「パンティ・シスターズ」とは、まだ酷いタイトルだなと思いましたが、この「パンティ」は、主人公らの苗字でした。とは言え、そういう下世話な感じを与えるために選ばれた苗字であることは、間違いないでしょう。フィリピンでは、女性用下着を「パンティ」と呼びますからね。内容は、3人の息子が全てゲイになってしまった金持ちの父親は、余命いくばくもなくなって、息子3人を呼びよせ、3人の中で子供を作った者に、遺産3億ペソを総取りさせるゲームへの参加を命じます。父親を嫌っていた息子たちも、3億ペソという巨額のお金に目がくらみ、好きでもない女性を連れて、女装を解き、家に戻って子作り競争が始まると言う、バカバカしいコメディです。とは言え、「愛の国」フィリピンですから、このゲームを通して、主人公たちは愛の価値、人生の意味を知ることになります。

(Photo cited from IMDb)
「The Panti Sisters」のストーリー
ド派手な女装をした男(ダニエル)が豪邸にやってきます。そこから回想シーンが始まり、彼が青年時代にゲイを告白し、家を追い出されたことがわかります。
久しぶりの実家には、父と母、そして兄(ガブリエル)、そして異母弟(サムエル)とその母(つまり父の愛人)がそろっていました。驚くべきことに、3人の息子が全てゲイになっており、派手な衣装を着ています。そんな彼らを、父は苦々しい顔で見つめ、「自分は末期がんで余命1年程度だ。遺産が3億ペソあるので、それぞれ1億ペソを与える。ただし、男として振舞い、子供をつくった者がいれば、財産を総取りできることとする」と宣言します。ゲイ嫌いの父親を嫌悪していた3人ですが、さすがに3億ペソにつられて、このゲームに参加することにしました。
ガブリエルは女友達を、サムエルは昔から自分を慕ってくれた幼なじみの女を彼女として、父親に紹介します。そんなツテがなかったダニエルは、妊娠して男に捨てられた近所の女をスカウトし、一歩リードした形になりましたが、妊娠後9週間でDNA検査ができると言われました。遅れをとった、ガブリエルとサムエルは、なんとか苦手な女との関係を持って、いずれのパートナーも妊娠することとなりました。そして、DNA検査の結果発表です。ダニエルとガブリエルの連れてきた女の子供は、彼らの子ではありませんでした。しかし、サムエルの女だけが、本当にサムエルの子を宿しており、このゲームの勝者はサムエルとなりました。これには、最も喜んだのは愛人の女で、最も絶望したのは本妻です。本妻は屋敷をすごすごと去り、愛人が屋敷に君臨します。
ところが、ゲームに勝ったサムエルは、さっそく自分の彼女を放置し、男に夢中になります。そんなサムエルを見て、彼女は絶望し、屋敷を去ることを決意しました。引き留めるサムエルに対して、彼女は「私は何なのか?」と問うと、サムエルは「ビジネスパートナー」だと答えます。これが契機となり、彼女は子供をおろしてしまいました。
この件は、女をゲームのための道具としか見ていなかった3人を大いに反省させ、3人は非常に仲良くなりました。そして、3人ともゲームを降りることにしました。
(ネタバレ)ある日、酒を飲んで帰るところで、イケメンたちが、悪い男に襲われているのを目撃します。3人は「Moon prism power make up!」と声をあわせて、気合を入れ、悪い男たちを撃退しました。3人のポーズから察するに、この掛け声は、セーラームーンの「月に代わっておしおきよ!」でしょうか? イケメンたちを病院に運ぶさい、座席の都合で現場に残ったガブリエルですが、そこに先ほどの悪い男があらわれ、ガブリエルは撃たれてしまいます。
イケメンたちを運んだ病院で、浮かれているダニエルとサムエルの前に、負傷したガブリエルが運ばれてきて、一同は騒然とします。結局、ガブリエルは帰らぬ人となってしまいました。
この事件は、関係者に深い傷を残すこととなりました。家族の愛を知ったダニエルは、ゲームに参加してくれた妊婦と結婚し、父親になることを決意しました。また、サムエルも幼なじみの女とちゃんと付き合うことにしました。ダニエルの結婚式に、父は現れませんでしたが、それは父がダニエルを認めていないからではありませんでした。ガブリエルの死に責任があると感じた父が毎日墓参りを欠かさず、すっかり弱弱しくなっていたのです。父は、ダニエルらに、自分がゲイを嫌っていたことを詫び、それは息子たちを守りたかったからだと涙ながらに告白します。
最後は、パンティ家の家族写真を撮るシーンです。家族仲良く、カメラの前で「パンティ」と言って、エンディングです。
面白いコメディでした。普通、ゲイの息子を嫌う父親は、悪く描かれるものですが、3人の息子が全てゲイになってしまうのは、さすがに可哀そうという気がしますね。だからなのか、本作のゲームにどこかユーモアを与えていました。また、3人のキメファッションの方向が違うのも良かったです。ダニエルはゴージャス系、ガブリエルはかわいい系、サムエルはかっこいい系です。
なんで、フィリピンにはゲイ映画が多いのかといつも考えていますが、「愛」を人生最大の価値としている国民性から来るんだなと思いました。愛を究極に突き詰めると、打算のない同性愛が、よりフォーカスされるのかなと思いました。
「The Panti Sisters」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたJun Lanaさんは、だいぶ作品を見てきたので、近々特集ページを作ろうと思っています。ページができたら、ここにもリンクを貼ります。3姉妹を演じた3人の役者について紹介すると、一番女性の恰好が似合っていたガブリエルを演じたPaolo Ballesterosは、ゲイを公言しており、「ダイ・ビューティフル」で主役を演じた役者さんです。サムエルを演じたChristian Bablesさんは、ゲイの役を演じることが多く、明らかに鼻をいじっているためゲイではないかといつも言われるらしいのですが、ストレートなのだそうです。ダニエルを演じたMartin Del Rosarioさんは、ゲイを演じることは殆どなく、ゲイ疑惑のない俳優さんです。
「The Panti Sisters」の作品情報
オリジナルタイトル:The Panti Sisters
公開年 2019年
監督 Jun Lana(ダイ・ビューティフル)(Ten Little Mistresses)(Haunted Mansion)(Bwakaw)(Call Me Mother)(そして大黒柱は…)(Big Night!)(Kalel, 15)(Barber’s Tales)(Becky and Badette)(The Girl Allergic to WiFi)
主なキャスト Martin Del Rosario(Amorosa: The Revenge)
Paolo Ballesteros(ダイ・ビューティフル)
Christian Bables(ダイ・ビューティフル)(Big Night!)
視聴可能メディア Youtube(英語字幕のみ)

