王子様系男とのラブロマンスから一転する物語「Under Parallel Skies」

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本作は、いつも意表を突いた作品を撮るSigrid Andrea Bernardo監督の新しい作品です。この監督さんの映画は絶対にネタバレ厳禁なので、この導入部にも後半のことは書かないでおきます。前半は、タイのお金持ち家庭のおぼっちゃんと、出稼ぎ労働者のフィリピン女性の、少女漫画的な恋愛物語です。舞台は香港で、主に英語で会話が行われ、時にタガログ語、タイ語をお互いに教え、広東語も使われるところが、甘すぎる恋愛物語にフレッシュな雰囲気を与えていて良かったです。後半は状況が一転しますが、フィリピン映画にしては珍しいという程度のことなので、そこまで期待は厳禁です。タイ人の俳優さん、メータウィン・オーパッイアムカジョーンさんは、タイでは相当有名な俳優・歌手のようです。日本で公開時は、彼目当てで劇場に行ったお客さんもいたようです。フィリピン映画をたくさん見ていて思うのですが、フィリピン女性が好きな顔は、このタイの男性のような唇がややふっくらした人ですね。唇がふっくらした人、日本ではたらこ唇と呼ばれる人は、フィリピンに行くとモテるのではないかと思います。

(Photo cited from Rotten Tomatoes)

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「Under Parallel Skies」のストーリー

浜辺でホームレスのような恰好で寝ている男に女が声をかけるシーンから始まります。しかも、「サワディカー」とタイ語です。男は「俺を追うな」と言って逃げ出します。

次のシーンでは、同じ男がちゃんとした格好で、香港行きの飛行機に乗っています。どうやら相当おぼっちゃんのようで、ファーストクラスに乗って、CAさんに対して尊大な態度で振舞っています。男(パリン)は泥酔した状態で、もう1人の主人公のフィリピン人女性(アイリス)が働くホテルにやってきます。パリンは最上階のスイートルームに滞在することになります。彼が歩ける状態でなかったので、アイリスが彼を部屋に運びました。

それから毎日、パリンは泥酔してホテルに帰ってきます。その度に、アイリスが彼を部屋に運んでお世話する日々が始まりました。その中で2人の交流がうまれ、金持ちのパリンは、アイリスの勤務時間を買って、彼女とデートすることになりました。

パリンは、失踪した母を探しに香港に来たことを告白します。場所はわかっているのですが、どうして自分たちの元を母が去ったのかがわからず、母を訪れる勇気が持てず、毎日酒におぼれていたのです。パリンは、アイリスの明るい性格に触れているうちに、徐々に自信を取り戻し、彼女と一緒に母を訪れることとなりました。

母は、郊外の質素な水上村に住んでいました。彼女は質素な今の生活を気に入っており、そこには若いころに自分を愛してくれた恋人がいました。母は若いころに、香港に住んだことがあり、その時に現地の香港人と恋人になったのですが、金持ちと結婚することが幸せになるという家族の価値観に従って、パリンの父親と結婚したのです。しかし、金持ち家庭の暮らしは、彼女の精神を徐々に蝕んでいったというのです。

パリンは、母の幸せそうな顔を見て、母をタイに連れ戻そうと言う考えを放棄しました。その後、パリンとアイリスの関係は急速に接近していきました。パリンは恋人になりたそうですが、アイリスが関係を深めたくない様子なので、友達のような関係が続きます。2人は、郊外にタイ茶とアドボの店を出すことになりました。そのために、アイリスはホテルを退職しました。

(そろそろネタバレ)2人は夢のような楽しい時間を共有して、パリンはもっと関係を深化させたそうですが、アイリスには秘密があるような様子で、態度があいまいです。ある日、アイリスは家族の事情でフィリピンに帰らなければならないと告げます。香港に戻ってくるのは1か月後になるというので、パリンは港で待っているよと約束します。

(ネタバレ)しかし、1か月過ぎてもアイリスは帰ってきませんでした。彼女の携帯電話に電話してもブロックされており、メッセージに返事があることはありません。パリンは、失意の中で店をたたみ、海を眺めながらひたすら彼女を待つ日々になったようです。それが最初のシーンでした。

パリンを訪れたのは、アイリスの妹でした。そして、妹はアイリスが死んだことを伝えます。アイリスは、自分の病気のことをパリンには隠していたのです。死期が近いことを知ったのですが、最後の望みをかけてフィリピンで治療を受けたというのです。しかし、時すでに遅く彼女は帰らぬ人となってしまいました。妹は、アイリスがパリンと過ごした日々の幸福と、感謝、そして謝罪を伝えに来たのです。2人は、香港の思い出の場所をまわって、アイリスを想い涙します。

ラブストーリーかと思ったら、その1人に突然死が訪れるという、同監督の「キタキタ」と同コンセプトの作品でした。フィリピンで量産されるラブコメ映画よりは、人生の意味や幸福に対する考察があるぶん良作ではありますが、Sigrid Andrea Bernardo監督にしては、平凡な作品だったのではないでしょうか。「Untrue」を見たばかりだったので期待値が上がっていたのかもしれません。私は平凡と思いましたが、映画サイトでは非常に評価の高い作品です。

「Under Parallel Skies」の監督、出演者情報

本作品の監督をつとめたSigrid Andrea Bernardoさんは、フィリピン映画の王道から少しずれた作品をつくる監督さんです。本作品も王道ラブストーリーと思わせて、後半一気に物語を変えてきました。フィリピン映画のラブストーリーは、日本人には甘すぎるのですが、彼女の作品ならば口に合うという日本人も多いのがわかります。アイリスを演じたJanella Salvadorさんは、そこそこ有名な作品に出ていますが、主役で見たことがなかったので顔を覚えていなかった女優さんです。フィリピン女性の明るさを体現した良い女優さんでした。本作にあっていたと思います。

「Under Parallel Skies」の作品情報

オリジナルタイトル:Under Parallel Skies

公開年 2024年

監督 Sigrid Andrea Bernardo(キタキタ)(UnTrue

主なキャスト Win Metawin Opas-Iamkajorn

Janella Salvador

視聴可能メディア Netflix(英語字幕のみ)

「Under Parallel Skies」のトレイラー

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