フィリピンの悪魔祓いホラーを見るならば本作から「Clarita」

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フィリピンホラー映画には、悪魔祓い系という1つのジャンルがありますが、カトリック的な悪魔祓いというものに馴染みのない我々には難解であることが多く、典型的な悪魔祓いのプロセスがわかっていると、非常に理解しやすくなります。本作は、実話に基づいて制作されたようで(!)、おそらく非常にスタンダードな悪魔祓いのプロセスを踏襲しているものと思われます。ただし、映画サイトにコメントがありましたが、実際にはアメリカから招へいされた司祭が悪魔祓いに成功した、作中ではたくさんの悪魔に憑りつかれていましたが、2つの悪魔だけであったとのことです。このコメントが正しいのかどうかはわかりませんが・・・。とは言え、実際にあった悪魔祓いの話をベースにしているので、司祭たちが行った悪魔祓いのプロセスは、基本的な手法に基づくものだと思われます。ですので、フィリピン悪魔祓い系ホラー映画を見る人には、教科書のような作品だと思われます。

(Photo cited from ABS-CBN)

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「Clarita」のストーリー

1953年の実際に起こった事件をもとに作られた作品です。若い女が売春婦だと言われて、警察署に連行されるシーンから始まります。女(クラリタ)は「自分は売春婦ではない」と訴えます。ほどなく、クラリタは売春のため連行されたのではなく、悪魔付きのためであることがわかります。市長は、この件がマニラに伝わって欲しくないと思っており、精神科医や司祭たちにクラリタの件を依頼します。

当初、精神科医は典型的な多重人格によるものであると断じていたのですが、あっさりとクラリタによって殺されます。また、クラリタを拘禁しているスタッフたちも、次々と奇怪な死を遂げ、あるものは、彼女がつぶやいた4桁の数字と同じナンバーの車に轢かれて死んでしまったことから、これは悪魔付きであると断定されます。

そして、2人の司祭がクラリタの件に関わるようになりました。1人は老齢の司祭(サルバドール)、もう1人は若い司祭(ベネディクト)です。また、執拗に取材を迫る新聞記者(エミリア)が、クラリタに深く関わるようになりました。地盤で、人を殺しまくっていたクラリタに憑りついた悪魔は、司祭の除霊がある程度効いているのか、その後は人を殺さなくなりました。

司祭によれば、除霊は最初から行うものではなく、どうして悪魔が憑りついたのかを知る必要があるとのことです。また、悪魔の名を知ることが最も重要なのだそうです。そのため、一時的にでも悪魔の力を弱め、少しずつクラリタ自身と会話をすることで、彼女の過去を掘り下げていきます。その際に、悪魔は自分のことを「わたしたち」と呼びました。

クラリタの告白によれば、彼女の母は伝統的な治療師で、そのため彼女らは田舎で嫌われていたとのことです。父とは会ったことがないそうです。そのため、悪霊はそこかしこにおり、そんなものだと思って育ったと言います。

ベネディクトとエミリアは、彼女の田舎を知ることが重要だと判断し、現地で住民らから話を聞きました。確かに、彼女らが嫌われていたことがわかりました。もっと重要なことがわかるかと思いましたが、そのようなことはありませんでした。サスペンスではなく、実話を基にしたホラーでしたね。大したことがわからないのはしょうがありません。

結局、一時的にクラリタの悪魔の力を弱めることができるも、決定的な除霊に至らないことに、サルバドールは自信をなくしていきます。クラリタから話を聞き続けることで、彼女は村を追いやられ、父を探しにマニラに来た際に、本格的に悪魔に憑りつかれ始めたことがわかります。とは言え、この情報が活かされるわけではないのですが・・・・。

(ネタバレ)結局、クラリタの中の悪魔を払いきることができず、悪魔は除霊に関わっている3人の過去の記憶に干渉し、みなを混乱を恐怖に陥れます。もはや老司祭のサルバドールは完全に自信を失っており、役に立ちません。そんなとき、若い司祭のベネディクトが、クラリタに十字架をかざし、悪魔の名を問います。すると、悪魔は自分の名前を騙り始めました。初めは「バール」、その後知らない悪魔の名前が続き、最後が「ルシファー」でした。これはトンデモない悪魔に憑りつかれているじゃないかと思いましたが、これで除霊は成功したようです。十字架をかざすくらいで、名を語らせることができ、除霊できるなら最初からやれよと思いましたが、クラリタの過去を知ることで、そこに至ったのでしょう。

その後はエピローグです。クラリタは、元の平凡な田舎娘に戻り、教会で神に祈ります。そして、エンドロールです。

フィリピンホラーらしいところなのですが、途中に意味深な情報がたくさん出てくるのですが、それが伏線として回収されることはなく、最後の除霊へと至ります。これが、結局なんだったのかわからないことをたくさん残したまま、何となく悪魔が払われるというのが、実際の現場なのでしょうね。

「Clarita」の監督、出演者情報

本作の監督をつとめたRoderick Cabridoさんは、ほとんどホラー専門の映画監督と言っても良いくらいの人です。現在、Netflixに「Mallari」と「Untold」という作品が収録されています。私は「Mallari」を途中まで見たのですが、3つの時代を行き来しながら展開するストーリーが複雑すぎて、現在途中で止まっています。フィリピンの田舎を舞台にしているので、時代が50年くらい変わっても変化がわからないこと、悪魔祓いというものがわからなかったことで、理解が進んでいませんでしたが、本作を見たことでもう1回トライできるかなと思っています。主役のクラリタを演じたのは、Jodi Sta. Mariaさん。まあまあ有名なベテラン女優さんですから、ほとんどのシーンを特殊メイクで若い女性役で出す必要があったかなと思いました。ここは若くて経験のない人でも同じなのでは・・・。老司祭を演じたRicky Davaoさんは、超ベテラン俳優で、200本以上のテレビ・映画に出演しています。しかも、映画は撮りませんが、テレビドラマは20本以上監督も務める大御所です。

「Clarita」の作品情報

オリジナルタイトル:Clarita

公開年 2019年

監督 Ron Morales

主なキャスト Jodi Sta. Maria(生き人形マリア)(All You Need Is Pag-ibig)(Labyu with an Accen

Ricky Davao

Arron Villaflor

視聴可能メディア Youtube(英語字幕のみ)

「Clarita」のトレイラー

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