火山の噴火によって400年ぶりに翼竜が復活「ヴァルカン」

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フィリピン映画は非常に不思議で、アメリカ映画制作の下請けをしていたため技術があったのでしょう、90年代に特撮の恐竜映画が公開されたりしています。他のアジアにはないジャンルの映画ですね。そんな時代に、ヨーロッパでさえ特撮の子供向け娯楽作品など撮っていないんじゃないかと思います。おそらく、アメリカ、日本、そしてフィリピンだけじゃないかと思います。内容としては、火山の爆発と共に400年ぶりに翼竜が復活。その翼竜を金に換えようとする詐欺師、スクープを狙うジャーナリストを巻き込んで、ちょっとした騒動を起こすという物語です。ちなみに、下のポスターは、内容とほとんど関係ありません。何なんでしょうか、そらに浮いている土偶の顔みたいなのは? 実際は、少年と翼竜が親交を温める子供向けハートフル映画です。

(Photo cited from IMDb)

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「ヴァルカン」のストーリー

原住民の恰好をした親子と、Tシャツを着た少年が森の中を探索しています。このTシャツの少年が、本作の主人公(ペドリン)です。彼は、母と叔母(?)と継父と一緒に住んでいますが、継父がアメリカ人でろくでなしです。そして、もう一人の主人公(CJ)も登場します。CJはアメリカからフィリピンに来たジャーナリストで、孤児院の取材をして一発ヒットを当ててやろうとしています。しかし、孤児院の院長から、子供の辛い経験を語らせて番組を作るのは賛成しないと言われ、その代わりに、孤児院を卒業した大人を紹介されます。その1人がペドリンの母親でした。

CJが孤児院を去ろうと言うときに、火山が爆発します。これは大スクープと、CJは火山の噴火の様子を撮影しました。火山の噴火の影響を受けて、ペドリンたちは避難しなければならなくなり、継父と一緒にいることを嫌ったペドリンは、叔母と、自分が良く知る森に避難しました。

その際に、ペドリンは巨大な卵が孵化するところに遭遇します。それは、翼竜の赤ちゃんでした。ペドリンは、翼竜の赤ちゃんを持ち帰り、闘鶏ギャンブラーを騙して(←こういうところがフィリピン映画だなと思います)、翼竜の世話をさせました。しかし、1日で大きくなってしまったため、ペドリンは翼竜を森に返しにいきます。そこで待ち受けていたのは、森に住む人々でした。彼らにとって、翼竜は、彼らが崇める火山の神さまで、ヴァルカンと呼ばれていることを知りました。もうすっかり成竜になったヴァルカンは、ペドリンを乗せて空を飛びました。

その飛行シーンを撮影したのが、CJです。この映像は世界中に大きなセンセーションを呼びました。その映像を見たのが、(おそらく)マフィアの末端の男でした。彼はアメリカでボスのお金を使いこんでしまい、お金を作るためにフィリピンに飛ばされていたのです。彼は翼竜を使ってお金を儲ける方法を思いつきCJに近づきます。

また、翼竜に乗っていたのがペドリンだということを知った継父も、翼竜を捕まえて儲けようとするのですが、ヴァルカンの吐く火によって大やけどをして、あきらめました。しかし、マフィアの男はより狡猾でした。ペドリンの叔母を尾行し、翼竜が潜む洞窟にたどり着き、麻酔銃を使って翼竜を捕獲してしまいました。また、ペドリンと叔母も囚われてしまいます。

(そろそろネタバレ)捕らわれたペドリンと叔母ですが、マフィアの中にも、良心的な男がおり、叔母が逃がされ、救援を求めにいきます。ちょうどペドリンの家族のもとにいたCJとカメラクルーが、翼竜が捕らわれている倉庫へ向かい、翼竜を売ろうとする現場をスクープしました。また、混乱の中でペドリンが翼竜に乗って脱出し、火山活動の影響でダムが崩壊し、洪水の中に取り残されている人々を救出しました。

(ネタバレ)森へ戻ったペドリンとヴァルカンですが、森の人々は、ヴァルカンを火山の中に返すことを提案します。別れを惜しむペドリンですが、破れかぶれになったマフィアの男たちがあらわれ、殺しても良いからと、翼竜を捕獲しようとします。森の人々とマフィアたちの戦いののち、ヴァルカンも戦いに参加し、マフィアたちを退けます。その後、ヴァルカンは火山へと帰っていきました。

なかなか良くできた娯楽作品でした。たんに翼竜が復活するだけの物語ではなく、そこにジャーナリストやマフィアが、それぞれの思惑を持って翼竜に関わろうとします。また、ペドリンの血の繋がった父親の話も物語の中で明らかになり、非常によくできたシナリオでした。特撮技術は90年代なので、今見れば稚拙ですが、物語を楽しむ分には問題なく、十分合格点なんじゃないでしょうか。

「ヴァルカン」の監督、出演者情報

本作の監督を務めたCirio H. Santiagoさんは、1955年に初監督作品を公開し、2007年まで監督を務めた、フィリピン映画界のレジェンド・オブ・レジェンドです。初期の作品は、アメリカ映画に分類されていますが、本作が制作された90年代後半は、フィリピン人を使って、フィリピン人向けの娯楽作品を撮っていたんですね。彼のキャリアを詳細に見れば、いつごろからフィリピン映画のマーケットがアメリカからフィリピンへと移行したのかわかるんじゃないかと思っています。

主人公の少年を演じたTom Tausさんは、1999年までしか出演記録がなく、子役で終わってしまった役者さんのようです。

「ヴァルカン」の作品情報

オリジナルタイトル:Anak ng bulkan

公開年 1997年

監督 Cirio H. Santiago(ストリートファイター 2050)(お色気吸血鬼

主なキャスト Tom Taus

Diana Barton

視聴可能メディア TSUTAYA DISCAS(日本語字幕、日本語吹き替え

「ヴァルカン」のトレイラー

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