表題を見て「なぜ元兵士が、警官たちと殺し合いをするのか?」と疑問に思ったかと思いますが、私もよくわかりません。フィリピン映画内では、悪の権化として描かれる警察ですが、本作でも殺し屋集団でしかありません。麻薬組織壊滅のため秘密工場に突入した警察官たちが、そこにたまたま居合わせて逃げた2人を執拗に殺そうと追いかけ、たまたま逃げ込んだ場所で警備員として働いていた元兵士との壮絶な戦いになるというお話です。なぜ、警察官たちが逮捕ではなく、全員を殺さなければならないのか? そこが根本的にわかりません。 作中では描かれてはいませんが、市長が直々に指揮していることから、この麻薬組織は市長と関りがあり、証拠を隠滅する必要があったのでしょうか? そんなことは、フィリピン人なら誰でも知っているので、あえて説明していないとかなのでしょうか? ともかく、フィリピンアクション映画らしく、人が虫けらのように次々と殺されていくアクションシーンが見どころの作品です。

(Photo cited from IMDb)
「Triggered」のストーリー
兵士たちが焚火を囲んで、酒を飲みながら陽気に騒いでいるシーンから始まります。やがて、ジャングルでの作戦が開始され、テロリストとの激しい銃撃戦の末、兵士たちは多数の死傷者を出したうえ、生き残ったものも捕らえられてしまいました。たまたま、敵が投げた手りゅう弾の爆風に吹っ飛ばされ、自分だけ難を逃れた主人公(ミゲル)は、仲間たちがテロリストに首をはねられていくのを目撃しました。後半にわかるのですが、最後に殺されたのはミゲルの弟だったようです。その後、ミゲルはブチ切れて、テロリストたちを皆殺しにします。
その後、ミゲルは激しいPTSD症状にさいなまれ、軍隊を除隊します。そして、食べていくために倉庫のガードマンとして働き始めます。彼の表情は、ただ生きているだけの亡霊のようです。
一方で、おそらくですが、先の戦闘で父を亡くした姉弟に焦点があたります。弟は、父が亡くなったことで荒れており、姉はそんな弟を叱咤します。ミゲルと姉妹のあいだで、「君のお父さんとは戦友だった。申し訳ないことをした」的な会話が行われるかと思いましたが、お互いのことを語るようなシーンはありませんでした。
その頃、警察官たちが麻薬組織のアジトを襲撃する計画を立てていました。そのアジトは、一見すると、死体に防腐処理を行い、棺桶に入れるための施設ですが、売人たちは死体に袋詰めの麻薬を埋め込み、外部との取引をしているようでした。また、この警官たちは制服を着ておらず、明らかにならず者という見た目のメンバーもおり、後に残虐な殺しを行うため、最後まで、彼らは本当に警察官だったのか?という疑問がありました。
いずれにせよ、警察官たちは、工場の検分を行います。その際に、袋の中を見せるように指示したところ、ギャングたちが発砲を始め、壮絶な銃撃戦となりました。なぜか、その場に居合わせた姉弟は巻き込まれるかたちになり、2人はホウホウの体で、その場から脱出します。警察官たちは、ギャングを全員殺し、逃げた2人を追います。ここが良くわからないところです。警察の目的な、麻薬組織のアジトを壊滅させることなはずで、なぜ逃げた2人を執拗に追いかけ、殺さなければならなかったのでしょうか?
(ネタバレ)ともかく、姉弟は、近くの倉庫に逃げ込み、それがミゲルが警備員として働く倉庫でした。麻薬組織のアジトには、市長とパトカーが到着し、市長は逃げた2人を追跡するよう指示します。当初、ミゲルは、警備員としての職務にしか関心がなく、2人を倉庫から追い出そうとしますが、倉庫に入って来た警官たち(殺し屋にしか見えない)が、目の前で弟を殺すところを見たあと、戦場での記憶がよみがえり、ブチ切れて、警察官たちをライフルで殺し始めます。ミゲルは、戦場で弟を無残に殺されたので、目の前で弟を殺される姉とオーバーラップして、兵士としての本能に目覚めたのです。そこからは、ミゲルと姉、そして警察官たちの壮絶なバトルです。すさまじい戦闘シーンののち、警察部隊のボスと巨漢の男と、ミゲルと姉の2対2の肉弾戦へといたり、ミゲルと姉が生き残こることとなりました。茫然とする2人には、雨が降り注ぎ、エンディングです。
なぜ、警察官たちが全員を殺すことに執着したのかが最大の謎でした。ミゲルに対して、警察官としての身分証を見せ、2人を逮捕すれば壮絶な殺し合いにならずに済んだというのに、なぜそれをしなかったのかと思いました。おそらくは、市長と麻薬組織につながりがある、対立する政治家の資金源を、警察と私兵(Death Squad)を使って壊滅したなど、フィリピンらしい社会背景が設定があったのだと思います。尺の都合で削ったのでしょうが、そういうところを、もっと描いても良かったかなと思いました。
「Triggered」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたRichard Somesさんは、フィリピンでは数少ないアクション映画を得意とする監督さんです。本作に似た作風の映画として「ネバー・ダイ」があります。こちらも、ひたすら問答無用の殺し合いが展開される作品です。フィリピンのアクション映画を初めて見ると、人の命の軽さに驚くと思います。また、本作で主役をつとめたArjo Ataydeさんは、初めてみましたが、とにかく声が渋いですね。彼が出演している他の作品もぜひ見たい俳優さんです。
「Triggered」の作品情報
オリジナルタイトル:Topakk
公開年 2023年
監督 Richard Somes(ネバー・ダイ)(Yanggaw)
主なキャスト Arjo Atayde
Julia Montes
Sid Lucero(アウトサイド)(Smaller and Smaller Circles)(Posthouse)(ヴァージンフォレスト 愛欲の奴隷)
視聴可能メディア Netflix(英語字幕のみ)
