昔のサイレント映画を修復するとトンデモないことがわかってしまう「Posthouse」

スポンサーリンク

本作は2025年大阪アジアン映画祭で上映された2本のフィリピン映画の1本です。私は大阪まで見に行かなかったので、本作を見ることができていなかったのですが、Metro Manila Film Festivalのためフィリピンに行った際、フィリピンでNetflixに接続したところ、フィリピンのNetflixには、既に収録されていました。当たり前ですが、フィリピンのNetflixには、日本では見られないフィリピン映画が大量に収録されていました。VPNに手を出すと、もっともっと見れる作品が増えてしまいますね。ちなみに、大阪アジアン映画祭で上映されたもう1本のフィリピン映画「Sunshine」です。こちらは既に、日本のNetflixでも見ることができるので、大阪で見逃した人は、要確認です。

さて、本作はホラー映画です。作品の肝は、主人公らは、映画監督だった祖父が撮ったサイレンを映画を修復していると、残されたフィルムを繋ぐ順番によって、シーンの意味が全く異なることに気づいてしまいました。これは映画の世界ではクレショフ効果と呼ばれているらしく、主人公は正しい順番でつないだフィルムから過去に起こった悲劇の真相を理解するというお話です。例によって、アイデアは面白いのですが、全体の構成が肝となるアイデアを支え切れていません。なんとなく、怖がらせておけばいいでしょう、という曖昧な展開に終始してしまい、肝心のアイデアがもたらす発見、恐怖を十分に伝えきれておりませんでした。アイデアは良いけど、構成が悪いという、フィリピン映画らしいと言えばらしい作品です。

(Photo cited from IMDb)

スポンサーリンク

「Posthouse」のストーリー

主人公は、CMの編集を生業としている中年男性です。妻と娘がおり、娘も映画学校で学んでいます。祖父は、フィリピン映画初期の有名監督だったとされており、彼らは祖父の時代の映画スタジオを、仕事場と住宅にしています。父親は、CM編集が納期に間に合わないそうもないので、ホーリーウィークをつぶして、家で作業を続けることにしました。娘も大学の卒業論文のため、祖父の残したフィルムを題材にしようと考え、やはり残ることにしました。

父は、祖父のフィルムに関わることを拒んでいたのですが、なぜか急にやる気を見せて、最も古いサイレント映画「マナナンガル」を上映してみました。マナナンガルとは、上半身と下半身を切り離すことができるフィリピンの吸血鬼です。ところが後半部分が欠落しており、展開がわかりません。そのため、父と娘は、残されたフィルムから繋がりそうなシーンを探して、修復していきます。

修復の結果、何とかそれらしい後半を作ることができましたが、それでもラストのシーンがありません。その後半とは、マナナンガルの手が少年に伸びるシーンと、人が殺されているシーンです。どう考えても少年が殺されたシーンがなければ、ラストが作れないように思い、父親は苛立ちます。というか、この父親は最初からずっとイライラしています。また、ホラー映画ですから、これまでのシーンにも怪奇現象は頻繁におこっています。

(ネタバレ)そんなころ、娘は父親の助手の男に、クレショフ効果の話をしました。シーンを見せる順番が変わるだけで、まったく状況が異なるということを得意げに語ります。父親は、それを聞いて、シーンの順番を変えてみました。つまり、マナナンガルが少年に近づいたあと、人が殺されているシーンをつなげてみました。すると、少年がマナナンガルに憑りつかれて殺したように見えます。そして、思い出してしまったのです、祖父を殺したのが自分だったということを。

また、ここがダメなシーンなのですが、娘はネットで、サラという女が、祖父に対して「お前の家系を呪ってやる」という音声を発見しました。その後は、すっかりマナナンガルの呪いに憑りつかれた父親が、知らずに警備員や妻を殺していたことが発覚します。また、娘を上映室の椅子に縛り付け、狂気に犯されながら、祖父の映画の本当のストーリーを解説します。そして、父親は娘を殺そうとするのですが、落ちていたフィルムを切るためのナイフを拾って撃退。彼女だけが生き残ることとなりました。生き残った娘は、フィルムを焼きます。そして「フィリピンの最初の映画であるマナナンガルのフィルムは失われている。マナナンガルを含め、フィリピンのいかなるサイレント映画も修復されていない」とテロップが表示され、エンディングです。

映画の真の意味がわかるのはいいのですが、それが呪いと直接つながっていないのが残念です。あとで取ってつけたように、娘が音声ファイルをネットで見つけるいうシーンで補完しています。父親の両親も、映画を修復して悲劇が襲ったと言われており、叔父が映画を燃やそうとするシーンもありますが、映画の修復とマナナンガルの呪いが発動する関係性がわかりません。そもそも、最初から怪奇現象は起きていますし、父親は最初からイライラしていて、もう少しで狂ってしまうというギリギリの状態から始まっています。脚本と演出でもう少し状況を整理すれば、もっと面白くなったように思いました。

「Posthouse」の監督、出演者情報

本作の監督を務めたNikolas Redさんは、本サイトでも特集ページを作ったMikhail Red監督の兄弟です。Brotherとしか書かれていませんが、おそらく弟でしょう。つまり、Raymond Red監督の息子です。この一族は、映画監督の王朝を作りつつありますね。Nikolas Redさんにとって、本作が長編映画の初監督作品です。とは言え、父と兄から多大なサポートは受けているでしょう。

主役のお父さんを演じたSid Luceroさんは、「アウトサイド」で同じようなキレ芸を披露した俳優さんです。とは言え、「アウトサイド」では、ゾンビから家族を守るストレスで徐々におかしくなっていくのですが、本作では最初から興奮しており、物語が展開しているという感じを壊してしまいました。娘を演じたBea Bineneさんは、普通に大学生に見えますが、公開時28歳。既に55作品に出演している中堅の女優さんです。

「Posthouse」の作品情報

オリジナルタイトル:Love You So Bad

公開年 2025年

監督 Nikolas Red

主なキャスト Sid Lucero(アウトサイド)(Smaller and Smaller Circles)(ヴァージンフォレスト 愛欲の奴隷

Bea Binene

視聴可能メディア Netflix(フィリピン)(英語字幕)

「Posthouse」のトレイラー

タイトルとURLをコピーしました