重い病気と闘う2人の若者の姿を爽やかに描く「Chances Are, You and I」

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タイトルやポスター写真からは、恋愛ものという印象ですが、意外にも病気ものでした。主人公の2人の男女は、いずれも脳腫瘍を患っており、しかも同じ交通事故で親を亡くしています。そんな境遇のため、男は悲観的な人生観を持ち、女は人生に希望を見出しています。2人は、お互いに影響を与え合いながら、病気と家族の問題に立ち向かう姿が描かれていました。それでいて妙に爽やかな雰囲気があるのが本作の特徴です。2人は大変な問題を抱えているのですが、言動がひねくれておらず、率直なため、見ていて気持ち良い作風でした。

(Photo cited from IMDb)

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「Chances Are, You and I」のストーリー

2組の幸せそうな家族が、車で旅行をしています。ところが、前を走っていたトレイラーが事故を起こし、2台の車も事故に巻き込まれてしまいました。その事故で、主人公の女(ガビ)は両親を、男(ソル)は母親を亡くしました。

それから5年後経ちました。ガビは、祖父が経営する病院で、病院のスタッフ(雑用係)として働きつつ、患者として入院もしています。この設定が最初説明されず、わからなかったのですが、そんなことフィリピンではあるのでしょうか? そして、ソルも同じ病院に通院しています。ソルはガビのことを知らなかったのですが、ガビは病院のスタッフでもあるので、同じ病気の同年代のソルのことを知っていました。

ソルは、悲観的な人生観を持っており、ちゃんと検診を受けていません。しかし、韓国女性と再婚した父親が病気になったため、一緒に住んでいた韓国人の義兄が韓国に戻ったことを機に、まじめに検査を受けることとしました。しかし、検査の結果、脳の腫瘍は悪性であり、すぐに手術するしか助かるチャンスはないと言われてしまいます。元々ネガティブな考え方をするソルは、すっかりあきらめて、残された人生、好きなように過ごそうと考えています。

一方、ガビは治療に対して積極的です。同じ病気のソルが、治療に積極的でないことを知り、彼の世話を焼きます。そんなある日、ガビの母親が実は生きていたという事実が判明します。死んだことにして、自分の前から消えた母親に、ガビは激しき憤り、ショックを受けます。

そんなわけで、2人は病院の近くにお気に入りの波止場で泣いていたところ、お互いを発見し、次第に気持ちが近づいていきます。ちなみに、ガビは本名のガブリエルの短縮形ですが、タガログ語では夜を意味します。ソルはスペイン語で太陽、あるいは昼を意味します。そのことに気づいた2人は、別れがたい半身のような存在となりました。

ソルは、父親が再婚したことに納得がいってない様子で、父親に会いに行くかどうか悩んでいました。しかし、ガビの励ましにより、これが最後になるかもしれないと、韓国に行くことを決意します。ガビもその旅に同伴することとなり、2人は韓国に旅立ち、ソルの義兄との3人で、韓国旅行を楽しみました。2人は、韓国での思い出を大量のポストイットに書き記します。

しかし、フィリピン映画では、韓国のシーンが頻繁に出てきますね。一方、日本のシーンは佐賀がほとんどで、あとは東北などの田舎ばかりです。正直、ソウルはフィリピンの若いカップルがデートする場所としてオシャレに描かれているのに対して、フィリピン映画中の日本はどこか陰鬱な場所です。おそらく、海外のフィルムメーカーを受け入れる体制がソウルにあるのだと思います。これは、東京も本気で取り組むべきではないでしょうか? アレンジできる人が都にいないのなら、ここにフィリピン映画に詳しく、英語が喋れる人間がいますが・・・。

さて、韓国では、ソルは病気になる前の夢だった、パイロット学校の入学案内を父に渡され、すっかり感激しました。一方、ガビは死んだことになっていた母親と偶然出会い、しかも男と一緒だったことから、自分が捨てられたと考え、ショックを受けました。

(ネタバレ)フィリピンへの帰国後、ソルは抑鬱から脱出し、逆に、ガビは鬱々と過ごすことになります。そんなある日、ガビの母親がガビに会うために病院にやってきました。母は、父を事故で亡くしたあと、自分には何もなかったので裕福な父方の祖父に預けるしかなかったというのです。それで、死んだことにしていた理由になるのかなと思いましたが、ガビも納得できなかったようで、病院から飛び出します。そこで、またガビは交通事故に遭ってしまいます。この映画、交通事故が多すぎですね。

ガビが意識を取り戻しときには、脳腫瘍はすでに取り除かれていました。事故で意識不明のあいだに、脳腫瘍を取り除く手術をやるかな?とは思いましたが、事故で脳に出血があったのかもしれませんね。頭を開けたらついでに腫瘍も取るかもしれません。ところが、脳の手術のため、ガビはソルのことを忘れていました。医師はいつ記憶が戻るかわからないと、ソルに伝えます。ソルはそっとガビの元を去ります。

それから5年経ちました。ガビは、自分の夢だった医師になり、祖父の病院で働いています。そして、頻繁にソルとの思い手の波止場で過ごします。ある日、パイロットの制服を着たソルがあらわれました。2人は抱き合い、キスをします。そしてエンディングです。

同じような境遇で親を亡くし、深刻な病気を抱えている若い2人が、生に対して正反対の態度を取っており、2人が影響を与え合い、手術の恐怖や家族の問題に向き合うと言う設定が良いですね。とは言え、ガビの場合、手術は意識を失っているあいだになされ、ソルの手術のシーンはありませんでしたが・・・。ガビの母親が生きていたという設定は蛇足だったと思いますが、2人は昼と夜の関係ですから、彼女の方にも家族のドラマを作りたかったのでしょう。どちらも生きのこれるかわからなかったということもあり、恋愛関係が最後の最後だけというのも、爽やかで良かったです。

「Chances Are, You and I」の監督、出演者情報

本作の監督をつとめたCathy Camarilloさんは、長編映画は、本作がまだ3作目の若い監督さんです。私も2作しか見ていないので、まだ作風がわかるほどではないのですが、オーソドックスな手堅い作りをする監督さんという印象です。主演の2人は、そこそこいろんな作品で見かける役者さんですが、一番目に留まったのは、韓国人の俳優のJinHo Baeさんです。フィリピン映画における韓国人俳優と言えばRyan Bangさんが有名ですが、他にもこんな隠し玉を持っていたんですね。日本人には、日本を離れて、フィリピンの芸能界で有名になろうという発想の人はおらず、こういうガッツは凄いなと素直に思います。

「Chances Are, You and I」の作品情報

オリジナルタイトル:Chances Are, You and I

公開年 2024年

監督 Cathy Camarillo(That Kind of Love

主なキャスト Kelvin Miranda(Missed Connections:あなたを探して)(デッド・キッズ

Kira Balinger(Maple Leaf Dreams

JinHo Bae

視聴可能メディア Netflix(英語字幕)

「Chances Are, You and I」のトレイラー

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