ミス・インターナショナルの妻がいるのに少年に耽ってしまう「あの夏の欲望」

この映画の売りは何といってもミス・インターナショナルのKylie Verzosaが出演していることでしょう。しかも、彼女は癌で余命いくばくもないという状態です。夫婦で最後のときを過ごしています。しかし、あろうことか、この夫が仕事で知り合った少年を好きになってしまい関係を持ってしまいます。何というもったいないミス・インターナショナルの使い方でしょうか。さすがの彼女も相手が少年ではその美貌で勝負できません。監督は、巨匠ブリランテ・メンドーサ。このもったいないミス・インターナショナルの使い方以外は、あまり巨匠らしくなかったような気もします。ダイビングのシーンが多く、フィリピンの美しい景色も楽しむことができます。オリジナルタイトルの「Sisid」はタガログ語でそのまんま「ダイビング」の意味です。

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ストーリー

若い夫婦がおり、どうやら妻の方が癌のため余命いくばくもないことがわかります。夫は海洋学の研究者で、海洋環境の評価のために海辺にやってきます。そこで、市長から若いダイバーの男の子を紹介され、結局その男の子と関係を持つことになってしまいます。しかし、その時男の子はガールフレンドを妊娠させてしまい結構大変な修羅場に。さらに、夫側も妻に関係がばれてしまいます。妻の立場から見れば、まさか、自分の死の間際に、夫が若い男の子と浮気をするとは、あまりにも可哀そうです。

ストーリーには、全く意外性なく、「この男の子と関係持ちそうだな」「でも、ばれるんでしょう?」などと予想したとおりに進みます。また、妻も最初から余命いくばくもないことが示されており、「最後はやっぱり後味悪い感じで亡くなるんでしょう」と、やはり予想通りの結末を迎えます。ちょっと、巨匠らしくないんじゃないでしょうか?

ただ、他のフィリピン映画と違うなというところは随所に感じさせてくれます。まず、とって付けたような設定とは言え、夫の海洋学者としての仕事ぶりが描かれます。仕事ぶりが描かれるフィリピン映画は極めて珍しいです。また、劇中に果たした仕事上の成果により、海辺の住人にインパクトを残すことができています。それから、海洋環境をテーマにしたことで、フィリピンの自然の美しさ、とりわけ海の美しさを存分に味わうことができます。意外と、フィリピン映画でフィリピンの自然の美しさがおさめられているものってそんなにありませんから。この美しさを味わうために、あえてストーリーを単純にしたのかもしれませんね。

そう言えば、私のフィリピン人の英語の先生が、私がフィリピンに行くことが決まったことを話したとき「Wellcome to our beautiful country!」と言ったのを思い出しました。私は、駐在前から何度も出張ではマニラが中心ですが、フィリピンに行っていたので、「どこが綺麗なんだ?」と思ったものですが、田舎の方は綺麗ですね。また、自分の国のことをてらいもなく「Beautiful country」と言えるのが、フィリピン人らしくていいなと思いました。

作品情報

オリジナルタイトル:Sisid

公開年 2022年

監督 Brillante Mendoza(GENSAN PUNCH)(ローサは密告された)(Feast-狂宴-)(アルファ、殺しの権利)(リプレイス 絡みあう欲望)(囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件)(ヴァージンフォレスト 愛欲の奴隷

主なキャスト Paolo Gumabao

Vince Rillon(ヴァージンフォレスト 愛欲の奴隷)(インモラル 復讐の餌食

Kylie Verzosa(ハウスメイド 欲望のしもべ

視聴可能メディア Lemino、Hulu(見放題)(日本語字幕)

U-NEXT、DMM TV、Rakuten TV(レンタル)

作品トレイラー