ロロというのは、タガログ語でおじいちゃんという意味です。ちなみに、おばあちゃんはロラです。Kidはもちろん子供の意味ですが、本作では子供の名前です。本作は映画と言ってもNetflix制作なので劇場公開はされておりません。2024年の8月にフィリピンのNetflixで公開されたあと、1週間でフィリピン国内の視聴No.1になっています。あまり劇場で映画を見ないフィリピン人にとって、ある意味ヒット映画よりも知られている映画だと思います。
ストーリー
物語の主人公は6歳くらいの男の子と、血の繋がりはない老人です。2人は路上生活をしていますが、実は詐欺師なのです。老人は、富裕層の住む街を物色して、子供がいない家に目星をつけます。発見すると、家の前で、路上生活をはじめます。子供のいない家庭からは、小さな子供が路上生活をしていて可哀そうと、家で食事をするようになどと声がかかります。家族は、そこで老人から子供の話を聞き、良かったら養子にさせてもらえないかと提案します。そこで、哀れな老人は、子供の将来のために泣く泣く身を引いて、愛する孫と別れるのでした・・・というお話かと思ったら、それはお芝居で、老人は心ばかりのせんべつを受け取り、孫はその日の夜に金目の物を持って脱走します。それは、彼らの詐欺の手口なのでした。
しかし、いつまでもそんな生活を続けることは難しいですし、子供には小学校に行ってもらいたいとも思っています。もはや先の展開は予想できますが、同じような詐欺を続けながら、少しずつ老人の気持ちが変わってきて、やがてお別れにつながっていきます。あとは、ぜひ視聴してください。絶対に感動できると思います。そもそも、フィリピン映画に興味を持つ人は、若い人はあまりいないでしょうし、中年から初老の男性が多いと思います。この手の話はどうしても弱いと思いますよ。自分は後半、なみだ、なみだでした。
視聴しながら自分が突っ込みを入れたのは、フィリピンではお金持ちの住宅エリアは、壁で囲まれており、住民以外は中に入ることはできません。ショットガンを持った警備員がゲートを守っています。ホームレスがお金持ちの家の前で寝泊まりするなんてことはできません。なので、この映画を見て、なかなか良いアイデアじゃないか、実践してみようと思ったフィリピン人がいても、実際に真似ることはできないですね。
また、2件目に詐欺で入った家では、幼いときに実の両親と離れ養子としてお金持ちの家に引き取られたという独身女性にあって、老人が非常に動揺してました。女性も詐欺だとわかっていたような描写もあり、逃げる2人を窓から見送るシーンがありました。「老人もなぜ、こんなところで・・・」みたいなことを言っており、老人の実の娘なのか??と思いましたが、後半伏線が回収されることはありませんでした。本来はあったシーンがカットされたのでしょうかね。
まあ、細かいことを言わずに、素直にラストで感動するので良いと思います。とにかく、老人の表情が素晴らしく、毎回ですが「養子として引き取られせて欲しい」と言われたときに、驚いたような、寂しさを感じているような、何とも言えない味わい深い表情をします。単純なストーリーを支えているのは、彼の表情の演技だと思いました。非常におすすめです。
作品情報
オリジナルタイトル:Lolo and the Kid
公開年 2024年
監督 Benedict Mique
主なキャスト Joel Torre
Euwenn Mikaell
Iza Calzado
視聴可能メディア Netflix(日本語字幕)