日本映画で80年代のフィリピンを知る「海燕ジョーの奇跡」

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私が、フィリピンと関り始めたのは、まだ7年ほど前でしかなく、昔のフィリピンのことは何も知りません。仕事で関わるようになる前も、旅行などで行ったことはありませんでしたから。ただ、フィリピンを好きな人は、昔から好きだったという人が多く、「昔のフィリピンは、○○だった」という話は良く聞きます。本作は、1984年公開の映画で、その古き良きフィリピンの面影を伝えてくれる映画です。ストーリー自体は、沖縄のヤクザ(時任三郎)が、弟分がリンチにあって殺されたのに復讐して、相手の組の親分を射殺。空港や港を封鎖されて逃げ場を失ったため、小舟でフィリピンに逃走し、フィリピンで違法なビジネスを手伝ったり、生き別れた父親を捜すという物語です。気楽に見れる映画ですし、まだゴミゴミする前のマニラの雰囲気は必見です。

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「海燕ジョーの奇跡」のストーリー

主人公のジョーは、沖縄の小さな組に所属するヤクザです。しかし、近年では那覇を拠点に置く組に太刀打ちできなくなり、ジョーが所属する組は解散することになりました。組長らと共に、内地に引っ越して何かやろうということになっています。しかし、バーでの小さな喧嘩が発端(←ジョーが悪い)で、弟分が殺されてしまいます。それにキレたジョーは、相手の組長がラウンジに来るところを待ち伏せして射殺してしまいます。当然ですが、沖縄をひっくり返すような大事件になり、空港と港には厳重な非常線が張られ、逃げ道を失ったジョーは、父が住んでいるというフィリピンに逃亡することとなりました。ジョーは、フィリピン人と日本人とハーフという設定です。主人公を演じる時任三郎は、純粋な日本人ですが、ハーフと言われれば、少し唇が厚く、日焼けすれば、そうも見えるところがキャスティングの妙でした。ちなみに、ジョーの彼女(陽子)を演じるのが、藤谷美和子です。劇中では胸を出した濡れ場を演じます。おそらくですが、藤谷美和子が、濡れ場を演じたのは本作だけじゃないかと思います。

逃亡を専門とする業者を使って、ジョーは沖縄西端の島へ向かい、また船を乗り換えてフィリピンに到着します。島のおばあも言っていましたが、昔は台湾の船も平気で港に入ってきたさー、だそうです。現代は、国境と言う見えない線で隔てられていますが、海はどこにでも繋がっているという感覚が、この映画を支えています。

フィリピンに到着したジョーは、組の兄貴分に紹介してもらった与那嶺にマニラを案内してもらい、売春や窃盗品の販売など違法な仕事の手伝いをすることとなり、フィリピン生活を満喫します。その過程で、人々の生活や食堂の様子、ストリップーバーなど、当時の現地の様子が描かれており、非常に楽しめました。

(ネタバレ)終盤は、彼女の陽子が遊びにきて一緒に過ごしたり、沖縄の組長がジョーに会いに来たりします。しかし、組長は那覇の組に尾行されており、組長を連れて旅行に出るところを襲われ、陽子と組長は殺されてしまいます。ジョーは、追跡者を返り討ちにしましたが、遺体を運ぶ途中で、フィリピン軍の検問にあいます。静止を聞かずに、装甲車の突っ込み、車は横転、ジョーも帰らぬ人となりました。

Wikiに、この映画にまつわる面白い話がたくさん載っていました。少し要約すると、スラム街の風景は、当時スラム街を仕切っていた日本のヤクザに頼んで撮影したとか、三船敏郎がイメルダ夫人と得mン介して撮影の協力をとりつけ、最後のシーンのフィリピン軍の検問シーンが撮影できたとか、藤谷美和子が「フィリピンは変な臭いがする」と言って途中で無断帰国し、最後のシーンは替え玉であるなど、昭和らしいエピソードがあふれています。最後に、車が横転するシーンがあるのですが、最後の最後のシーンで車が海に落ちているのは、撮影時間の関係で、道路に横転しているところを撮れなかったからだそうです。いろいろこぼれ話も面白い映画ですので、楽しんで見れますね。

「海燕ジョーの奇跡」の作品情報

オリジナルタイトル:海燕ジョーの奇跡

公開年 1984年

監督 藤田敏八

主なキャスト 時任三郎

藤谷美和子

原田芳雄

視聴可能メディア U-NEXT、Hulu、Lemino(見放題)

Amazon Prime Video、DMM TV(レンタル)

「海燕ジョーの奇跡」のトレイラー

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