若者たちのラップバトルの状況を見てみよう「Respeto」

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本作はフィリピン滞在中にNetflixにアクセスし、タブレットにダウンロードして帰りの飛行機の中で見た作品です。Metro Manila Film Festivalのために、フィリピンに行って3日で8本の映画を見たあと、2本のフィリピン映画を飛行機の中で見るなんて、我ながらストイックすぎです。さて、内容としては、ラップにはまっている若者たちの鬱屈した日々、そしてかつて警察官たちに家族を奪われ、社会から隠遁している老人との交流です。「ラップって、現代の詩だよね?」というアイデアから生まれた作品だと思われますが、老人の詩がラップに活かされたシーンも無くはありませんでしたが、むしろ若者たちと、老人が同じような社会に対する無力さ、鬱屈を共有していたことに焦点が当てられていくことになります。タイトルの「Respeto」は「リスペクト」のタガログ語表記です。

(Photo cited from IMDb)

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「Respeto」のストーリー

ラップのライブのシーンから始まります。人気ラッパーの真似をして、少年少女が街でラップを歌い、他のグループと喧嘩をします。そんなラッパーの1人の少年が主人公のヘンドリックスです。ヘンドリックスは、少年同士の喧嘩から家に逃げ帰りますが、家の中はもっとエキサイトしていました。姉と姉の恋人が絶叫をあげて、表へ飛び出し、警官隊とぶつかり合いました。

また、もう一方の主役、老人のシーンが展開されます。彼のもとを訪れた息子が、「土地の権利書を出して欲しい」と訴えますが、老人は話をはぐらかします。息子は、売れない本屋を営んでいる父親から土地を譲り受けたいと考えているようです。

ヘンドリックスらは、またラップのコンサートにいきます。人気ラッパーのパフォーマンスののち、彼は、観客の中から参加者を選び、ラップバトルが開催されました。この日のバトルは、少年と少女の対決です。そして、ヘンドリックスは、少女に敗れてしまいます。ヘンドリックスはいつも負けているようです。ラップバトルを見ていると、うまいこと悪口が言えた方が勝ちなんですね。基本的に悪口なので、あんまり良いことは起こらないんだろうなという予感を得ました。

さて、うなだれて自宅に帰ったヘンドリックスですが、姉の恋人にお金を作って来るまで帰って来るなと追い出されます。この時点でわかりましたが、姉と姉の恋人は、ドラッグ中毒で、下っ端ギャングの構成員のようです。途方に暮れたヘンドリックスは、友達2人を誘って、店に泥棒に入ることとしました。その店が老人の本屋だったのです。しかし、少年らは老人に見つかり、警察によって逮捕されます。しかし、警察があまりに少年少女に暴力を振るうので、被害届けを取り下げました。結局、所長の取り計らいにより、少年少女に店の修理をさせ、終わるまで携帯電話を取り上げられることになりました。

ヘンドリックスらが本屋の修理のために訪れると、姉の恋人がついてきます。そして、ヘンドリックスが、店に入ったとき財布を落としたから、その金を返せと因縁をつけます。老人は困惑しますが、すぐにヘンドリックスの置かれている状況を理解し、言われた通り8000ペソを差し出しました。

それからヘンドリックスらと、老人の間に友情関係が芽生えます。特にヘンドリックスは、老人のつくった詩に惹かれ、詩を研究して自分のラップを磨きました。また、先日対決した少女は、不良たちが集まるバーの店員でした。ヘンドリックスは、彼女に惹かれます。

ヘンドリックスは、再びライブでラップバトルに挑戦します。今度は老人の詩を研究したおかげで調子よく勝ったと思われた瞬間、老人がライブハウスに乱入します。ラップではありませんが、詩人らしく、韻を踏んだ文章で、他人の作った文章をラップに使うヘンドリックスを「リスペクトを失うぞ」と非難します。

翌日、再び店の修理にやってきたヘンドリックスに対して、老人は「人間としての深みがないからラップで勝てないんだ」と諭しますが、ヘンドリックスは、世間から退いて生きている老人の生き方を非難します。

(ネタバレ)ヘンドリックスは、家に帰るとさらにひどい目にあいます。姉の恋人に、ドラッグを店に運ぶよう指示されます。拒否権はありません。しかし、ドラッグを受け取った男は、十分な金を払いません。そして、ヘンドリックスを「ラップ仲間だ」と適当に持ち上げ、ごまかしてしまいます。そんな姿を好きな女の前で見られたヘンドリックスは、自分の人生に絶望します。そんな彼を老人がやさしく抱きしめます。

そして、老人は、自分が若いときに、警察官に妻をレイプされたこと、その上、年長の息子を撃ち殺され、のちに妻を自殺で失ったことを語ります。また、その警察官が酔っ払っているのを見つけ、年商の息子の前で殴り殺したこと、それでも、何も癒されなかったことを語ります。

この時点で初めてわかりますが、老人の息子は普通の人に見えましたが、実は姉たちのボスでした。ヘンドリックスには暴力を振るう姉の恋人ですが、老人の息子(ボス)にはヘコヘコと振舞います。

老人のもとから帰宅する途中に、ヘンドリックスはラップバトルを挑まれました。しかし、老人の重い話を聞いたあとでは、バカバカしく思われ、相手をする気持ちになれませんでした。家に着くと、姉の恋人が殺されていました。慌てて、姉と一緒に逃げ出すヘンドリックスですが、ボスが追いかけてきます。ヘンドリックスらは、老人のところに逃げ込みました。息子を制止する老人に対して、息子は手を出すことはありませんでした。やむなく退散するボスに対して、ヘンドリックスは襲い掛かり、石をつかんで後頭部を殴りつけ殺してしまいます。姉と老人は、その惨劇を見て呆然としています。そしてエンディングです。

最後を惨劇ではなく、希望で描いて欲しかったですが、この階層のフィリピンの子供たちが、日常的に暴力に曝されており、希望がないことも現実なので、この展開はやむを得ないですかね。

「Respeto」の監督、出演者情報

本作の監督を務めたTreb Monteras IIさんは、長編映画作品がこの1本だけで、本職はミュージックビデオの監督さんです。また、俳優たちも老人を演じたDido de la Pazさんを除いて、ほとんどミュージックビデオに出演している歌手・役者です。音楽仲間と一緒に、1本ラップを愛する若者たちの映画を撮ってみたという感じなのでしょう。

「Respeto」の作品情報

オリジナルタイトル:Respeto

公開年 2017年

監督 Treb Monteras II

主なキャスト Abra

Dido de la Paz

視聴可能メディア Netflix(フィリピン)(英語字幕)

「Respeto」のトレイラー

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