？　しかし、その男に執着している様子は描かれていません。また、レクシーがジャニスの持ち物を調べるシーンが挿入され、彼女の教科書にギオの連絡先が書かれているのを見て、レクシーがにやりとするシーンが挟まれました。

その後、レクシーのようにヤリマンクイーンとして振舞おうとするのですが、性格が暗いジェニスにはやはり困難でした。そして、自分はレクシーのようになれないと、黄昏ていたときに、寮の警備員が声をかけてきます。彼は「君は君のままでいいんじゃないか」と慰めます。そして、部屋に戻ろうとするジャニスに、警備員は「今、部屋はレクシーと例の男が一緒にいるから、戻らない方がいいよ」と伝えます。ジャニスは部屋に戻りますが、２人はいません。すぐに、２人が部屋に入ってきて、ジャニスは物陰に隠れます。そして、レクシーと男のセックスが始まりました。すると、ジャニスは男にはさみで切りつけ、殺害してしまいました。驚くレクシー。レクシーは逃げ回りますが、ついに追い詰められます。しかし、「私が愛しているのはあなただとわかっているでしょう」と言って、レクシーはジャニスに抱き着き、２人は愛し合います。翌日、ジャニスは首にレクシーと同じタトゥーを入れていたため、間違えられてギオに射殺されました。そして、間髪入れず、そのギオは警備員に射殺されました。警備員は、レクシーと合流して、この場所を逃げ出す相談をします。そして、レクシーは言いました。「これから私はジェニスよ」と。

うーーーん。いったいどういうことだったのでしょうか？　すべてがレクシーの策略だとするには、偶然の要素が大きすぎます。ジェニスが自分とそっくりな恰好をして同じように振舞うとか、予想不可能でしょう。そもそも、レクシーもジェニスに殺されそうになっていますし・・・。また、最初に殺された男は、どうして殺されたのでしょうか？　レクシーが、ジェニスを使ってギオからの追跡から逃れようとしたと考えても、結局ギオを殺したのは、彼氏の警備員ですから、ジェニスを使う意味がわかりません。入れ替わられそうになった女が、実は入れ替わろうとしていたというコンセプトのシナリオだとは思いますが、無理があったように思います。

「ベッドルーム禁断の愛欲」の監督、出演者情報

本作の監督を務めたCarlo Obispoさんにとって、本作が初めてのエロ系映画です。シナリオに凝り過ぎる傾向があり、あまりエロ映画には向いていない感じがしますね。彼の代表作は「The Baseball Player」です。ゲリラで有名なモロ族の少年が、野球選手になることを目指す話だそうです。フィリピンではマイナースポーツの野球と、モロ族をかけあわせるという気になる作品です。

主役をつとめたChristine Bermasさんは、数々のセクシー映画に出ている女優さんです。大人しい雰囲気の外見は、日本人の好みでしょう。もう１人のヒロインを務めたMicaella Razさんは、本作ではヤリマン役を演じましたが、どちらかと言えば童顔なので、ふだんは妹役を演じている印象です。