少年ギャングたちと、死の自警団(Death Squad)が殺しあう「Engkwentro」

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フィリピンのニュースに対するフィリピン人の反応を訳していると、DDS(Davao Death Squad, ダバオ死の自警団)という言葉が頻繁に出てくるので、いったいそれはどんなものなのか? というのを調べたところ、この映画のタイトルが出てきました。調べた感じDDSの中の内ゲバみたいな話のように書いてあったので見てみましたが、DDSは直接関係ありませんでした。では何が描かれているかというと、2つの少年ギャンググループの抗争です。また、こうした少年ギャンググループのメンバーを密かに殺しているのがDeath Squadらしく、政府に雇われたギャングと言える存在のようです。ネタバレですが、最後の最後に主人公2人が、誰かに軽く殺されましたが、あれがDeath Squadだったのかもしれません。「Engkwentro」の意味は、「予期せぬ出会い」だそうです。

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Death Squad(死の自警団)ってなに?

Death Squadの中ではダバオのものが圧倒的に有名です。本作のエンドテロップでも出ていましたが、有力な政治家は私兵としてDeath Squadを持っており、治安維持のために、少年ギャングを暗殺しているのだそうです。DDS(ダバオ死の自警団)についてのWikipediaの翻訳です。ただし、DDSに関しては、マルコスとドゥテルテが政治的にライバル関係にあるため、政治的な意図をもって編集されている可能性もあることを念頭において読む必要があります。

ダバオ・デス・スクワッド(DDS)は、フィリピンのダバオ市に拠点を置く暗殺部隊グループです。このグループは、ストリートチルドレンや軽犯罪、麻薬取引の容疑者に対し、即決処刑を行っていたとされています。 1998年から2008年の間に、このグループによる殺害または行方不明者は1,020人から1,040人と推定されています。フィリピン人権委員会(CHR)の2009年の報告書は、ロドリゴ・ドゥテルテ市長時代の地元警察による妨害行為を指摘し、漏洩された公電では、ダバオ市民の間で国民の怒りがほとんど見られなかったと指摘されています。

ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、暗殺部隊のメンバーは警察によって管理されていた。 これらの警察官は、襲撃者に訓練、武器・弾薬、オートバイ、そして標的に関する情報を提供した。標的リストは警察またはバランガイ(村または地区)の職員によって作成された。リストには、氏名、住所、写真などが含まれる場合がある。地元の警察署には、襲撃者の殺害と逃走を容易にするために事前に警告が送られていたとされている。2016年の上院公聴会におけるエドガー・マトバト氏の証言によると、彼は麻薬密売人、強姦犯、ひったくり犯など、警察が殺害を望んでいた特定の標的の殺害を任されていたという。

目撃者によると、警察官は、たとえ警察署の近隣で発生した事件であっても、対応に驚くほど時間がかかったという。警察官は、路上から薬莢を回収するといった基本的な捜査手順を怠っていた。ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告によると、殺人犯の標準的な手口は、2~3人の小集団で無免許バイクに乗って現れるというものだった。被害者は、昼間に、バー、カフェ、市場、ショッピングエリア、ジープニー、トライシクルなどの公共の場所で、多数の目撃者の前で、予告なしに刺されたり、撃たれたりした。 襲撃者への報酬は、標的に応じて、通常5,000フィリピンペソから50,000フィリピンペソ(114~1,147米ドル)であった。

確かに、主人公らは、最後のシーンで2人乗りのバイクの男にいきなり撃たれていましたね。こういう前知識を持って見ると良いかもです。

「Engkwentro」のストーリー

2人兄弟の物語です。弟のレイモンドは、ちゃんと学校に行ってないようで、父にも兄(リチャード)にも怒られています。兄は、テスト用紙が買えないので学校に行かないのではないかと考え、弟にお金をあげたりしました。こんな話は確かに聞いたことがありますね。フィリピンでは学費は基本無料ですが、学校の先生が小遣い稼ぎのため、テスト用紙のプリント代だなんだと、お金を巻き上げると聞いたことがあります。

兄はギャンググループのリーダーですが、この街に嫌気がさして密かにガールフレンドと脱出しようとしています。父は薬物中毒者で、わけもなく2人を殴りつけます。街は市長によって支配されており、街の中のどこにいても市長のプロパガンダ放送が聞こえてきます。内容としては、「俺が市民を守ってやっている」というものです。

レイモンドは、密かに兄とは違うギャンググループに属していたのでした。そこでパシリのようなことをやらされています。レイモンドなりに、この街を捨てようとする兄に敵がい心を持っています。ある日銃を買いに行かされたあと、兄に銃を発見されました。怒った兄は「俺のようにはなるな」と言って、銃をギャングのところに売りに行きます。その値段なんと200ペソ(500円)です。「もう、ギャンググループとは手を切れよ」と言われるのですが、アジトに戻ったレイモンドは、リーダーに拳銃がない理由を聞かれ、「兄がマニラへの旅費にするために売った」と答えます。それに激怒したレイモンド側の若い男は、執拗に兄を追います。その間に、ちょっと少年ギャング団どうしのケンカも挟まれます。また、兄が金をつくるために父の覚せい剤を売ったことがばれ、父にボコボコにされるシーンなどがありました。

ついに、対立するギャングのリーダーが兄をとらえました。拳銃をこめかみにあて脅したあと、レイモンドを呼びつけ、刀で兄を殺すよう命じます。弾丸が40ペソするからもったいない、というのが理由です。躊躇するレイモンドに痺れをきらし、気がそれた瞬間、リチャードに反撃され、リーダーはボコボコにされたのち、リチャードに射殺されます。リチャードはレイモンドに、「もうこんなことに関わるな」と言って、2人で少し離れて夜道を歩いて帰っていると、いきなり兄が射殺されます。その後、射殺した男が弟に、死体を川に投げろと脅し、少し躊躇したときには弟も射殺されました。その後、2人乗りのバイクは去っていきます。何もしらない兄の彼女アが待ち合わせ場所に来ました。そして、エンドテロップが流れます。「フィリピンでは毎日少なくとも1人が自警団によって殺されている。その多くが未成年だ。そして、フィリピンは自警団の存在を認めていない」。その後エンドロールです。

まあ、どうしようもない街の、どうしようもない人々の物語でした。マニラも治安が悪いですが、もっとどうしようもない街があるみたいですね。絶対に近づかないようにしましょう。

「Engkwentro」の作品情報

オリジナルタイトル:Engkwentro

公開年 2009年

監督 Pepe Diokno

主なキャスト Felix Roco

Daniel Medrana

Celso Ad. Castillo

視聴可能メディア Youtube(英語字幕)

「Engkwentro」のトレイラー

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