本作は、セブアノ地方の民話をベースにした作品だそうです。その民話自体を知るすべはありませんが、本作を見て推察すると「首のない人形を持った少女が、一緒に遊ぼうと誘ってきます。彼女に連れられて赤い家に連れていかれた者は、その後、赤い家に殺される。だから、少女の誘いにのってはいけない」というものではないかと思います。どこにでもあるような民話ですね。本作は、シンプルな素材をホラー仕立てではなく、スリラー仕立てにした構成が光っていました。本作の監督は、印象的な作品、「デイ・ゼロ」の監督をつとめたJoey De Guzmanさんです。彼にとって、本作が映画初監督作品ですが、さすが冴えた作品を撮る監督さんは初めから冴えていますね。

(Photo cited from IMDb)
「The Ghosting」のストーリー
赤い家についてのインタビューから始まります。様々な人が、赤い家について証言しますが、1人を除いて、そんなのは噂でしかないと、存在を否定します。そして、赤い家の呪いについて証言している唯一の男(ケン)について、彼は狂っていることをみんな知っていると証言します。
実際は、インタビューはストーリーの進行と共に挿入されます。そして、本編が始まります。主人公(グレイス)は大学生で、母と共に古い家に引っ越してきました。そして、最初の日に、首のない人形を抱えた少女に声を掛けられ、彼女についていって赤い家を見ました。その後、不思議なことに、自分の荷物に薄汚れた人形の首は入っていました。
当初は、普通に大学生活をしていたのですが、徐々に左腕にアザがあらわれます。それを見た同級生のケンが、それは自分の友達と殺した呪いと同じだから、自分に相談して欲しいと声をかけてくるのですが、彼が学校で浮いているのは知っていたので、グレイスはケンを避けていました。
ところが、ある日、グレイスは学校で友達と過ごしていたにも関わらず、いつの間にか古い屋敷に閉じ込められており、怪しい男に襲われそうになります。ギリギリのところで屋敷から逃げ出したと思ったら、そこはさっきまでいた学校の廊下でした。さらに、家に帰ると母が焼け死んでいました。もはや、呪いがあることは明白です。
その後、グレイスはケンと行動を共にすることにしました。ケンの説明によると、赤い家の呪いは、数十年前から始まっており、過去に数人が呪いで死んでいます。いずれも同じように、身体の一部に腐ったようなアザが出現して、赤い家に追いかけられるというのです。ケンは、親友のニックを赤い家に呪い殺されてから、赤い家が関与したと思われる事件を集めていたのです。とは言え、ケンはどうやって呪いから逃れるのかわからないと言います。
2人は、まず、赤い家に襲われた学校現場を確認します。グレイスが襲われた現場の近くには、扉があり、開けてみると物置のように使われた小部屋でした。何の手掛かりにもなりません。そこで、ともかく一度、事件の始まりとなった実際の赤い家を訪れてみることにしました。現地で聞き込みを行ったところ、赤い家は既に火事で焼失していました。そして、赤い家にまつわる呪われた話を聞きます。赤い家では、少女が両親に虐待されていました。さらに、少女はトラックに轢かれて亡くなり、その時に抱いていた人形の首がもげたのだそうです。その後、両親も屋敷と共に焼死したと言うのです。
そんな話を聞いていると、再びグレイスが赤い家に捕らわれます。しかし、機転を利かしたケンが、車のトランクからグレイスを救出します。どうやら、赤い家は近くの閉鎖空間にやってきて、呪われた人を捕らえるようです。
(ネタバレ)その日は、無事に家に帰ることができた2人ですが、今度はグレイスが自宅で入浴中に赤い家に捕らわれます。都合の良いことに、携帯電話は少しだけ繋がり、ケンに助けを呼ぶことができました。ケンは、グレイスの家に入り、グレイスと共に、赤い家からの生還を目指します。ケンは、家に入る前、少女が親に虐待され、トラックに轢かれるシーンが頭に浮かびました。その時に、人形の首が取れたのです。ケンは、グレイスが人形の首を見つけたことを思い出し、人形の首を手に入れれば脱出できると考えます。そして、実際、彼らは赤い家から脱出することができました。その後、2人は丁重に人形の首を供養しました。
そして、最初から時々挿入されているインタビューのシーンに戻ります。ドキュメンタリー映画風に、呪いについて色んな人の意見を聞いているのかのように見せていましたが、それは警察の事情聴衆のシーンだったのです。ケンは、警察からグレイス殺しの容疑を着せられているのでした。ケンは、必死で、自分たちが経験した呪いとの戦いについて供述しますが、誰にも信じてもらえません。警察は、グレイスの遺体は、彼女のトランクから見つかったと語ります。やがて、彼への聴取は終わり、警察官によって留置所に連れて行かれます。そして、赤い家に捕らわれてしまったグレイスは、なまめかしく髪をときます。そして、エンディングです。
最後まで、ホラー映画をドキュメンタリー風に撮る意味ってある?と思いながら見ていましたが、それが警察による事情聴取だったというのには驚きました。ただ、グレイスが主役にも関わらず、インタビューに一切出てこないので、彼女が死ぬのだろうとは予見できました。最後に、グレイスの遺体は、彼女の(her)車のトランクから出てきたと、警察は語りましたが、字幕の間違いではないでしょうか? 作中では、ケンが車の運転をしており、普通に考えれば、ケンの車です。グレイスも車を持っていたのかもしれませんが、作中にそのような描写はなく、ケンの車から出てきたというのが正しいように思いました。
「The Ghosting」の監督、出演者情報
本作の監督をつとめたJoey De Guzmanさんは、まだ若い監督さんで、本作がデビュー作です。これまで、4本の映画に監督として関わっており、私は図らずも、彼の作品は全て見ていることになります。ホラーか、ゾンビアクションを撮る監督さんで、いずれも冴えた作品です。今後も質の高い作品を撮り続けて欲しいですね。
「The Ghosting」の作品情報
オリジナルタイトル:The Ghosting
公開年 2019年
監督 Joey De Guzman(Day Zero)(Shake, Rattle & Roll: Evil Origins)(Shake Rattle & Roll Extreme)
主なキャスト Andrea Brillantes
Khalil Ramos(Fuchsia Libre)(ワン・ヒット・ワンダー 君を想う歌)(As If It’s True)
視聴可能メディア Youtube(英語字幕)

