本作は、2019年の大阪アジアン映画祭で上映されたことがあるので、日本語タイトルを持っています。良くある勝手につけた無茶な邦題かと思いましたが、オリジナルのタイトルもほぼ同じ表現ですね。タイトルから若い女性のラブストーリーという印象ですが、内容としては、あまりイケていない4人の男が、可愛い女性に恋焦がれ、やがてデートに誘うという物語です。しかも、それが同じアイリーンと呼ばれる女性で、1人の役者が演じています。喋り方や性格など、それぞれ異なっているように見えますが、ところどころ4人の男の物語と重なりあっているようにも見えます。彼女は同一人物なのか? どこまでが、本当なのか? どこからが男たちの妄想なのか? と考えながら見るのが、本作の見どころじゃないかと思います。

(Photo cited from IMDb)
「視床下部すべてで、好き/Gusto kita with all my hypothalamus」のストーリー
最初に出てくる男は、背の低い天然パーマの男性です。彼は古着屋で働いており、常連のお客さんに恋焦がれています。しかし、この女性、180ペソの服を100ペソに値下げさせるうえに、天真爛漫に散々試着させて、店員に写真まで撮らせます。日本的には迷惑なお客さんですね。男は好きすぎて、彼女が試着した服を自宅に持ち帰り、部屋に飾るほどです。本作の男たちは、こうした気持ち悪い行動をとります。
場面変わって、大学生のカップルの話になります。男がゲームセンターで遊んでいると、激怒した彼女が乗り込んできて、喚き散らしたあと去っていきました。男は慌てて追いますが、彼女の怒りはおさまりません。怒った女は、トイレの壁に「寂しいから電話して」というコメントと彼氏の電話番号を落書きしました。その夜、男の電話にセクシーな声の女から電話がかかってきました。結局、2人はテレホンセックスするまでに至りました。翌日、彼女がヨリを戻そうとしても、セクシーな声の女に夢中になっており、それを拒絶します。実際、彼女は不美人で、ヒステリックです。声だけですが、セクシーな方に乗り換えたのでしょう。
次に登場する男は、電気店の店主です。彼は、セクシーなお客さんにメロメロになり、4000ペソする商品を1000ペソまで値下げさせられてしまいました。見た目は、古着屋のお客と似ていますが、胸が強調されており、別人のようにも見えます。また、こちらの方があこぎな値下げ交渉をするので、性格が悪そうです。店主は独身ですが、サウジアラビアに夫がいる人妻と不倫しています。しかし、こ人妻は美しさのかけらもない女で、男は「こっちを振り替えるなよ」と言いながら、バックから女トンセックスします。
4人目の男は、登場場面が少ないのですが、泥棒らしく、全く人づきあいがありません。街中ですれ違うだけの女を好きになり、じっと見つめます。時に、マネキンに自分の頬をさわらせるほど、人肌に飢えているようです。
(ネタバレ)泥棒の男を除いて、男たちはそれぞれ女にアプローチして、古着屋の男と学生は、女とのデートにこぎつけます。電気屋のおやじは、夜になって店を閉めるときに女が店に入ってきて、土老棒については、街を歩いているところをみつけてあとをつけました。そして、最終的に、それぞれが彼女とキスするに至りました。
翌朝、彼らの生活は何もなかったように、それぞれの生活を送ります。そして、エンディングです。
どこまでが、男たちの妄想なのか?と考えるのが楽しい映画です。また、4人の話は、全く関りがないように見えますが、電話やメッセージで学生とやり取りしていたのち、ついに土曜日に実際にあうことになったとき、この女性は、土曜日に人と会うことになったから、と喋っており、同じ人物なのかな?と思わせるところもあります。しかし、路上でつけまわす男と、いきなりキスをするとは思えず、実際はほとんどが妄想なのかなと思いました。
「視床下部すべてで、好き/Gusto kita with all my hypothalamus」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたDwein Baltazarさんは、まだ映画監督作品が5本と少ないので傾向はわかりませんが、私のイメージでは個性的な作品を撮る監督さんです。フィリピンの女性監督によくある、ドタバタ恋愛コメディ、スイートなラブロマンスを撮る人ではありません。今後も注目したい監督さんのひとりです。アイリーンを演じたIana Bernardezさんは、そこまで美人ではないので、主役を演じるタイプではありません。それでも、本作では4つのタイプの魅力的な女性を演じていました。男が妄想してしまうような、ちょうど良いくらいの美人、ちょうど良いくらいに魅力的な女性だったと思います。
「視床下部すべてで、好き/Gusto kita with all my hypothalamus」の作品情報
オリジナルタイトル:Gusto kita with all my hypothalamus
公開年 2018年
監督 Dwein Baltazar(Third World Romance)(Oda sa wala)
主なキャスト Iana Bernardez
Nicco Manalo
Dylan Ray Talon
視聴可能メディア Bili Bili(英語字幕のみ)

