病気を治すことができる少女と初老の男の優しい物語「Pan de salawal」

スポンサーリンク

フィリピン映画で時々作られるジャンルの映画に、老人とホームレスの少年・少女の心温まる物語があります。日本でも、中年男と、見知らぬ子供が疑似家族を形成する物語が1つのジャンルとしてありますから、それと同じようなものでしょう。このジャンルのフィリピン映画は良作が多いのですが、本作は比較的凡作だったかなと思います。タイトルの「Pan de salawal」は、「パンツ」という意味です。少女が頭に被っているのがパンツみたいだなと思っていましたが、それのことでしょう。

(Photo cited from IMDb)

スポンサーリンク

「Pan de salawal」のストーリー

重い腎臓病の男(サル)が、病気に疲れて最後の旅に出ます。それはあの世への旅でした。列車に轢かれようとするところで、ホームレスの少女(アグイ)に出会いました。アグイは、いきなりサルのおしりをつねり上げました。すると、驚いたことに、サルの体調が回復しました。

サルは、この少女に特殊な力があるのではないかと察し、彼女の様子を観察していると、虫歯で痛がる人をつねり上げ、肺病で咳をしている人をビンタして、彼らの病を治していきました。

それから、サルとアグイは少しずつ仲良くなり、一緒にパンを焼いたり、凧揚げをしたり、たまにアグイがサルの家に泊まりにくるほどとなりました。しばらく、街の人の様子が長々と描かれ、この能力をめぐる物語は展開しません。

アグイによれば、自分の能力の仕組みはわからないのですが、他の人を痛がらせると、その人の瞳に光が宿ることを知ったとのことです。そうすると、母親が喜ぶのでやっていたと言います。なにやら意味深ですが、母親の話はその後出てきませんでした。

サルは、アグイに一緒に住むことを提案します。アグイは、胸の音を聞くと何かわかると言って、サルの胸の音を聞いたところ、サルは苦しみ始めます。どうやら、腎臓病が元に戻ってしまったようです。また、アグイは街の人たちの病気を治し始めます。肺がんが見つかって自暴自棄になった中年男の胸を殴ります。男は、「肺がんが消えた」と歓喜します。しかし、どうやって肺がんが消えたことがわかったのでしょうか? その後は、足を引きずる男の足を治し、その恋人の喘息を治します。街のみなさんは、歓喜のあまり踊り、最後にアグイにキスします。

(ネタバレ)しかし、サルの腎臓病だけが治りません。アグイは、もっと痛い目に合わせれば治るかも・・・と言い残して、いなくなってしまいました。しかし、その後、サルの腎臓病は治りました。アグイがいなくなるという心理的な痛みによって治ったということでしょう。サルは、元々パン屋だったようで、パン屋の仕事を再開します。そして、街の住人の中に、50年前のミスコン女王で、ミスコン女王を示すタスキとティアラをいつも身に着けている初老の女性がいるのですが、その女性とセルが恋人みたいな雰囲気になって終わります。

ドラマらしいドラマのない映画でした。病気を治せる少女という設定も、そこからドラマが発展せず、時々ランダムに街の人の病気を治すだけです。少女がさらわれるとか、能力が消えたとか、ドラマ性をあげる方法もあったでしょうが、そのような工夫は全くありませんでした。ただ、優しい世界を描きたかったのでしょう。

「Pan de salawal」の監督、出演者情報

本作の監督をつとめたChe Espirituさんは、本作が長編映画初監督作品です。本作が2018年公開で、その後は監督作品がないので、監督は向いていないとあきらめたのでしょう。本職は撮影監督のようで、撮影監督としては今も多くの作品に関わっています。初老の男を演じたBodjie Pascuaさんは、多くの作品でさえない男を演じています。少女を演じたMiel Espinozaさんは、本作では子役でしたが、その後もキャリアを順調に積み上げ、すでに25作品に出演しています。

「Pan de salawal」の作品情報

オリジナルタイトル:Pan de salawal

公開年 2018年

監督 Che Espiritu

主なキャスト Bodjie Pascua

Miel Espinoza

視聴可能メディア Bili Bili(英語字幕のみ)

「Pan de salawal」のトレイラー

タイトルとURLをコピーしました