
ルフィー一味や、JPドラゴンで有名になったフィリピン刑務所の実態ですが、2001年公開の映画で、かなりフィリピン刑務所の実態を正確に描いて、良質な娯楽作品にした映画がありました。本作は、キャストも無駄に豪華です。主役のエリートサラリーマンを演じるのが吉川晃司、フィリピン刑務所の主を演じるのが山崎努、そして主人公たちと一緒に行動する美人は、若き日の大塚寧々です。脇役も豪華で、遠藤憲一、竹中直人、及川光博などが出演しています。みんな、フィリピンで撮影をエンジョイしたんでしょうね。楽しいノリで制作された映画という感じが、伝わってくる映画です。
「天国から来た男たち」のストーリー
主人公の早坂は、エリートサラリーマンですが、フィリピンで麻薬の持ち込みの疑いをかけられ逮捕されてしまいます。どうやら麻薬の売人の荷物と入れ替わってしまったのかな?そんなことを密売人が語っているシーンがありました。本人は、自分は麻薬など持ち込んでいないので、ちゃんと裁判で明らかになるはずと余裕でいたのですが、どの弁護士もお金を払って有利な証言を買わないと、裁判では勝てないと言います。1000万円かかるとのことで、会社に期待していたのですが、会社は早坂を見捨てて、さっさと解雇してしまいました。フィリピン好きの人ならば、フィリピンの裁判のことは良く知っていると思いますので、このくだりが誇張ではないことがわかりますよね。
また、早坂は未決なのですが、刑務所に入れられます。そこで、日本人区画に案内されます。その区画は、トイレが汚いことを除けば、そこそこ綺麗な区画です。しかし、驚いたことに、居住料を求められます。やがて、刑務所のドン(吉田)に招待されて、彼の部屋に案内されると驚愕します。豪華な応接間に、日本人の美女までいます。
吉田によると、ここにはまともな人間がいないから、お前には俺のビジネスを手伝ってもらいたいと、彼のビジネスに勧誘されます。吉田は、この部屋を借りるのに毎月20万ペソ払っているのだそうです。だから金を稼がなければならないと言います。そして、吉田は当たり前のように、早坂を誘って刑務所の外に仕事に出かけます。早坂は、外出中に一度逃げたりもしたのですが、あっさりと吉田に見つかり、「次に逃げたら殺す」と言われます。まだ、この頃は無罪判決を受けて、日本に帰れると期待していた早坂ですが、お金が払えずあっさりと無期懲役の判決が下ります。
そこで、吹っ切れたのか、吉田の仕事を積極的に手伝うようになります。「お前の会社、友達はお前を見捨てなかったのか?俺はお前を見捨てない」などと、この場で言われたらついていきますよね。刑務所では、自分たちがお金を持っていることが知られ、フィリピン人受刑者から襲撃を受けたり、それに対して銃で応戦したり、吉田を狙う殺し屋が入ってきたりと、フィリピン刑務所は相変わらずガバガバなセキュリティです。結局、吉田とその手下、早坂たちは、刑務所を脱出することになり、殺し屋たちから逃げる逃避行が始まります。後半は、吉田を狙うヤクザのグループと、吉田の仲間たちの対決。多くの仲間を失いますが、吉田、早坂、吉田の女は生き延びることができました。ラストのオチは、その後、早坂がフィリピンの大統領になるというものでした。さすがに、大統領は無理ですが、市長くらいならば、戸籍を買った中国人がなっていましたね。そんなにフィリピンの現実と外れたことは描いていないと思いました。
全体的にフィリピンのいい加減なところをユーモラスに描いたエンタメ映画だと思います。俳優陣も豪華ですし、フィリピンに興味のある人ならば楽しめると思います。
「天国から来た男たち」の作品情報
オリジナルタイトル:天国から来た男たち
公開年 2001年
監督 三池崇史
主なキャスト 吉川晃司
山崎努
大塚寧々
視聴可能メディア U-NEXT、Hulu、Amazon Prime Video(日本語)(見放題)