本作は、ドゥテルテ元大統領による麻薬戦争を題材にした映画ということになっているが、警察の小隊が、あり得ない設定のもとで、スラムにある麻薬組織のボスの確保に向かうというストーリー。実際の麻薬戦争を真面目に取り上げるというよりも、次から次へとゾンビのように襲ってくる住人から生き延びるというアクション映画でした。主演の男優と女優がアクションを頑張っていたので、アクションを楽しむつもりで見るのが吉だと思います。
ストーリー
主人公は女性の警察官です。序盤で訓練の様子が描かれ、独自の判断で行動したことに対して非難され、「しかし、命令に従って死ぬこともあります」と返答すると、いきなり上官から撃たれるというスタート。いくらなんでもそんなことはないでしょう。このエピソードから、上官の立案した作戦に従って隊が全滅する話なんだろうなと予想させます。そして予想通り、はなから無理な作戦が立案され、スラムの奥に本拠地を置く、麻薬組織のボスの確保に、12人程度の小隊で突入します。全くバカげた作戦で、迷宮のようなスラムの中で方向さえわからず右往左往するありさま。先行して斥候くらい送っておけよとか、ルートもわからないまま突入するのかとか、なぜそんな軽装の小隊で突入させるのか、などなど様々な突っ込みどころが満載です。また、小隊の中には女性も3人います。これもさすがに無理があるでしょう。
しかし、何やかんやで副ボスのところまでたどり着き銃撃戦が開始。手下たちをたくさん倒しても次々手下が現れて、キリがありません。また、なぜかスラムに住む主婦や子供までが襲ってきます。その様子は完全にゾンビ映画でした。いやあ、ないでしょう。これだけ射殺されて、徒手空拳で警察の突入部隊に向かっていく理由がわかりません。そもそも、「夫が殺された」とか言った理由で、住民が棒切れで、倒されても倒されても警察に立ち向かう意味がわかりません。また、「ここから生きて帰すな」と言って生き残った警察官を追い詰めますが、住人にとって全滅させることの意義がわかりません。普通は、警察からの報復を恐れて逃げるでしょう。
ともかく、延々、迷路のようなスラムの中をギャングや住人に襲われながら逃げる隊員ですが、1人欠け、また1人欠け。結局、主人公の女性1人だけが生き残ります。最後の2番目まで生き残ったでかい男性隊員が恰好良かったです。そして、ついにボスを確保して脱出。しかし、警察上層部がボスと繋がっており、再び命を狙われる主人公。誰でも想像できる展開でしたね・・・。麻薬撲滅戦争の背景を知るとか、誰が裏切りものか想像してドキドキするみたいな楽しみ方よりも、主演の女優、男優のアクションを見る映画なのだと思います。実際、この2人のアクションは素晴らしかったと思います。
出演者情報
主演女優のAnne Curtisは、出演時35歳くらい。フィリピンでは、同世代で最も成功している女優の1人だそうです。本作では、長まわしカットでも頑張っていましたが、アクション女優ではなく、普段はラブロマンスに出ることが多いようです。大きくて強くて頼りになる隊員を演じたBrandon Veraは、もともと総合格闘家でした。ケガで格闘家を引退して、フィリピンでアクション俳優に転じたようですね。どおりで作中でも滅茶苦茶強かったはずです。彼は他の作品でも見たいですね。
作品情報
オリジナルタイトル:Alpha: The Right to Kill
公開年 2018年
監督 Erik Matti
主なキャスト Anne Curtis
Brandon Vera
Victor Neri
視聴可能メディア Netlfix(日本語字幕)
Rakuten TV(レンタル)