タイトルのとおり、スパイダーマンのパクリ映画です。「牢獄処刑」を撮ったエリック・マッティ監督が、自分の制作会社を作る以前に監督した作品です。上の人から「スパイダーマンみたいな映画を撮ってくれ」と言われて断れないサラリーマン監督の悲哀を感じます。とは言え、そこそこの作品に仕上げたのは、後に名作を生みだした監督の力量でしょう。こんな作品ですが、第17回東京国際映画祭”アジアの風”オープニング上映作品となり、日本吹き替えも入ったDVDも発売されました。昔のフィリピン映画ですから、展開が非常に遅く、現代の映画に成れている人にはイライラするかもしれません。視聴するときは、そんなに集中しないで見るくらいが良いと思います。オリジナルタイトルの「Gagamboy」は、Gagamba(蜘蛛)から作られた言葉です。

(Photo cited from Rotten Tomatoes)
「スパイダー・ボーイ ゴキブリンの逆襲」のストーリー
本作の物語はずっとスラムの中で起こります。最初のシーンは、2人の男がアイスクリームの屋台で商売を競っています。不毛な競争の末、2人とも屋台を壊してしまいクビになってしまいました。そのうちの1人が主人公、ジュニーです。また、もう1人のクビになった男がドドイです。
ジュニーは、昼寝をしているときに放射性物質に汚染されたクモを飲み込んでしまい、超人的な身体能力をもったスパイダーボーイになってしまいました。強化された身体能力意外に、手や口から粘液性の糸を出すことができ、それを練り合わせることで様々なものを作り出すことができます。
せっかくの力を手に入れたジュニーですが、あまり使う機会もありません。最後の対決まで、スパイダーボーイになった直後に、スラムの不良やコウモリ女と対決するシーンがあるくらいです。不良から女を助けたときに、「この街ではみんな顔見知りだから、家族に復讐されるかもしれない。気をつけなさい」と言われ、ジュニーはスパイダーボーイのマスクと衣装を発注しました。
ジュニーとドドイは、同じ女性にアプローチしています。そんなドドイですが、ある日、Gが挟まったサンドイッチを食べてしまい、ゴキブリンに変身してしまいました。こちらは、完全に姿から変わってしまいましたが、どういう理屈なのかヒロインに会うときは、人間の姿だったので姿を変えることができるようです。
(ネタバレ)ある日、スラムの中でミスコンが開催されました。ミスコンでヒロインを誘拐する作戦を知ったジュニーが、自分が女装してミスコンに参加し、司会をしているヒロインを守ろうとします。しかし、結局、登場したゴキブリンに負けてしまい、ヒロインを奪われてしまいました。
しかし、ジュニーはゴキブリンのアジトに乗り込み、無事にゴキブリンを撃破、ヒロインを救出しました。そして2人は恋人として結ばれました。めでたしめでたし、というお話です。
内容はほとんどありませんが、そんなに悪くない映画でした。フィリピン映画らしく、無駄なシーンが多く、進行が遅いのがネックです、しかし、これがフィリピン人にあったスピード感なので、外国人である我々は受け入れるしかないですね。
「スパイダー・ボーイ ゴキブリンの逆襲」の監督、出演者情報
本作品の監督をつとめたエリック・マッティにとって、本作は、まだ自分の映画制作会社を立ち上げる前の時期の作品です。正直、後の作品に比べるとあまり冴えていないのですが、サラリーマン監督ですからやむを得ないところです。役者の方々は、私が2000年ごろの映画作品にあまり通じていないため、全員知らない方々でした。ヒロインは当時人気のセクシー女優だそうです。確認しましたが、他の作品では大胆なヌードを披露しています。しかし、本作ではそのようなシーンはありませんでした。脱いでもらうには予算が足りなかったのでしょうか・・・。
「スパイダー・ボーイ ゴキブリンの逆襲」の作品情報
オリジナルタイトル:Gagamboy
公開年 2004年
監督 Erik Matti(A Girl and a Guy)(バイバスト)(牢獄処刑人)(バトル・オブ・モンスターズ)
主なキャスト Vhong Navarro
Jay Manalo
Aubrey Miles
視聴可能メディア TSUTAYA DISCAS(日本語字幕、日本語吹き替え)
「スパイダー・ボーイ ゴキブリンの逆襲」のトレイラー
昔の映画なのでyoutube上にトレイラーはありませんでしたが、全編がアップされていましたので、そちらのリンクを貼りました。