ふんどしをテーマに、日本とフィリピンの文化交流を描く「フィリピンふんどし日本の夏」

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フィリピンを代表する映画監督の1人に、キドラット・タヒミック監督がいるのですが、この監督もラヴ・ディアス監督と同様に、商業性がほとんどないため、その作品がDVD化されたり、配信されることがありません。映画祭でしか、作品を見ることができない監督さんです。しかし、たまたま怪しいサイトで、タヒミック監督の作品を3つ見つけたので、順番に見ていきたいと思っています。しかも、本作は日本語字幕がついていました! 本作は、おそらく日本とフィリピンの文化交流事業を記録している際に、2つの文化の類似性、そして西洋文化が入ってきて、自分たちの文化が失われていることをテーマに、いくつかの映像を追加して再編集したものではないかと思います。途中で、「友達の小川伸介監督に誘われて」というコメントがあり、同じドキュメンタリー映画の監督として、2人は交流があることが示されていました。

(Photo cited from TMDB)

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「フィリピンふんどし日本の夏」のストーリー

ドキュメンタリー映画なので、ストーリーはありませんが、私が作品を見て発見したことを書いていきます。

フィリピンの森の中で原始的な生活をしている部族の様子が映し出されます。彼らは、ふんどしのようなもので股間を覆っており、「日本ではふんどしと言うんだよ」と聞かされ、盛り上がります。のちに、彼らはイゴロット族であると紹介されました。ルソン島北部に住む、美しい棚田を作ることで有名らしいので、世界遺産にも指定されている棚田も彼らが作ったものかもしれませんね。

その後、アメリカ文化がフィリピン文化を冒していることが嘆かれ、その中でもマリリンモンローとシュワルツェネッガーがやり玉にあげられます。イゴロット族が作った彫像の女は、マリリンモンローより、短足でずん胴です。それは、かつでの美の基準がこうした姿にあり、今は西洋的な美の基準を押し付けられているのだと語られます。また、男はシュワルツェネッガーのような尻でなければ恥ずかしいと思うようになり、ふんどしをやめて、西洋式のパンツを履くようになったのだと語られます。本作は1996年公開の作品ですが、当時はそういう面が強かったかもしれませんね。今は、フィリピン独自の美の基準が確立してきたようにも見えますし、東アジア的美の基準が入ってきて、その影響を受けているようにも見えますね。

小川伸介監督は、西洋の物語が地元の物語や神話を破壊していたことを知っていた、とタヒミック監督は語ります。フィリピンの神々は殺され、日本のふんどしは戦争を境に消えたと語られます。

そして、ここは文化交流事業を撮影したものだと思いますが、原爆を落とされた広島のために、フィリピンに落ちたアメリカの不発弾を使って鎮魂の鐘をつくり、その鐘を広島の公園で打ち鳴らしました。また、針治療の針に見立てた杭を3本打ち込みました。ここの意味はよくわかりませんでしたが、風水的なものなのでしょう。鐘を鳴らして、その周りで人々が踊ります。

タヒミック監督によれば、イゴロット族でも、近年お祭りでふんどしを絞めることは増えたと語られます。確かに映像を見ても、ほとんどがふんどしを絞めており、2-3人が西洋式のパンツを履いています。ともかく、この傾向は良いことだ、伝統的な衣装から民族的な力が得られると語られます。その流れで、日本の相撲が紹介され、マゼランに買われた奴隷が紹介されます。マゼランの奴隷は、西洋式の恰好をせず、自分の民族衣装を着ており、ふんどしを絞めていたそうです。「世界一周を果たした最初のふんどしだ」と称賛されます。この奴隷は、世界一周したのち、地元に戻ったそうです。

「フィリピンふんどし日本の夏」の監督情報

本作の監督をつとめたKidlat Tahimikさんは、ドキュメンタリー映画を撮る監督さんで、ネオ植民地主義に抵抗し、暴露する「第三映画」と呼ばれる運動の先駆者とみなされている監督さんです。「フィリピンインディペンデント映画の父」とも呼ばれ、2018年にフィリピン国民芸術家勲章(映画部門)に選出されています。これはフィリピンが芸術家に授与する最高位の栄誉です。裕福な家庭で育ち、父親は元バギオ市長です。また、ドイツ人のアーティストと結婚し、3人の子供をもうけています。近年は、作品もほとんどなく、地元のバギオでカフェやアートスタジオを経営しているそうです。バギオは行ったことはありましたが、その時は知りませんでした。今度行く機会があれば、ぜひ訪れてみたいですね。

「フィリピンふんどし日本の夏」の作品情報

オリジナルタイトル:Japanese Summers of a Filipino Fundoshi

公開年 1996年

監督 Kidlat Tahimik(月でヨーヨー

視聴可能メディア 怪しいサイト(日本語字幕!

「フィリピンふんどし日本の夏」のトレイラー

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