本作はU-Nextなどで見られるフィリピンのエロ系映画ですが、予想外の大作でした。というのも、スペインに対する独立戦争を扱った演劇を、主人公らが演じるという展開です。そして、その演劇の渋いストーリー展開に加えて、主人公女優の私的な復讐が絡み合い、大島渚監督の「愛のコリーダ」へのオマージュともなるラストシーンへと昇華します。普段は、日本語タイトルに文句を言っていますが、本作の日本語タイトルは上手く付けられていると思いました。オリジナルタイトルの「Kabit」は「愛人」という意味です。パッケージ写真とタイトルでは、平凡な作品を想像しますが、かなり雰囲気は違う作品と思って大丈夫です。

(Photo cited from IMDb)
「裸のコリーダ 晒された欲望」のストーリー
主人公(ローラ)が演劇の主役に抜擢されるシーンから始まります。ローラは、映画ではちょい役での出演経験はありますが、演劇は初めてです。映画で芽が出なかったため、今回の出演にかけています。また、監督は元名監督で近年落ち目です。彼は復活をかけて、演劇の常識を破る官能シーンを目指すぞと、息巻いています。
少しずつ明らかになる演劇のストーリーを先に説明します。フィリピンがスペインに対して独立戦争を仕掛けている時代です。貴族階級にあるフィリピン人に嫁入りしたのが、主人公です。しかし、夫は貴族の義務を果たすために、戦地に向かわなければなりません。夫は戦地に向かう前に、妻を抱きます。その後、夫は無事に帰って来たのですが、戦争で多くの仲間を失ったショックで、夫はEDになっていました。何度か夫婦の営みに挑戦するも上手くいきません。貴族階級の血を残すために、孫を欲しがる両親に対して、夫は、自分以外でいいから男と寝て、妊娠してくれと妻に言います。その後、妻は領地で働く農民の男とのあいだに子供を宿すのですが、これには、子供を作れとは言ったが、農民の子種を宿せとは言っていないと、夫が激怒します。とは言え、すぐに妻が妊娠していることが発覚。これ以上の追及は終わり、単に農民の男を追放することで手打ちとなります。最後に、女と農民の男が別れのセックスをして、演劇は終わります。
さて、稽古のシーンが丁寧に描かれますが、主人公のセックスシーンが物足りないと言われます。実際、過激なシーンが多く、ローラも戸惑っているようです。しかし、信頼練習というお互いにスキンシップをするような稽古のあと、ローラは夫役とセックスしました。そのかいあって、夫とのセックスシーンは監督に褒められるほどになりました。
(ネタバレ)しかし、公演初日が近づいてきても、マスコミの取材が増えません。そこで、あわよくば宣伝してもらおうと、監督は有名な監督を招待して、通し稽古を見てもらうことにしました。ところが、その監督の評価は、ローラに対して辛辣なものでした。あんな感情のない演技ではダメだと、ボロクソ言われます。監督は、その批評した監督は、自分の作品にいつも厳しいから・・・と言って気を取り直して、初日を迎えます。しかし、日が経つにつれてお客さんは減ってきます。これではやばいと思った、農民役の男が、最後のセックスシーンで、ローラに無理やり挿入します。リアルな喘ぎ声にどよめく会場ですが、最後は大絶賛でした。その公演をたまたま見ていた辛口の演出家も、ローラの演技を大絶賛で、次の出演作も決まるほどです。そんな雰囲気の中、レイプのことなど言えるはずもなく、悶々として過ごすこととなります。農民役の男は、ずっと不機嫌なローラに対して、「もっとプロの俳優に徹しよう」と言われ、ローラの中で決意が決まりました。その日の公演で、ついにラストシーンを迎えたとき、本来ならば正常位の体制にならなければならないのですが、ローラは、自分の前に男を立たせ、男のペニスをしごきます。動揺する観客らが見つめる中、ローラはおもむろに刃物を取り出し、男のペニスを切り落としました。血しぶきが飛び散り、男は悶絶しています。驚いた監督ですが、うまく音楽を入れて無事エンディングに持ち込みました。そして、監督は大興奮です。「これで俺は復活したぞ」と叫びます。
大島渚監督の「愛のコリーダ」の名シーンを見事に劇中劇の中に落とし込みましたね。作中で演じられる演劇も本格的なもので、演劇のシーンだけでも十分に見どころたっぷりです。疑問に思ったのは、演劇なのに、普通に胸を出して全裸になることです。日本の演劇で、女の人が裸になるような演出をみたことがないのですが、よく考えるとストリップとかもあるわけですから、法律で規制されているわけではないのかもしれません。フィリピンの演劇では、女の人が裸になって、疑似セックス(1回は本当にやってしまうが)をやるのは大丈夫なのでしょうか? これはあくまでエロ映画のフィクションなのでしょうか?
「裸のコリーダ 晒された欲望」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたLawrence Fajardoさんは、「インビジブル」や「Kintsugi」、「覗かれた人妻・・・」などを撮った人です。社会派ドキュメンタリーから、セクシー、アクションまで何でも撮れる器用な監督さんです。たまに適当な作品を撮りますが、やはり地力のある人ですね。本作もさすが、と思わせる作品でした。ヒロインのAngela Morenaさんは、小顔で小悪魔系の容姿です。昔風のロングドレスに小顔が映えていました。ポスターではもう1人裸になる人がいるように見えますが、作中にそんな人はいません。
「裸のコリーダ 晒された欲望」の作品情報
オリジナルタイトル:Kabit
公開年 2024年
監督 Lawrence Fajardo(Kintsugi)(覗かれた人妻 恍惚のエロス)(インビジブル)(インモラル 復讐の餌食)(濡れた人魚妻)(A Hard Day)(裏切られた人妻 秘密の動画)
主なキャスト Angela Morena(義務とセックス)(欲情 嫉妬する肉体)(ラブレース セックスの女神)(ラブレース セックスの女神)(人妻の妄想-セックス フォン-)
Josef Elizalde
Victor Relosa
視聴可能メディア U-NEXT、Hulu、Abema(見放題)(日本語字幕)

