小さな葬儀屋を営む女の物語「Oda sa wala」

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本作は、国際的にも、フィリピン国内でも非常に評価の高い作品なのですが、私には理解しがたい作品でした。と言うのは、ある日、小さな葬儀屋を営む女性の元に、交通事故でひき殺された老婆の死体が運ばれてくるのですが、その死体を家族が引き取るまで保管しているうちに、徐々に愛着がわいたのか、話しかけたり、一緒に食卓を囲んだり、風呂にまで入れてあげるという展開だからです。フィリピンでは、通夜が1週間と長いことがあるので、死体と一緒に過ごす時間もながく、こうした愛着は共感できるのかもしれませんが、日本人にとって、死体と過ごす時間はほとんどありませんから、主人公の感情は理解しがたいものでした。タイトルの「Oda sa Wala」は、「無への賛歌」の意味です。「無」は死体でしょうから、「死体を愛でる歌」くらいの意味でしょうか。

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「Oda sa wala」のストーリー

中年女性が、中国の歌を聞いているシーンから始まります。テレサ・テンでしょうか? 家の中の調度品から判断するに、主人公の女性(ソーニャ)は中国系だと思われます。やはて、彼女は小さな葬儀屋を営んでいることがわかります。大してお客さんがあるわけではありませんが、どのお客も「自分は可哀そうだから負けてくれ」と言います。この仕事で、それを認めては立ちいかなくなりますね。同情します。やはりというか、経営状態は芳しくないようで、定期的に訪れる借金取りに、有り金があればすべて奪われ、時に家財を持ち出されます。どうやら、固定資産税や電気代を払うために借りたお金が膨れ上がり、土地を抵当に入れているようです。借金取りには、「もし自分がお前だったら、近所の人に呪いをかけるがね。そうすれば金が作れるだろう」と言われます。彼女は「呪いのかけ方がわからない」と応えます。

ある夜、ソーニャの元に交通事故で死んだ老女の死体が運ばれてきました。運んできた男たちは、「誰か家族が引き取りにきたら渡してくれ、その時に自分たちのことを喋らないで欲しい」と言って、その時にに金を握らせます。家族が引き取りに来たら、家族からも金を取ればいいと、男たちは言って、現場を立ち去ります。

実は、この先の状況がよくわかりません。と言うのは、死体が運ばれてきたり、家族が支払いに来たりするのですが、どの家族がどの死体に関係者なのか、はっきり説明されないからです。

次に、老人の男性の死体が運ばれてきます。どうやら、妻が亡くなってすぐに後を追うようになくなったのだそうです。てっきり最初の老女の夫かと思いましたが違ったようで、いつの間にか、死体は家族に引き取られていました。

また、不思議なのは、ソーニャの父親も時に一緒に仕事をします。ソーニャの家にいたり、いなかったりで、フィリピン映画にありがちな、亡霊なのかとも思いましたが、後半借金取りにも認識されていることがわかり、生きている人だとわかりました。なぜ、別々に住んでいるのかはわかりません。

また、どういう知り合いなのかわかりませんが、若い男がソーニャを訪れました。彼は、1200ペソを失い、司令官(コマンド)に殺されると語ります。脱走軍人なのでしょうか? 状況がわからないまま、彼のシーンはなくなりました。しかし、1200ペソで殺されるって・・・。3000円以下ですよ。

おそらくですが、その後、ソーニャの元を訪れた若い女は、その若い男の妻だったのでしょう。棺桶代も払えない、助けてくれという若い女に、ついにソーニャーはブチ切れました。というのも、その頃には借金取りに最後通告されており、翌週までに耳を揃えてお金を返さなければ、土地を売ると言われていたのです。

(ネタバレ)結局、若い女が棺桶代を払ったのかどうかもわかりませんが、ついに、最初に運ばれた老女の家族らしき人が、ソーニャを訪れます。しかし、ソーニャは、そんな死体を見たこともないと言って、死体を隠してしまいました。なぜ、そんなことをしたのか良くわかりません。ソーニャは、この老女の死体が幸運を運んでくると思っていたようで、それが裏切られたことから、死体に八つ当たりして、死体を壊してしまいました。結局、その晩、父が老女の死体を埋めました。何がしたかったのでしょうか・・・。

ついに、借金取りが最後に取り立てにきました。ソーニャは、お金の入ったカバンを渡しましたが、それはすべて新聞紙でした。激怒する借金取りに対して、ソーニャは「良く見て、お金でしょう。これは私のお金」とすがりつきます。狂ってしまったのか、わざとそうしているのかわかりません。借金取りは、拳銃をソーニャーに突きつけて脅しますが、彼女の態度はかわりませんでした。

最後のシーンは、ソーニャが父親と一緒に(昼間ですが)夜逃げするシーンです。車がエンストして止まった際、森に見えた人影をソーニャが追います。やがて、森は夜になり、彼女は何かを目撃します。しかし、それが何だったのか、我々にはわかりません。そしてエンディングです。

あまりに状況説明がない上に、死体と共に過ごす主人公の気持ちに共感できず、よくわからない作品でした。

「Oda sa wala」の監督、出演者情報

本作の監督をつとめたDwein Baltazarさんは、まだ映画監督作品が5本と少ないので傾向はわかりませんが、私のイメージでは恋愛映画を撮る監督さんです。しかし、フィリピンでは良くある、ドタバタコメディの恋愛映画ではなく、やや重めの作品を撮るイメージです。本作はよくわからない作品でしたが、他の作品は見ていきたい監督さんです。主演のPokwangさんは、芸名なのでしょう。Pokwangが名前のすべてです。普段は、その綺麗でない容姿を活かしてコメディ作品に出ており、本作の役どころはちょっと意外な印象でした。

「Oda sa wala」の作品情報

オリジナルタイトル:Oda sa wala

公開年 2018年

監督 Dwein Baltazar(Third World Romance

主なキャスト Pokwang

Joonee Gamboa

視聴可能メディア Bili Bili(英語字幕のみ)

「Oda sa wala」のトレイラー

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