日本のアニメについて、西洋人がよく言うのは「どうして教会はいつも悪の総本山なの?」ということですが、意外とフィリピン映画でも教会は腹黒いところがあり、悪役を担っていることが多いです。本作では、なぜか、2人の神父が連続殺人事件の捜査チームに入っています。そして、どの被害者も教会の炊き出しに参加していたことが早い段階でわかっており、また司教が捜査を妨害しようとするので、教会の関与が深く疑われるなかで捜査が進みます。タイトルの「Smaller and Smaller Circles」は、徐々に犯人像が絞られていくさまを表現したものだと思います。本作は半分程度の会話が英語で行われ、それには字幕がついていません。しかも、登場人物の英語のクセが強く、非常にわかりずらいです。また、英語の構文の中にフィリピン語を交えて喋る会話にも英語字幕がありません。フィリピン人らしい適当な仕事ですね。ですので、私も完全に理解できておらず、おそらく90%程度の理解で、このレビューを書いています。

(Photo cited from IMDb)
「Smaller and Smaller Circles」のストーリー
ケソン市では、10歳前後の少年が殺され、ゴミ捨て場に捨てられるという事件が続いています。どういう理由なのかわからないのですが、その捜査班に2人の神父が入っています。そのうち1人は自分のラボも持っており、被害者の解剖も行います。なぜフィリピンでは神父が、捜査に関わり、解剖までしているのか、これは普通のことなのかが最後までわかりませんでした。ただ、本作は1997年を舞台にしているので、その時代には、そうした特殊な技能を持った人は、警察よりも教会にいたのでしょうかね?
ごく初期の捜査の段階で、被害者は性器と顔の皮が切り取られていること、常に月初めの土曜日に殺されていること、教会が主催する炊き出しにいっていたことがわかっており、教会関係者の関与が疑われています。また、遺体に血がほとんど残っていないことから、どこか他の場所で殺されており、大量に血が流れても容易に掃除できる場所で殺されたに違いないと推測されます。あとは、この線に沿って、疑わしい人に目星をつけるだけなので、視聴者としては気が楽ですね。
最初に疑われたのは、炊き出しの関係者でした。しかし、2人の目にはそれらしい容疑者は浮かび上がりませんでした。しかし、警察署長が病気で倒れたあとに、捜査を担当することになった警部は、炊き出しの材料を配送した男を容易に逮捕。しかも何らかの取引をして嘘の自白をさせていたようで、事件解決となりました。操作からも外された2人ですが、10分だけ容疑者との面会を認められ、尋問をしますが、容疑者の語る殺害方法が明らかに遺体の状態と異なっているので、でっちあげだと気づきます。そして、2人は独自に捜査を続けます。また、その後、次の遺体が発見されたことで、事件を引き継いだ警部に対して、現場復帰した警察署長は大激怒。2人は、正式に捜査班に復帰しました。
(ネタバレ注意)次に捜査線に浮かび上がったのは、毎週土曜日におこなわれていた移動診療所です。2人は、一部の被害者の身元がわからないので、という理由で、移動診療所を運営している病院に潜入。カルテをあさるのですが手掛かりは得られませんでした。しかし、事件が始まったころから土曜日の仕事をしなくなったアレックスなる人物のことを聞き、彼を追うことになります。その後は、比較的すんなりとアレックスにたどり着きました。アレックスは、追われる中で誰か(説明がなく誰かわかりませんでした)を殺害し、自身も深手を負います。そして、逮捕される前に、捜査を行っていた神父の1人の前で告解することを求め、神父はそれに応じます。しかし、大して重要な告白はなく、いきなり神父の腹を刺しました。
神父の命には問題なく、病院で目を覚ましたときには、アレックスは既に自殺していました。その後、2人はアレックスの家族を訪れ、アレックスが子供時代に、彼を含めた数人の子供たちが体育の教師に性的虐待を受けていたことを聞きます。最後のシーンでは、ジャーナリストが神父の元を訪れます。彼女は、少年の性的被害者について情報を掴んでおり、その加害者であると思われる名前をあげます。しかし、神父は彼はすでに異動したと気まずそうに答えます。そして、エンディングロールです。
途中、司教の出世に関する話題がでたり、司教と警察署長の公開討論会のときに、警察署長が病気で倒れたりと、教会が怪しい感じを漂わすのですが、実際には、教会の関与は最後に少し言及される少年への性的虐待だけでした。だけと言ってはなんですけど・・・。
「Smaller and Smaller Circles」の監督、出演者情報
本作の監督を務めたRaya Martinさんは、ショートフィルムを撮ったり、ドキュメンタリーを撮ったりと、長編映画の監督としての実績は少ないのですが、「Death of Nindento」という日本人には気になる、そこそこ売れた作品があります。日本人としては、絶対に見なければならない映画だと思っています。主演の神父のうち1人(刺されたほう)を演じたNonie Buencaminoさんは、様々な映画で脇役を演じているベテラン俳優さん。もう1人を演じたSid Luceroさんは、先日見た「アウトサイド」のお父さん役があまりに印象が強すぎて出ているだけで緊張感が放っていました。
「Smaller and Smaller Circles」の作品情報
オリジナルタイトル:Smaller and Smaller Circles
公開年 2017年
監督 Raya Martin
主なキャスト Nonie Buencamino
Sid Lucero(ヴァージンフォレスト 愛欲の奴隷)(アウトサイド)
Madeleine Humphries
視聴可能メディア Netflix(英語字幕のみ)