ブリランテ・メンドーサ監督(Brillante Mendoza)の全映画作品紹介

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ブリランテ・メンドーサ監督は、フィリピン人として唯一カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞し、おそらく世界的に最も良く知られているフィリピン人映画監督です。比較的、日本語で見られる作品も多く、日本で撮影された作品、日本人を主役にした作品もあることから、日本人にとっても比較的馴染みのある監督さんではないかと思います。ここでは、メンドーサ監督の映画人としてのキャリア、作品紹介、そしてどのプラットフォームで視聴可能かを紹介していきたいと思います。

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ブリランテ・メンドーサ監督について

(Photo cited from Culture360.org)

メンドーサは、1960年にパンパンガ州サンフェルナンドで生まれ、サント・トマス大学の建築学部と美術学部で広告芸術を学びました。サント・トマス大学と言えば、私学の名門大学ですから、かなり裕福な家庭で育ったものと思われます。商業映画のプロダクション・デザイナーからキャリアをスタートさせ、広告業界へ転身。CMのプロダクション・デザイナー、アート・ディレクターとして活躍しました。2005年に、「マニラ・デイドリーム」で映画監督としてのデビューを飾り、本作で、ロカルノ国際映画祭においてビデオ部門金豹賞を受賞しました。ちなみに「マニラ・デイドリーム」はマニラのゲイ文化を描いたものです。その後、2007年に、「Tirador」で第57回ベルリン国際映画祭カリガリ賞を受賞。20088年の「サービス」でフィリピン映画としては24年ぶりとなるカンヌ国際映画祭コンペティション部門への出品を達成します。2009年の第62回カンヌ国際映画祭では、2年連続でコンペティション部門出品となった「キナタイ -マニラ・アンダーグラウンド-」で監督賞を受賞しました。また同年、「Lola」により第6回ドバイ国際映画祭で作品賞を受賞しました。また近年では、自身が主催する映画祭「シナグ・マニラ・フィルム・フェスティバル」を立ち上げ、若手への援助も積極的に行っています。メンドーサ監督は、あまり自分の家族について言及していませんが、妻と娘がいると言われています。いずれも映画人ではなさそうです。

ブリランテ・メンドーサ(Brillante Mendoza)監督の全映画作品紹介

ここからは、メンドーサ監督の長編映画作品を新しいものから順番に紹介していきます。作品内容の紹介と、視聴できるサイト、おすすめ度なども書いていきたいと思います。私が視聴済み作品については、タイトルをクリックすることで、作品の詳しいレビューに飛ぶことができます。

1 Bansa (Motherland), 2024

2024年に制作され、韓国の映画祭にて初公開されたようです。また、日本や他の国では公開されていないか、映画祭巡りをしているものと思われます。テーマはたくさんの警察官が殉職し、大きな社会問題となったMamasapano事件を扱ったものだそうです。そのうち、日本のどこかの国際映画祭で見られそうですね。

2 Red/Pula, 2024

本作はひとことで言えば、「スリラーに見せかけたホラー映画」です。最初にホラー映画であることがはっきりと示されているのですが、その後、最初のシーンがなかったかのように普通の生活が描かれ、不倫だなんだと日常的なドラマから殺人事件へと至るので、「あれ?この人は何を考えているんだろう?」と混乱させてきます。おそらく、そうした混乱を狙った映画なんじゃないかと思います。とは言え、ドキュメンタリー風に、社会の問題に迫る作風を強みにしているメンドーサ監督が、完全に虚構のホラー作品をつくったとしても、その魅力は半減してしまいますね。

視聴サイト Netflix

言語 英語字幕

おすすめ度  ★★★

トレイラーなし

3 Moro, 2023

いくつかの作品で、ミンダナオ島のイスラムゲリラ兵と国軍の戦いを映画の中で描いているメンドーサ監督ですが、本作では、ゲリラ兵側の目線で作品を作っています。相変わらず、ドキュメンタリー風の、夢も希望もないストーリーラインです。娯楽性はほとんどありませんが、ゲリラ兵の普段の生活ぶりや戦いぶりなど、興味深いシーンが描かれています。

視聴サイト Netflix

言語  英語字幕

おすすめ度 ★★★

4 Apag/Feast-狂宴-, 2022

フィリピン人富裕層の交通事故処理、被害者への意識のなさなどを描いた作品です。ほぼ、被害者のことなど忘れ、毎晩のように狂宴を楽しむ富裕層の姿が描かれます。まさか、このまま終わってしまうのではないかと思った最後の最後に事が起こります。

視聴サイト Netflix

言語 英語字幕

おすすめ度  ★★★

5 ヴァージンフォレスト 愛欲の奴隷

本作はメンドーサ監督がVIVA Filmsと提携して、セクシーシーンを入れるという契約で撮った作品だと思われます。女性の裸はたくさん出てきますが、テーマは森林の違法伐採や人身売買など、政治の腐敗を描いたものです。若い女性が誘拐され、違法伐採のため働く男たちのための売春宿で働かされる話なので胸糞ではありますが、他にももっとひどい話が多いなかでは、比較的見やすい作品です。

視聴サイト U-NEXT、Lemino、ABEMA、Hulu、DMM TV、Rakuten TV

言語  日本語字幕

おすすめ度  ★★★★

6 Bahay na pula, 2022

本作は、海外のAmazon Prime Videoでは視聴できるようですが、日本からは視聴できません。VPNを使えば視聴できるかもしれませんので、いずれトライしようと思っている作品です。内容はホラーだと聞いています。

7 あの夏の欲望, 2022

余命いくばくない妻を持つ中年男性が、仕事で訪れた海辺の町で、若い青年を愛してしまう物語です。主人公の職業が海洋研究であるためダイビングのシーンが多く、美しい映像が見どころです。物語としては、予想通りの展開です。

視聴サイト U-NEXT、Hulu、DMM TV、Rakuten TV、Lemino

言語  日本語字幕

おすすめ度  ★★★

8 リプレイス 絡みあう欲望, 2021

結婚式を前に再開したレズカップルが、恋人関係を再燃させてしまったり、2組のカップルが乱交を広げたりすると、かなりエロに振った作品です。結婚式のための準備、あいさつ回りの様子が興味深いことを除くと、ほとんど映画的な見どころがなく、2組のカップルの絡みを楽しむ映画だと思われます。

視聴サイト U-NEXT、DMM TV、Lemino、Hulu、ABEMA、Rakuten TV

言語  日本語字幕

おすすめ度 ★★★

9 Resbak, 2021

2021年の東京国際映画祭で上映されたことがあります。しかし、その後主要な配信サイトではなく、公式より英語字幕無しでYoutubeにアップされています。商業的に成功しなかったのでしょうか? 青年が市長の息子に使われバイク窃盗を繰り返す物語のようです。

視聴サイト Youtube

言語  タガログ語のみ

評価  ??

10 義足のボクサー GENSAN PUNCH, 2021

実際にあった話を映画化しており、事故で片足が義足になったボクサーが、日本ではプロライセンスが取れないため、フィリピンに渡ってプロボクサーになるというお話です。フィリピンでの事務の様子、マッチメイクなどの様子が興味深く、最後に日本に戻ってきてプロライセンスを申請するときの、フィリピントレーナーの振舞いが感動的でした。おすすめの作品です。

視聴サイト U-NEXT、DMM、FOD、Rakuten TV

言語  日本語字幕

おすすめ度 ★★★★★

11 ミンダナオ, 2019

ミンダナオ島で重病の子供を抱える母親と、兵士として内戦を戦う父親を描いた物語です。病院の様子や、家族会など興味深いシーンが描かれます。メンドーサ監督の作品としては珍しく、ミンダナオ島に伝わる2人の王子が竜と戦う物語とオーバーラップしながら進行します。子供が重病であるため、全体的に非常に重苦しい映画です。

視聴サイト Youtube

言語  英語字幕

おすすめ度 ★★★

12 アルファ、殺しの権利, 2018

本作はフィリピンの麻薬戦争を描いたものです。その強面の作戦にも驚きますが、作戦を立案したものが(ちゃんと)不正を働いていたり、麻薬の売人たちがたくみな方法でドラッグを受け渡しするシーンが描かれるなど、フィリピンらしいたくましさも健在です。ストリーラインも明確で、非常に見やすく、おすすめの作品です。

視聴サイト U-NEXT、Amazon Prime Video、DMM TV、Rakuten TV、Lemino

言語  日本語字幕

おすすめ度 ★★★★★

13 ローサは密告された, 2016

本作も麻薬戦争をテーマにしたものですが、こちらは一般庶民の目線から描いたものです。麻薬戦争で警察のSWATがヒーローのように称えられる一方で、下級警察官は麻薬戦争を大義名分に相変わらず、市民から賄賂を巻き上げようと必死です。この両方の側面を持つのが、フィリピンの麻薬戦争なのでしょう。本作も必見です。

視聴サイト U-NEXT、Amazon Prime Video、DMM TV、Rakuten TV

言語  日本語字幕

おすすめ度 ★★★★★

14 罠 被災地に生きる, 2015

本作は、フィリピンの歴史上でも最大級の台風ヨランダの被災から1年後の現地の姿をおさめたものです。日本も自然災害が多いですが、日本との違いが興味深いです。無力感にさいなまれたり、政府がいいかげんな対応をしていたり、すっかり宗教的な奇跡にはまっている人々など、無秩序な様子が描かれます。

視聴サイト Youtube

言語  英語字幕

おすすめ度 ★★★★

15 Sapi, 2013

悪魔付き現象を扱った作品です。テレビ局が視聴率競争をしており、悪魔に付かれた人を取材するのですが、その後、怪奇現象に見舞われるというストーリーです。とは言え、怪奇現象が本当にあったのかどうかを曖昧にする手法が、現実も曖昧にしており、結局何が起こったのかわからずフラストレーションのたまる作品でした。おすすめはできません。

視聴サイト Youtube

言語  英語字幕

おすすめ度 ★

16 汝が子宮, 2012

フィリピンイスラム自治区の重婚をテーマにした作品です。どうやって、2人目の奥さんをもらうのか、それにより1人目の奥さんがどうなるのかなど、興味深い習慣が描かれます。主役の妻を演じたのが、フィリピンのレジェンド女優Nora Aunorというのも見どころの1つです。

視聴サイト ネット上の怪しいサイト

言語  英語字幕

おすすめ度 ★★★★

17 囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件, 2012

実際の外国人誘拐事件を映画化したものです。フィリピン警察のいいがけんな対応により、1年ものあいだジャングルをさまよい続けなければならなかった被害者と、テロリストを描いています。一種のストックホルム症候群でしょう。最終的に助け出された人の怒りはフィリピン政府に向かっていました。見ている人も、同じような気持ちを持つのではないでしょうか。

視聴サイト Amazon Prime Video

言語  日本語字幕

おすすめ度 ★★★★

18 Lola/Grandmother, 2009

2015年の東京国際映画祭で上映された作品です。現在のところ、英語字幕で視聴できるサイトが見つかっていません。殺人事件の被害者と加害者の祖母に焦点をあて、2人の事件への対応、生きざまを見せる作品だそうです。おもしろそうですね。

19 キナタイ マニラ・アンダーグラウンド, 2009

メンドーサ監督が、カンヌで監督賞を受賞した作品です。やはり最もおすすめの作品になります。警察学校の学生が、学校の先輩から気楽なアルバイトに誘われ、大変な事件に巻き込まれる物語です。何が起こるのがわからないまま、30分ちかく車の中で押し黙っているシーンがみどころです。

視聴サイト TSUTAYA DISCAS DVD

言語  日本語字幕

おすすめ度 ★★★★★

20 サービス, 2008

これは説明が難しい映画です。メンドーサ監督は、ドキュメンタリー風に映画を作るのが得意な監督さんではありますが、他の映画には明確なテーマと、主人公らしき人の目的と行動があります。しかし、本作品にはそれらしきものがなく、ただポルノ映画館に出入りする人々を映し出しています。かといってつまらないことは全然ありません。場所が場所ですので、様々な人が、それぞれの目的を持って映画館を出入りしますし、フィリピンですから、大小さまざまなトラブルが起きます。そういう映画です。

視聴サイト Youtube

言語  英語字幕

おすすめ度 ★★★★

21 Tirador/Shooter, 2007

原題からしてスナイパーの話だと思うのですが、日本語タイトルは「どん底」となっています。しかし、トレイラーを見る限り、職業的な軍人の話ではなさそうですね。日本語タイトルがあるので、どこかの映画祭で上映されたのだと思いますが、同名のフィリピンをテーマにした日本映画があるため検索が困難でした。現在のところ視聴できるサイトが発見できていません。

22 フォスター・チャイルド, 2007

本作は、2015年の東京国際映画祭で上映された作品です。里親が見つかるまでのあいだ、乳幼児をあずかるという物語のようです。フィリピン人は子供への愛が深いので、感動的な作品になりそうですね。残念ながら英語字幕で見れるサイトはないのですが、Youtubeで自動生成字幕を付けてみることは可能です。トレイラーの画質は悪いのですが、本編の方はそんなに画質が悪くないので、そのうちトライしてみようと思います。

23 Pantasya, 2007

ゲイをめぐる5つの物語だそうです。実は怪しげなロシア(?)のサイトで英語字幕付きで見ることができるのですが、そこまでしてゲイ映画を見る気にならず、まだ見ていない作品です。ゲイ映画に興味がある人以外は、無理をしてみる必要はないのではないでしょうか。タイトルは「ファンタジー」の意味です。

24 Manoro, 2006

メンドーサ監督の初期作品です。非常に素朴なつくりで、フィリピンに住む最も古い先住民と言われるアエタ族の選挙前の様子を映し出します。少数民族の生活に興味がある人以外はたいくつな作品かもしれません。

視聴サイト Youtube

言語  英語字幕

おすすめ度 ★★

25 Kaleldo, 2006

このページを作っている最中に気づきましたが、Youtubeにて英語字幕で見ることができます。今気づいたところなので、私はまだ見れていません。火山の噴火の影響を受けた地域の噴火から10年後の様子を描いたもののようです。木彫り職人の父と3人の娘の様子を追うものだそうです。わりとみやすそうですね。ちかぢかチャレンジしてみたいと思います。

視聴サイト Youtube

言語  英語字幕

おすすめ度 ??

26 マニラ・デイドリーム

メンドーサ監督のデビュー作です。ゲイパーラーを舞台にした作品だそうです。しかし、ゲイ作品が多いですね。Dailymotionでは、ドイツ語?みたいな字幕で見ることができますが、現在のところ英語字幕で見れるサイトは見つかっていません。有名監督のデビュー作なので、熱心に探せば見つかりそうです。私はゲイではないので、そんなに熱心に探していないから見つからないのかもしれません。トレイラーを見て気づきましたが、人気俳優のCoco Martinはデビュー作からの付き合いなんですね。若いころの彼は、ファンには必見かもしれません。

まとめ

メンドーサ監督は、比較的多作な監督さんです。しかも結構凡作も多いので、おすすめの作品から見ていくことをおすすめします。そうでないと嫌いになってしまいそうです。まずは、彼の代表作かつ日本語字幕で見れる「アルファ 殺しの権利」「ローサは密告された」「キナタイ マニラ・アンダーグラウンド」「Gensan Punch」から、次に「囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件」や「ヴァージンフォレスト 愛欲の奴隷」「あの夏の欲望」などセクシー系映画へ。そして、英語字幕作品では、「罠 被災地に生きる」や「汝が子宮」あたりに進むのがおすすめです。

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