現実か夢か、あるいは映画のシーンなのか?「Bliss」

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現実なのか、夢なのかをゴチャゴチャにして、恐怖を煽るのはホラー映画では常套手段ですが、そこに、映画の中で現実の彼女と似たような境遇の主人公を演じる女優を配置したことで、3つの世界がゴチャゴチャになるというのが、本作のアイデアでした。しかも、女優の役名で呼ばれなければならないところで、女優の名前が呼ばれたり、現実の夫が出てくるはずのシーンで、映画の中の夫役が出てきたりと、さらに混乱を誘ってきます。また、主役と同じ名前の別人(?)が登場するなど、さらに複雑な様相を呈し、時系列もグチャグチャにしているので、もはや何が何だかさっぱりわからないというサイコホラーに仕上がっています。ですので、ホラー作品ですが、怖いと感じることは、ほぼゼロです。怖いホラーを求めている人には、残念な作品ですが、最後きれいにまとまっているので、ちゃんとオチのある話が好きな人にお勧めです。タイトルの「Bliss(至福)」は、作中で主人公が演じる映画作品のタイトルです。

(Photo cited from IMDb)

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「Bliss」のストーリー

時系列もグチャグチャで、何が現実なのか、夢なのか、映画の作中のシーンなのかわからないので、ストーリーをまとめるのは不可能です。ですので、映画の進行と共に、私が理解したり、印象に残ったシーンを書き留めます。

主人公は、すでに若いとは言えない年の女優(ジェーン)です。彼女は自問します。女優であるというのは、私が望んだことだろうか? あるいは、他人が望んでいるため、私は女優という人生を生きているのだろうか? そして、彼女は謎めいた悪夢に苛まれています。

そして、映画の撮影中の事故により、彼女は入院となり、車いすで、一軒家にて療養することとなりました。家には雇いの看護師さんがいるのですが、その女が奇妙な意地悪を仕掛けてきます。また、時に悪霊に襲われることもあります。その看護師は、現実でも映画の中のシーンでも、主人公の見る夢の中でも同じ人が演じますが、夫に関しては、現実と夫は違う俳優が演じます。とは言え、非常に混乱しており、現実であるべきシーンで、俳優の夫が出てくることもあり、見ている人を混乱に陥れます。

どうやら、ジェーンは女優として、これまでの殻をやぶるような作品に出演したいと考えており、その作品「Bliss」の中でケガをしたことがわかります。しかも、この「Bliss」の中で、ジェーンが演じるアビゲルは、自分とそっくりの境遇にあります。そして、ジェーンが療養の中で過ごすシーンは、映画の中のシーンとそっくりという仕掛けです。

何が現実か、夢が映画なのかわかならい混沌としたシーンの中で、現実の夫が若い女を妊娠させてしまったことが発覚します。この夫自身には財力がなく、若い女に堕胎費用と求められても、ジェーンに相談なしで、お金を融通することができません。夫は悩んでおり、時に若い女から、妻を殺してはどうかと、間接的に妻殺しを示唆されています。

また、詳しくはわからないのですが、奇妙な行動をする看護師は、幼いころにジェーンと関連があったようです。また、現実なのか作中での設定なのかわかりませんが、この看護師は様々な病院に忍び込んでは、患者にいたずらをすることで、ニュースにもなっています。

(ネタバレ)最後の5分で、ようやく真相が見えてきました。どうやら、ジェーンは撮影の事故のあと、ずっと意識不明の重体でした。つまり、一軒家で奇妙な看護師から嫌がらせをされたり、悪霊に襲われる体験は、意識不明の彼女が見ている夢であるか、映画のシーンでした。監督は、事故で女優が意識不明になっているにも関わらず、彼女にとって一世一代の作品を撮ってやったと悪びれず、見舞金を夫に渡しておさらばしようとします。夫が小切手を動揺しているところに、ジェーンの母がやってきて、夫が浮気して子供をはらませたことを糾弾します。どうやら、浮気は現実だったようです。その頃、意識不明のジェーンは、病院内で例の奇妙な看護師に裸にされ、胸を吸われていました。そして、最後の最後に目を覚ましたジェーンは、看護師と目が合います。看護師は、ニヤリとしたあと、ジェーンの口を吸います。そしてエンディングです。

どうやって、このこじれた話を整理するんだろうと思って見ていましたが、全部夢にしましたね。実際、それ以外の解決方法はありませんでした。夢落ちと言えば、それまでですが、混乱した話に、一応の解決を見せて、奇妙な看護師の行動で締めるというのは、なかなか構成だったのではないでしょうか。フィリピンホラーの中でも出来の良い作品だったと思います。

「Bliss」の監督、出演者情報

本作の監督をつとめたJerrold Tarogさんは、歴史大河作品「アントニオ・ルナ -不屈の将軍-」の監督をつとめたことで有名ですが、ホラー作品もけっこう撮っており、むしろ作曲家として多くの作品に関わっていたりと正体不明の監督さんです。昨年公開された「Quezon」が評判良く、今後注目していくべき監督さんかもしれません。主演のIza Calzadoさんは、数多くのホラー作品に出演している女優さんです。ホラー女優は、美人で、かつ暗い恐怖を表情に湛える必要がありますが、そうした条件を満たした女優さんです。

「Bliss」の作品情報

オリジナルタイトル:Bliss

公開年 2017年

監督 Jerrold Tarog(アントニオ・ルナ -不屈の将軍-)(Shake Rattle & Roll Extreme)(GOYO 若き将軍

主なキャスト Iza Calzado(Ouija)(生き人形マリア)(519号室)(Shake Rattle & Roll Extreme)(Rendezvous)(もう一度あなたと)(Barber’s Tales

TJ Trinidad(Buy Now, Die Later)(ザ・アブノーマル

Adrienne Vergara

視聴可能メディア Youtube、Bili Bili(英語字幕のみ)

「Bliss」のトレイラー

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