名作と名高い作品、危険な街マニラを描く「メトロマニラ 世界で最も危険な街」

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本作はイギリス人監督が制作した映画ですが、舞台もマニラで、フィリピン人俳優しか出てきません。Filmarksではイギリス映画扱いになっていますが、一般的にフィリピン映画だとみなされています。まあ、マニラの様子、フィリピン人の暮らしが描かれているならば、我々にとってはフィリピン映画で良いでしょう。非常に有名な作品で、数々の国際映画賞を受賞しています。以前から見たかった作品なのですが、配信で見る方法がなく半ばあきらめていました。しかし、単純にオンラインのツタヤでレンタルできることを知り、今回見ることができました。考えてみれば、一昔前の有名な作品ならばDVD化されている可能性が高く、レンタルで探すというアプローチも有効ですね。

内容としては、我々外国人がフィリピンに行くと感じること、「この国で貧困層に生まれたら、犯罪にでも手を染めないとまともな生活さえ送るチャンスもないな」という印象を、そのまま映画にしたようなものです。ある意味、フィリピン社会を真正面からとらえた作品と言えると思います。

ちなみに、日本のジャケット写真では、まるで戦争映画のような写真が使われ「死ぬなら最後まで戦え」という言葉が躍っていて、マニラで内戦でも起こるかのように見えますが、この写真は警備員の先輩が、主人公にマシンガンの使い方を教える場面のもので、先輩が同僚を強盗に殺された経験から、「下手に降参しても殺されるから、最後まで戦った方が生存率が上がる」と教えるときのセリフです。わざと誤解を招くような写真、セリフが使われており、こういうプロモーションの仕方は、名作と名高い本作に対してはいかがなものだろうと思います。

(Photo cited from IMDb)

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「メトロマニラ 世界で最も危険な街」のストーリー

本作の主人公(オスカー)は、バナウエに住む農民です。妻と2人の小さな子供がいます。収穫した作物を売るも買いたたかれてしまい、来年のための種さえ買えない状態に絶望し、一家でマニラに移住します。さっそく職安であった男に騙されてしまい、有り金のすべてを失った家族は、路上生活へと転落します。しかし、路上で若い女性が誘拐されるのを目の当たりにした妻は、「ここでの生活は無理!」と拒否し、なんだかんだでスラムに流れ着くこととなりました。スラムでは、空いている部屋を紹介されました。「金がないのですが・・・」と切り出すと「金がないからスラムに来たんでしょ」と言われます。スラムの暖かさを感じた瞬間でした。子供がマニラのペニンシュラホテルを見て「ここは死んだあと来れる場所なの?」と親に聞くシーンが切ないです。

オスカーは、腕に軍隊の示す刺青があったことから、現金輸送車の警備の仕事の職を得ることができました。この仕事は危険な割には薄給で、1日500ペソだとのことです。一緒にバディを組む男(ダグラス)は、親切で業務に関する大切なこと、命を守るすべを教えてくれます。妻は、スラムの女の勧めで、ビキニバーみたいなところで働き始めます。ここでは、お客さんの股をさわったり、膝の上にまたがったりして喜ばせ、客に20杯のドリンクを飲ますことがノルマとなりました。

現金輸送車は頻繁に強盗に襲われるらしく、ダグラスはバディを殺されたばかりでした。しかし、現金が入ったケースは、顧客のところと、警備会社の奥にある部屋にある鍵でしか開けることができません。もし無理にこじ開けようとすると、札束にはインクがかかる仕掛けがしてあるのだそうです。今まで、行方不明となっ現金ケースは2つしかないだと教えてくれました。また、ダグラスは、スラムに住んでいると、家族を人質にされて事件に巻き込まれるので、自分が愛人のために用意している部屋を使っていいとオスカーに部屋を貸してやります。

ある日、普通のドラッグの売人の家から現金を回収する仕事にあたりました。フィリピンでは、個人の客の集金も行うのですね。そんな危ないことは止めればいいのにと思います。そこでは、売人たちが拳銃を持って構えている中を、現金をケースに入れ、鍵をかけて退出しました。車に戻ると、ダグラスはあいつら売人を襲って、家の金を奪おうと提案します。どうせ、やつらは犯罪で作った大金だから、俺たち真っ当な市民が、それをもらう権利があるというのです。しかし、入社したばかりのオスカーにそんな決断ができるわけがありません。グズグズしているうちに、この話は流れました。

(そろそろネタバレあり)次の大きな事件は、ダグラスが立小便に出かけたときに、ギャングの一団が彼を追うのに気づき、あわてて彼のもとに駆け付けました。すると、タグラスとギャングはグルであり、偽の襲撃事件をでっちあげる計画だというのです。襲撃事件があると、事務所の中で審問されるのですが、自分が上司なので先に審問を受けるから、そのあいだに事務所の鍵の型を取れというのです。

そして、失われた現金ケースは、以前同僚が撃たれたときにネコババしており、オスカーが現在住んでいる部屋に隠しているというのです。もはや、襲撃事件が行われることは決まっており、承諾の返事をするまでもなく、偽の襲撃事件が起こりました。しかし、ダグラスは本当に撃たれて死亡します。そして、この襲撃事件が幻となったのです。事務所で尋問を受けたあと、鍵が保管されている部屋の前を通り、恨めしそうに鍵ボックスを見つめます。

ところがある日、オスカーが現金輸送車で事務所に戻った際に、警備の者が中に入ったときに、ドアがしっかり閉まらない細工をしかけ、オスカーは事務所に忍び込みます。例の鍵ボックスのところに近づき、ドライバーでネジを外して開きましたが、部屋には監視カメラがあったのです。すぐに警備員がかけつけオスカーは射殺されました。家族には、オスカーの遺品が返されました。妻は、悲しみに泣き崩れますが、見たことがないブローチが入っていました。それは、直前のオスカーが万引きしたものでした。詳しく調べてみると、中に粘土が仕込まれており、鍵の型が取られていました。

一方、警備会社の所長もオスカーが盗んだ鍵の番号を照合し、クライエントに確認に行きますが、なんということもありませんでした。つまり、オスカーは以前ダグラスが隠した現金ケースの番号の鍵を型取りして、わざと違う番号の鍵を持ち出して射殺されたのです。オスカーは、この計画のことを現金ケースの上に手紙をおいて告白していたのです。妻はすべてを理解して、型から鍵を作り、現金を持ち出して、子供とマニラを離れます。そしてエンディングです。

おそらくフィリピン人の監督さんだったら、ラストは無駄死にで終わったのではないかと思いました。フィリピン人は、フィリピン社会の無常さを良く知っているので、最後のたくらみなどないし、あっても成功しないと描くでしょう。しかし、外国人がそんな社会をそのまま描くと、酷い社会を好奇心で暴露しているような感じがして居心地が悪く、一筋のロマンチシズムを挿入したくなるというのはわかります。やっぱり外国人が他の国の暗部を描くならば、ほんの小さなものでも良いので、弱きものに対して救いを描かざるをえないんじゃないかと思いますた。その点で、本作が名作になったのだろうと思います。これは必見です。

「メトロマニラ 世界で最も危険な街」の作品情報

オリジナルタイトル:Metro Manila

公開年 2013年

監督 Sean Ellis

主なキャスト Jake Macapagal

John Arcilla(Fuchsia Libre

Althea Vega

視聴可能メディア TSUTAYA DISCAS(日本語字幕)

「メトロマニラ 世界で最も危険な街」のトレイラー

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