軽度知的障害者の結婚を描く「I’mPerfect」

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本作は、2025年のMetro Manila Film Festivalで見た8本目、つまり最後に見た作品です。また、Metro Manila Film Festivalでは、3日目に3位までの入賞作品を選考しますが、本作がグランプリに選ばれました。8本全部見た私としても納得のグランプリです。内容は、ダウン症で軽度の知的障害がある男女が出会ったときに、ひとめぼれして、結婚までを口にするようになるのですが、周囲は彼らを子供扱い、あるいは障碍者扱いしています。やがて、2人は駆け落ちまでするという事態に至ります。この事件を通して、家族は本人たちを信頼していなかったことを自覚することになりました。後半は涙涙です。本作は、東京国際映画祭で上映されることが多い、Sigrid Andrea Bernardo監督の作品なので、来年には日本語字幕で見ることができるといいなと思います。

(Photo cited from IMDb)

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「I’mPerfect」のストーリー

少しだけ主人公女性ジェシカの日常が描かれたのち、もう1人の主人公男性ジロとの出会いがあります。ジェシカはダウン症で軽度の知的障害があるようです。そして、日本でいうところの特別支援学校に通っていますが、そこにジロが転入してきたのです。ジロは自閉症スペクトラムのような感じです。とは言え、ジロは28歳、ジェシカは27歳です。子供のような恰好をしているので、若く見えますが、実際には大人の年齢です。しかし、「学校」と言っていたので、特別支援学校の類のものだと思うのですが、フィリピンでは福祉施設と兼ねていて、卒業しなくてもいいのでしょうね。

そして、2人は初日から一目惚れしてしまいます。両家の親も、普段は子供の応援をしているのですが、「付き合いたい」「結婚したい」という2人に困惑してしまいます。

2人の仲はどんどん深まっていき、どこかおままごとのような雰囲気もあるため、周囲は困惑しつつも好意的に見守っていたのですが、ジロの母親だけは心配でたまらないという感じです。ジロの一族は医者家系で、両親は医者、ジロの弟も医学部を目指しています。というか、母親の意向で目指さざるを得なくなっているのですが、弟はミュージシャンになりたいと思っています。フィリピンはアメリカ式なので、医学部にいくために、他の4年生大学過程を終わらせなけれならないのですが、弟はその過程で優秀な成績が取れておらず、そのことに母親は苛立ち、弟は落ち込んでいます。ジロは、そんな弟に「自分の好きなことをやればいい」と温かい言葉をかけます。

ジェシカの家庭も訳ありで、父親はジェシカの誕生とともに失踪していました。ところが、27年ぶりに父親が帰ってきたのです。当時、父親は子供に障害があるというプレッシャーに耐えられず、逃げてしまったというのです。ようやく障害を受け入れる心の準備ができて帰って来たところ、ジェシカが思ったより何でもできることにイチイチ驚きます。

そんな2人は学内で、正装してダンスパーティをしたりと、ますます公認のカップルとなり、お互いの両親も会う関係になります。ところがジロの両親はアメリカへの移住を検討していることが発覚します。移住して医師として働けるの?と思いますが、ジロの母親が、ジロの健康面を心配して医療の質が高いアメリカへの移住を強く希望しているのです。ジロの父は、ダウン症が30歳くらいで死んでいたのは昔の話、今は平均でも60歳までは生きるといって説得しよとするのですが、母親は心配でたまらないのです。ちなみに、ジロもジェシカも健康面では異常はありません。

そして、このままでは引き離されると思った2人は、なんと駆け落ちを決断します。ジロは、父親の禁固からお金を引き出し、ジェシカは喫茶店で働いてためたお金を持って、学校の運動会の日に家を飛び出してしまいました。運動会で2人を見つけられない家族が、探し回ったところ、自宅に本人らからビデオメッセージが残されていました。ビデオでは、両親に対する感謝と、2人で頑張っていくから、自分たちを信じて欲しいと語られていました。

(ネタバレ)2人はバスにのり、フェリーに乗り、どこに向かっているのかと思いましたが、たどり着いたのは、ジロの元家政婦でした。彼女は、ジロの能力を信じて様々なことをやらせてあげる人だったのですが、それがジロの母親の心配を引き起こし、解雇されていたのです。何の前触れもなく、あらわれた2人に、彼女は驚きますが、ジロはFBで情報を集めて場所を割り出したと、事も無げに語ります。

彼女は、2人のよき理解者になり、2人に小さな家と仕事を紹介しました。たまたま、彼女の家業がバラ農園だったことも幸いしました。ジロはすぐにバラの剪定を覚え、ジェシカは農業作業者向けに、おやつを作って売るビジネスを始めました。その頃、2人の家族は全く手掛かりが得られず途方に暮れていました。

そんな時に、ジェシカが発熱しました。元家政婦は病院への受診を勧めるのですが、ジェシカは縦に首をふりません。そのため、彼女はこっそりとジロの母に2人の居場所を伝える決心をしたのです。当然、2人の家族たちは慌てて2人のもとに駆け付けました。しかし、両家の説得にも関わらず、「もう大人なのだから、自分たちを信用して欲しい」と応えます。両家の家族は、2人を信じることにして、後ろ髪引かれる思いで、その場をあとにしました。

ところが、ジェシカの発熱はその後も続きます。なぜか、ジェシカは病院への受診を拒み、ある日そのまま亡くなってしまいました。ジロは、ジェシカの思い出を抱えて、農作業に励みます。そしてエンディングです。

まさかのジェシカ死亡エンディングでした。これは必要ない設定だったのではないでしょうか? 家族が2人を信じきれなかったように、監督も2人の幸福な生活が続くことを信じきれなかったと告白しているような印象を受けてしまいます。ラストは賛否両論ありそうですが、それに至るまでのメッセージは明快で、障害があるからといって他人がその限界を勝手に決めてはいけないということに、家族の眼を通して、視聴者は何度も何度も気づかされます。また、その度に、周囲の人が勝手に想定した限界を、2人は軽々と乗り越えていくのでした。

「I’mPerfect」の監督、出演者情報

本作の監督をつとめたSigrid Andrea Bernardoさんは、フィリピン映画らしからぬ作風が特徴の監督さんです。毎回作風が異なっており、実験的に色んな作品を作っているのだと思います。今後も定番ジャンルじゃないフィリピン映画を作り続けて欲しいですね。出演者については、主役2人は本当にダウン症なのでしょう。他に出演作品はありません。その代わり、2人を取り巻く大人たちは大ベテランの俳優によって演じられています。

「I’mPerfect」の作品情報

オリジナルタイトル:I’mPerfect

公開年 2025年

監督 Sigrid Andrea Bernardo(キタキタ)(Under Parallel Skies)(UnTrue

主なキャスト Anne Krystel Daphne Go

Earl Jonathan Amaba

Sylvia Sanchez

視聴可能メディア なし(フィリピンの劇場で視聴)

「I’mPerfect」のトレイラー

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