フィリピン映画界で最強ヒットメーカーと言えば、ダントツでキャシー・ガルシア・モリーナ監督です。フィリピン映画の共興収入上位のほとんどを彼女の作品が占めています。そんなモリーナ監督に唯一対抗できるのが、フィリピンの喜劇王こと、バイス・ガンダさん。2人の作品で、ベスト20位をほとんど占めてしまうほどです。本作では、その2人がタッグを組むとなると、否が応でも期待が高まりますね。内容としては、地方でTVパーソナリティを務める主人公が、元パートナーでもあり、新しくライバルとしてあらわれた女性と、パーソナリティの座をかけて、大金持ちの独占インタビューを取るために競い合うという話です。タイトルの「Partner in Crime(共犯者)」が予告するように、予想外の出来事を、協力して乗り越えます。

(Photo cited from IMDb)
「Patners in Crime」のストーリー
主人公(ジャック)のテレビ撮影のシーンから始まります。慌ただしく次の現場、そして次の現場で仕事をしているうちに、ジャックが声が出なくなってきて、最後には倒れてしまいます。医師の診断によれば、声帯が腫れており、2週間の休養が必要とのことでした。
しかし、仕事人間であるジャックは、イベントの仕事は続けていました。声が出せずに、ビンゴ大会を仕切っていたとき、観客の1人の女性(バーバラ)がジャックの引いた番号を大きな声で読み上げてくれました。それがきっかけで2人は仕事のパートナーとなりました。2人は本当に呼吸があって、うまくいったので、ジャックはテレビに復帰後も2人でやっていきたかったのですが、テレビ局側は、バーバラを必要としておらず、結局ジャックはひとりでテレビに復帰し、バーバラは裏切られたと考え、2人の関係は絶縁しました。
その後もテレビの仕事を中心に頑張っていたのですが、声の状態は万全ではありません。そんなとき、ジャックのポジションを脅かすインフルエンサーが紹介されました。それがバーバラでした。彼女は、ジャックに敵意むき出しです。ジャックも今のポジションを譲るわけにはいきません。そんな2人にテレビ局は、フィリピンで最も金持ちの男の独占インタビューを成功させたものに、テレビ番組の仕事を与えることを提案します。このお金持ちは、99回も暗殺されそうになり、そのたびに撃退したことで知られています。そのため、厳重なセキュリティで守られた屋敷に住んでいます。
何とか屋敷に潜入するために2人がとった方法は、ちょうど誕生日パーティのために募集されていた踊れるウエイトレスに応募することでした。現場で出会った2人は足をひっぱりあいますが、何とか採用され、ついに大富豪のもとにたどり着きます。さあ、インタビューをと思って、大富豪に近づくと、彼は殺されていました。また、監視カメラに映った2人の姿を真犯人が切り貼りした動画では、まるでバーバラがジャックと協力して大富豪を殺したように見えます。2人は、犯人から「この動画をばらまかれたくなければ、3つのコインを探すように」と指令を受けます。2人はやむを得ず、犯人に従って、屋敷内のミッションをこなし、2つのコインを手に入れました。この過程がコメディなのですが、詳細を書くと長くなるのでやめておきます。
(ネタばれ)犯人は3つ目のコインを探すように指令を受けているのですが、2人は踊れるウエイトレスの仕事もしなければなりません。パーティ会場に戻り、電話をかけてくるからには、携帯電話を取り上げられているスタッフではないはず、誕生日パーティに呼ばれている家族の1人が犯人に違いないと、ダンスを踊りながら家族の携帯電話を奪うのですが、どの携帯電話でもありませんでした。
結局、真犯人セキュリティスタッフのトップであることがわかります。ここはコメディなので、簡単に自分から喋ってしまう演出で工夫はありません。しかし、真犯人は、2人が犯人だと主張します。やむを得ず、家族はこっくりさんに頼って、真犯人を確定しようとするのですが、女中の1人がこっくりさんに巻き込まれ、大富豪が憑依。真犯人が、ついに家族にも暴かれました。
その後は家族ドラマのパート。コインを3つそろえて秘密の部屋に入ってわかったことですが、大富豪はすでにお金を失っていたこと、家族にお金を借りようとしていたこと、家族と誕生日の日くらいにしか会えず、寂しい思いをしていたことなどが明かされます。ジャックもバーバラも、自分の両親を大事にしようと誓います。最後は、バーバラの家族にジャックが紹介されるシーン。バーバラが、女に迫られて怖がるジャックに無理やりキスをしてエンディングです。
バイス・ガンダさんのドタバタコメディの中では、ストーリーがちゃんとしていて面白い方だとは思いますが、モリーナ監督が関わるほどの作品だったのかなという印象です。バイス・ガンダさんの映画は、2流の監督の方が相性が良いように思いました。
「Patners in Crime」の監督、出演者情報
監督は、フィリピン最高のヒットメーカーのキャシー・ガルシア・モリーナ監督。そして、主演はヒット作をたくさん持つフィリピンの喜劇王、バイス・ガンダさん。この2人は改めて紹介は不要でしょう。もう1人の主役を演じたIvana Alawiさんは、本作で元インフルエンサーで芸能界に参入しようとう役割を演じていましたが、本人も元インフルエンサーの女優さんです。フィリピン人として最もっくの登録者を持っているYoutuberです。まだ若いですが、インフルエンサーでもあるので、自分のスキンケアブランドも持っています。こういう女優さんが増えてくるんでしょうね。
「Patners in Crime」の作品情報
オリジナルタイトル:Patners in Crime
公開年 2022年
監督 Cathy Garcia-Molina (The Hows of Us)(ハロー、ラブ、アゲイン)(My Ex & Whys)(Hello, Love, Goodbye)(Love at First Stream)
主なキャスト Vice Ganda(ホゴシャはつらいよ!)(そして大黒柱は…)(ファンタスティカ)
Ivana Alawi
視聴可能メディア Netflix(英語字幕のみ)