かつて精神に障害を持った女性は年中妊娠していた「Weighed But Found Wanting」

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日本もかつてはそうでしたが、精神・知的障害をもった女性は、何者かに年中レイプされて、常に妊娠していました。おそらく、本作はそうした女性をテーマにした作品だと思われます。そこに、同じく迫害されているハンセン病の男、かつて女を妊娠させた金持ちの男、その息子などを配置し、悲劇的なドラマに仕上がっているのが本作です。監督は、フィリピン映画の黎明期を支えた巨匠、リノ・ブロッカ。さすがという感じですね。ただ、現在の感覚からすると、ストーリー進行が遅く感じます。2時間8分の作品ですが、今なら90分以内に収まるよう編集されるでしょう。オリジナルタイトルの「Tinimbang ka ngunit kulang」は、「計測されているが、まだ足りない」という意味です。ちょっとわからないタイトルですね。足りないと言えば、人々の障害に対する理解も足りないですし、主人公女性の知能の足りません。いずれにせよ、社会に対する風刺的なタイトルでしょう。

(Photo cited from IMDb)

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「Weighed But Found Wanting」のストーリー

怪しげな老婆が、若い女の堕胎をところが、おどろおどろしく描かれるシーンから始まります。その後、女(クララ)は理性を失い、知的障害者のようになってしまいました。ボロボロの服を着て、ゴミを漁るクララを町中の人が笑いものにします。

一方で、金持ち家庭の若い青年(ジュニア)が描かれます。しばらく、ジュニアの金持ち若者らしい、放蕩とバカ騒ぎが描かれます。ジュニアとクララが出会ったのは、ジュニアたちが飲み会をしているのを、クララが羨ましそうに見ていたところを、仲間が誘い入れた時でした。無理やり飲ませたり、服のままおしっこを垂れ流すクララをみて、大笑いする仲間たちに、ジュニアは居心地の悪いものを感じて、それから町をさまようクララを目で追うようになりました。また、そんなジュニアを苦々しい表情で見る父の姿があります。のちに回想シーンでわかるのですが、クララが正気を失う原因となった妊娠・堕胎は、ジュニアの父によるものでした。ですから、父はジュニアが、クララに関心を持って欲しくないのです。

さらに一方で、ハンセン病のため顔に結節がある男(ベルトン)も、同じく町の人々から差別されています。そのため、彼は墓場の一角に小さな小屋を建てて生活しています。やがて、ベルトンは、同じく差別されているクララに好意を寄せるようになり、一緒に彼の小屋で住むようになりました。興味津々のジュニアは、彼らと交流します。

(ネタバレ)しかし、クララが妊娠しているのを知った、キリスト教の婦人会が、ベルトンをレイプ魔だと一方的に決めつけ、無理やりクララを教会で保護します。とは言え、フィリピンですから、保護と言ってもザルのようなもので、クララは時々ベルトンの元に戻りますし、肝心の出産のときには、町をさまよったのち、やはりベルトンの元に戻ります。ベルトンは、下半身から血を流しているクララを見て驚愕し、慌てて医者の元に連れていきますが、医者は診療を拒否します。怒ったベルトンは、医者を追いかけまわし、町中が大騒ぎになりました。そして、かけつけた警官により、ベルトンは射殺されてしまいました。

ジュニアを先頭に、町の人々がクララの元に戻ると、クララは無事出産を終えていました。ジュニアは、クララから赤ん坊を受け取ると、クララはジュニアの父の名前を呼びます。これで、ジュニアと街の人々は察してしまいました。クララが理性を失う原因となったのは、ジュニアの父の子を妊娠したからであったと。しかし、一同は気まずい顔をするのみで、何か言うことはありません。ジュニアが、赤ん坊を抱きあげ、小屋の中から出るシーンで、エンディングです。

まあ、テーマがテーマですから、後味が悪くなるのは、やむを得ないですね。個人的には、ベルトンが町の人に騙されて犬肉を食べさせられ、気持ち悪さで吐くシーンが印象に残りました。やっぱり、フィリピンでは犬肉は嫌悪されているのかと思う一方で、調理された犬肉が出てくるということは食べる人がいるのか?とも思いました。

「Weighed But Found Wanting」の監督、出演者情報

本作の監督をつとめたLino Brockaさんは、フィリピン映画の歴史において初期の巨匠と呼ばれる人です。主役のクララを演じたのは、Lolita Rodriguezさん。いつもキリっとした役を演じていますが、今回は完全に障害を持った浮浪者にしか見えませんでした。本作で、ハンセン病のベルトンを演じたのは脚本を書いたMario O’Haraさんです。本作中で最もイケメンだったのが、彼です。監督や脚本だけでなく、たまに俳優もやるようです。

「Weighed But Found Wanting」の作品情報

オリジナルタイトル:Tinimbang ka ngunit kulang

公開年 1974年

監督 Lino Brocka(インシアン)(Ina, kapatid, anak)(Ang tatay kong nanay)(White Slavery)(Tatlo, dalawa, isa)(Bona

主なキャスト Lolita Rodriguez(Ina, kapatid, anak)(Tatlo, dalawa, isa

Christopher De Leon(Kakabakaba Ka Ba?

Mario O’Hara

視聴可能メディア Bili Bili(英語字幕)

「Weighed But Found Wanting」のトレイラー

古い映画だからでしょう、トレイラーは見つかりませんでした。

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